ディスカバー・ニッケイ

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川井 龍介

(かわい・りゅうすけ)

@ryusukekawai

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)


この執筆者によるストーリー

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第11回 『あの日、パナマホテルで』

2017年7月28日 • 川井 龍介

古い日系人コミュニティーのあるシアトル。かつての日本町は、いまはインターナショナル・ディストリクトといわれ、チャイナタウンに少し日本町が入り混じったような街になっている。 通りの名称を記す標識も、英語だけでなく、近年日本語と中国語による表記がされ、この地区全体の歴史的な遺産を残そうという市の考えが読み取れる。永井荷風の「あめりか物語」にあるように、明治時代の終わりごろには日本そのもののような町が移民によって形成されていたが、それも戦争を挟んですっかり形を変えて、日本の影は…

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第10回 『日々の光』

2017年7月14日 • 川井 龍介

今や世界中に読者を抱える作家村上春樹の英語訳を手がけていることでも知られる、日本文学研究者であり英訳者のジェイ・ルービン(Jay Rubin)が書いた小説としても話題を呼んだ『日々の光』は、太平洋戦争をはさんで、日米を舞台として繰り広げられる物語である。原題は『The Sun Gods』で、訳者あとがきによれば、2015年にシアトルの小さな出版社(Chin Music Press)から出版された。 日本語版は、村上春樹との共著『翻訳夜話』などでも知られるアメリカ文学研…

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第9回 『カブールの園』

2017年6月23日 • 川井 龍介

年齢を重ねていけば誰しも過去を振り返るようになる。自分がどこから来たのか知りたくなったり、どうして今の自分が今のようになったのかを考えたりするときがある。自分の親や祖父母のたどった過去が気になってくる。 『カブールの園』の主人公はカリフォルニアで暮らす日系三世の女性レイ(玲)。幼いころ虐められ、差別されたことによるトラウマを抱え、母親との関係に悩む彼女が、あるときマンザナー収容所跡を訪ねたことから母親との関係を修復し、日系である自分自身を受け入れていく物語だ。 作者…

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第8回 『カリフォルニア州 ヨコハマ町』

2017年6月9日 • 川井 龍介

最初の日系アメリカ人作家ともいわれるトシオ・モリ(Toshio Mori)が、1949年に出版した短編集が『Yokohama, California』(The Caxton Printers, Ltd., Calldwell, Idaho)である。それから29年たった1978年、日本で『カリフォルニア州 ヨコハマ町』として大橋吉之輔の訳で毎日新聞社から出版された。 場面は戦前のアメリカ西海岸の日系人社会だが、時代と国境を越えても、変わることのない人間の本質といったもの…

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第7回 『北針』

2017年5月26日 • 川井 龍介

かつて日本からアメリカに渡った人たちのなかには、正規の渡航手続きを経ずに出国した人たちもいた。いわゆる密航である。 明治期からはじまったアメリカ移民は、西海岸を中心に排日の動きが高まる中で1908年には日米間の紳士協約によって日本が旅券の発給を自粛したことで制限され、さらに1924年には新移民法によって全面的にアメリカへの移民はできなくなった。 しかし、それでもアメリカに行きたいと思う人は後を絶たなかった。その理由はなにより、お金を稼ぐためである。とはいっても生活のため…

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第6回 『失われた祖国』

2017年5月12日 • 川井 龍介

アメリカのトランプ大統領による排他的な移民政策によって、アメリカ国内の移民、マイノリティーのなかから隣国カナダへのさらなる移住を希望する人が急増しているという報道があった。アメリカより移民に寛容なカナダを好んでのことだという。 しかし、太平洋戦争開始後はアメリカと同様、いや、それ以上に日系人に対して厳しい隔離政策をとっていたのがカナダだった。太平洋岸のバンクーバー周辺の日系人は、財産を没収され、内陸部に強制移住させられた。カナダ生まれでカナダ国籍をもっていても、当時の…

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第5回 『荒野に追われた人々 戦時下日系米人家族の記録』

2017年4月28日 • 川井 龍介

日系二世の女性作家、ヨシコ・ウチダは、1921(大正10)年、カリフォルニア州アラメダで生まれ、バークレーで育った。数多くの児童文学作品を残し、日本の民芸にも造詣の深い彼女が、戦時中の自身と家族の収容所体験をつづったノンフィクションが『荒野に追われた人々 戦時下日系米人家族の記録』(1985年、波多野和夫訳、岩波書店)である。 原題は『DESERT EXILE: The Uprooting of a Japanese American Family』で、1982年にシ…

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第4回 『丙午の女』

2017年4月14日 • 川井 龍介

アメリカにせよ南米にせよ、近代の日本からの海外移民の主人公は男たちである。男たちが、お金やよりよい生活を求めて、自らの意志で海外に飛翔した。なかには妻帯者もいるが、妻は夫に従ってきた。また、まずは単身夫が移民し、あとで妻や家族を呼び寄せるという形をとった。 独身の男たちは、やがて妻をめとるが、その際同じ移民のなかで相手を見つけることができればいいが、多くはいったん母国へ帰って結婚し妻を連れてくるか、あるいは「写真結婚」をした。一度も相手に会うことなしに写真だけを頼りに、相…

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第3回『マンザナールよ さらば』

2017年3月24日 • 川井 龍介

マンザナールとは、日米開戦後に日系人を隔離するためにつくられた全米10ヵ所の収容所の一つである。そこは、カリフォルニア州の東部、西にシエラネヴァダ山脈が迫る荒涼とした地だった。 『マンザナールよさらば‐強制収容された日系少女の心の記録』は、この収容所で3年半を家族とともに過ごした少女の目を通した、収容所の生活を中心とした、日系人としての戦中・戦後の記録(ノンフィクション)である。 原題は「Farewell to Manzanar」で、1973年にアメリカ、カナダで同時出…

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第2回 『天皇が神だったころ』

2017年3月10日 • 川井 龍介

日米開戦後の日系人収容について、先日体験者の話を聞く会がニューヨークの日系人会で開かれ、会場は立ち見もでるほど人が詰めかけ、関心の高さをうかがわせたというニュースを読んだ。これも、トランプ新政権による排除的な移民政策を反映したものかもしれない。 『天皇が神だったころ』は、日系人三世の女性作家ジュリー・オーツカによる、開戦後の収容をめぐる日系人家族の物語である。 原題は英語で、「When the Emperor was Divine」である。天皇が日本の国の主権者で、神格…

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