内山家の4姉妹はいつも一緒だった。子供のころは、おばあちゃんの庭でままごと遊び、思春期には映画やコンサート、旅行へと、いつも一緒だった。
しかし、大人になると、それぞれが別の道を選び、離れて行った。
長女のユキは大手銀行の公募に合格し、有望なキャリアを積み上げていった。
次女のユリは仕事場で知り合ったカナダ人と結婚し、バンクーバーへ渡った。
三女のマリは幼なじみのケンちゃんと結婚し、二人は日本へ出稼ぎに行った。
四女のミナは大学卒業後、ブラジリアの新聞社に勤めていた。
そして、5年ぶりにマリは里帰りした。「小さいときから日焼けしてたけど、今は色白になったね!」「ジンーズしか履かなかった活発な女の子が、今はレディーに変身した!」「もう日本語も話せるんだ!」「日本はすごい!人を見違えるほど変えてしまう!」と、皆が驚いた。
すると、たまたま実家に戻っていたミナが言った「日本は特別な国だよね。私も日本で暮らしてみたい!」
ミナは何度も海外へ旅行したことはあるが、日本へは一度も行ったことがなかった。学生のころ、ジャーナリストになりたいと話すと、「記事は日本語で書くのでしょう?」と言われ、「日本語は分かりません!ブラジル人ですから」と、答えていた。
しかし祖母はよく言っていた。「顔はルーツを語る」と。最近では「いくらブラジルで生まれても、顔は日本人だから、日本のことや日本語…