ディスカバー・ニッケイ

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ラウラ・ホンダ=ハセガワ

(Laura Honda-Hasegawa)

@laurahh

1947年サンパウロ生まれ。2009年まで教育の分野に携わる。以後、執筆活動に専念。エッセイ、短編小説、小説などを日系人の視点から描く。

子どものころ、母親が話してくれた日本の童話、中学生のころ読んだ「少女クラブ」、小津監督の数々の映画を見て、日本文化への憧れを育んだ。

(2023年5月 更新)


この執筆者によるストーリー

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デカセギ・ストーリー
第十五話(前編) 『あまちゃん』にありがとう!

2013年11月25日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

「なんか、ジャッパ1って、僕は好きじゃないなぁ」と、ダニエルが言うと、側にいた4人の男の子も女の子も「そう、そう。言葉も話せないし、可愛いくもないし」と、ユカの方を見て、笑い出した。 ユカはショックを受けた。仲良しになれると思っていた同級生の言い方は残酷だった。一生懸命ブラジルの生活に慣れようとしていたのに。 このショッキングな出来事が彼女の人生を変えた。 話はユカの生まれる前に遡る。ユカの両親はブラジルで結婚し、すぐに日本へデカセギに行った。2年後、長女のユカが生ま…

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ニッケイ物語 2—ニッケイ+: 混ざり合う言語、伝統、世代、人種の物語
コウキチさん

2013年11月4日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

小さい頃から本を読むのが大好きだった私は、物語に出てくる登場人物に興味を持ちました。たくましい「桃太郎」、「不思議の国のアリス」に登場する風変わりな「白ウサギ」など、全部、魅力的なキャラクターでした。 中・高校生になると、「嵐が丘」のヒースクリフの複雑な性格に驚かされました。大学で専攻したブラジル文学とポルトガル文学の中にも面白い主人公にたくさん出会いました。 しかし、「コウキチさん」は今までで、一番印象的な人物です。他の登場人物は作者の想像で書かれたものだと思いますが…

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デカセギ・ストーリー
第十四話 ジョージに何があったのか

2013年10月21日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

僕は20数年ぶりに故郷に戻った。ちょうど出張で近くの町に滞在することになったので、多忙だったが、寄ることにした。 町は、以前、聞いていたよりすっかり変わっていて、びっくりしたし、又、残念な気もした。昔、にぎわっていたメイン・ストリートは、商店がわずかに残っているだけで、さびれていた。子どもの頃、よく菓子パンを買っていたパン屋がバール1になっていたので、そこに入ってコーヒーを飲んだ。 父はその通りに店を持っていたが、長男、つまり僕の兄をサンパウロの大学に行かせるために、みんな…

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デカセギ・ストーリー
第十三話 塩辛&ポン・デ・ケイジョ

2013年9月16日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

日系三世のリンダが日本に来たのは2007年の冬だった。今でも思い出に残っているのは親戚の温かい歓迎だった。 一人っ子のリンダは幼い頃にお父さんを亡くし、そのあと、最愛のお母さんも亡くしてしまい、独りぼっちになってしまった。18歳の時だった。それを知った、日本に住んでいるデカセギの叔父さんがリンダを呼び寄せてくれた。 叔父さんは家族と一緒に日本にデカセギに来て13年目だった。最近、ブラジル製品の商店「Mercadinho do Paulo」を開いて、そこで叔母さんと二人の息子…

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デカセギ・ストーリー
第十二話(後編) 居場所のない子どもたち

2013年8月21日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

あとわずかでブラジルに戻るサヤカは帰国の準備を始めた。家族へのお土産はまだ揃っていなかったが、それよりも気になることがあった。 それは、真夏の日に公園で出会った小さな女の子と、初めて耳にした「日本のブラジル人学校」のことだった。ブラジルの小学校で教えていたこともあって、サヤカはその学校を訪ねてみた。 金曜日の午後、ちょうど、子どもたちが帰る時間だった。外には送迎バスが待っていた。 ブラジルでは送迎バス費用は保護者負担なので、多くの子どもは歩いて帰るしかなかった。サヤカは日本…

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ニッケイ物語 2—ニッケイ+: 混ざり合う言語、伝統、世代、人種の物語
雨に濡れた『てるてる坊主』

2013年7月31日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

最近、「幼なじみと今でも交流が続いています」と言うと、驚く人が大勢います。その上、その幼なじみとは60年来の交流だと知って、更にビックリ。「いいなぁ。うらやましいわ」と、みんなが言ってくれます。 わたしは誇りに思っています。幼なじみは1人ではなく、実は7人兄弟なので、60年経った今では、30人以上の大家族になりました。 先日、その幼なじみを訪ね、ちょうど帰るときに、ドアを出て後ろを見ると「変わった花」に目が止まりました。くしゃくしゃになった紙のようで、もっと近づくと「あ…

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デカセギ・ストーリー
第十二話(前編) 居場所のない子どもたち

2013年7月24日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

サヤカは学校の教師を25年間勤めた後、退職した。これで、やっとのんびりできる時間が持てると思った。 しかし、夫はまだ現役を続け、あと10年は働きたいと言う。だから、自分だけのんびりする訳にはいかないと思い直し、何かすることを探し始めた。 ちょうどその時、兄の子ども2人が日本に再びデカセギとして行くことを知った。2人とも日本で2年間働き、ブラジルに戻って来たものの、仕事が見つからず、「これでは、日本で暮らす方がよっぽどいい」と、再びデカセギを決心した。 サヤカは不思議だ…

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デカセギ・ストーリー
第十一話(後編) クレイトは、もうサンバは踊らない

2013年6月21日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

クレイトは、15年ぶりに出会えた父親とゆっくり話をしていたかった。しかし、妹のケイラに「パパイは血圧が高いので、あまり興奮させたら体によくないから、今夜はここまで」と言われたので、久しぶりに「Boa noite、papai!(おやすみなさい、おとうさん!)」と言って、話を止め、外に出た。 その日は、夜空が特別きれいに見えた。正直にいうと、それまでは、空の様子に気付く余裕などなかった。日本にデカセギとして来たが、工場の仕事は以上にきつく、休まずに動いている機械と同僚の汗まみれ…

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ニッケイ物語 2—ニッケイ+: 混ざり合う言語、伝統、世代、人種の物語
ジュリアのJAPÃO発見

2013年6月12日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

母方の祖父母は100年前、日本からブラジルへ移住して来ました。サンパウロ州のファゼンダ1で筆舌に尽くし難い苦労をして、やっと、念願の農園を手に入れました。10人の子どもはブラジルで生まれましたが、ポルトガル語は十分に話せず、家で使うのは日本語でした。子どもたちは日系一世・二世と結婚し、生涯パラナー州で暮らしましたが、母だけが、結婚と同時に、サンパウロ市に住みました。 父方の祖父母も同様に、100年前にブラジルに移住して来ました。家族は、夫婦と3人の子どもで、船旅の途中で父…

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デカセギ・ストーリー
第十一話(前編) クレイトは、もうサンバは踊らない

2013年5月23日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

風がびゅーびゅー吹き荒れていた夜、クレイトは1時間前に出たダンススクールに戻った。そこのオーナーの明石トムは、ちょうどその頃、パープル色のドレスの女性に誘われ、横丁の「ルナ」で楽しそうに飲んでいた。 細長い階段を下りると、古びた木のドアを開け、薄暗い大広間を通り過ぎ、奥にある事務所に入って行った。手探りで金庫を探り当てると、あとは暗証番号は以前から知っていたので、スムーズに開けることができた。中を見ると、片手に持てる大きさの箱があった。それをジャンパーの中に隠し、素早く、…

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