川井 龍介

(かわい・りゅうすけ)

ジャーナリスト。慶應大学法学部卒。毎日新聞記者などを経て独立、ノンフィクションを中心に執筆。「大和コロニー『フロリダに日本を残した男たち』」(旬報社)、「『十九の春』を探して」、「122対0の青春」(共に講談社)など著書多数。日系2世の作家、ジョン・オカダ著「No-No Boy」の翻訳を旬報社より出版。

(2016年1月 更新)

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第16回 自分の意志を継いでほしいが…… 

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。友人に中米のホンジュラスでの開拓を誘われ心が動く助次。ひとり身の自分の意志をついで、土地をいかして事業などを興してくれる者はいないだろうか。正直な気持ちを伝えている。

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1960年5月9日

将来のため、努力しろ

明ちゃん(姪)、お手紙ありがとう。昨日のメールで参考書数冊送った。専攻課目さえ不明なので雑誌類はどんなものを送っていいのか見当がつかぬ。欲しかったらくわしく知らせてくれ。この国では大学の程度の高い程、講師も教授も卓越した技量のある一流の人物ばかりだ。赤かぶれしたような生半可な青い教師とはケタが違う。学校とピクニックを混同してはならぬ。学校も大学となると、生徒は全国から集合する ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第15回 百歳まで生きてみたい

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地のとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1960年、アメリカで暮らして、とうとう養老年金をもらうようになったという。相変わらず読書欲は旺盛で、宇宙の神秘を知りたいから百歳まで生きたいという。

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1960年1月×日

南部フロリダはパラダイス

明ちゃん(姪)、お手紙ありがとう。明けましておめでとう。どうか今年もよろしく。今日、元日は羽織袴でお礼廻りしたのは昔の事。日本では電話でおめでとうと簡単に言って片付けられる事と思います。今日はこちらも休日ですが、働く人もあります。

一面 ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第14回 南米行きか、帰化か

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地のとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。帰国するかとどまるか、長年心が揺れ動く助次だが、今度は南米に行くといったり、帰化を考えたり……。知的好奇心は相変わらずで、日本から書物を送ってほしいと頼んでいる。

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1959年1月×日

〈アンデスの大草原へ〉

美さん、私はこの作(農作業)が終わり次第、南米行を決行します。目的地は未開の地。海抜二万呎(フィート)、アンデスの大草原、炎熱150度のアマゾンの大森林 ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第13回 アンクル・ジョージ語る 

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地のとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。わが子のように甥や姪のことを心配し、あしながおじさんとして学費の援助やアドバイスをし、直接手紙のやりとりをしてきた。とくに、一番年下の姪には、アンクル・ジョージとして、自分の墓のことなどについても話している。

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1957年6月×日

〈アメリカでも猫はニャーとなく〉

明ちゃん、お手紙ありがとう。つい、悪口が過ぎたので、返事は来ないと思っていました。字も中々上手だし、文もスラスラと書けており、今の若い人は文がうまい ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第12回 強盗に襲われる 

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。相変わらず帰国するか、義妹らをアメリカに呼び寄せるか思案するなかで、あるとき郊外でひとりポツンと暮らしている助次は、強盗に押し入られる。

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1955年6月

〈一時は万事休すかと〉

美さん、暫くご無沙汰しました。みなさん、お変わりはありませんか。お手紙を頂いた数日後の一夕、寝こみを強盗に襲われました。重傷を負い一週間ばかり病院で治療を受け、ようやく傷も癒えたので、数日前デルレー(デルレービーチ)へ帰り友人(白人)の家で世話になっております ...

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