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川井 龍介

(かわい・りゅうすけ)

@ryusukekawai

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)


この執筆者によるストーリー

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第17回 ユタ州の日系人

2015年3月27日 • 川井 龍介

鉄道、鉱山、農業からはじまる  カリフォルニア州の東隣りがネバダ州、そのさらに東にユタ州は位置する。北はアイダホとワイオミングの両州に接し、東はコロラド州、南はアリゾナ州が控える。気候は比較的乾燥していて、四季ははっきりしているのが特徴だ。  モルモン教が拓いた地として有名なソルトレーク市を州都に抱えるユタ州は、19世紀後半、鉄道の敷設と鉱山の開発で発展、そのなかに日本人の足跡もある。初期の様子を「百年史」こう記している。 「当州に日本人が入りはじめたのは一九〇〇年代…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第16回 モンタナ州の日系人

2015年2月27日 • 川井 龍介

グレート・ノーザン鉄道から始まる 北はカナダと一直線の国境で分かれているモンタナ(Montana)州は、東をノースダコタ、南をワイオミング、西をアイダホの三州と接している。「百年史」では、「モンタナ州に日本人が最初に入込んだ経緯は詳らかではないが、一八八四年から一八九〇年頃の間、多い時は三十名も鉱山町ビュテに日本人賤業婦が入込んだといわれ、しかし大量に入ったのは一八九八年、東洋貿易会社がグレート・ノーザン鉄道会社に日本人労働者供給の契約を結び、多数を送り込んだことに始まる」…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第15回 ワイオミング州の日系人

2015年2月13日 • 川井 龍介

ワイオミング州というと、日本では西部劇やカウボーイというイメージを思い浮かべるのではないだろうか。かつて「ララミー牧場」というテレビドラマがあり日本でも放映され人気を博したが、このララミーはワイオミング州南東部の端にある。 米国西北部に位置するこの州と日本人、日系人について、「百年史」では、紳士録をあわせて5ページを割いている。 南はコロラドとユタ、北はモンタナ、東はサウスダコタとネブラスカ、そして西はアイダホの各州に接しているワイオミング州は、その多くが山岳地帯だ。週…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第14回 ワシントン州の日系人~その2

2015年1月23日 • 川井 龍介

第13回 ワシントン州の日系人~その1を読む >> 戦後のシアトルと日系人  戦後のワシントン州の日系人の活動について、「百年史」はわずか3ページだが力を込めて書いている。とくにシアトルの日本人、日系人の復興についてホテル業など戦前の事業の復活や新規事業を立ち上げて勢いづくありさまがわかる。それらをまとめると―― かつて日系人の商業区域だったが、戦時中は黒人が集まっていた「メーン街と南六街角」は、戦後は日系人によって買収されていき、再び日系人の領域となり、さ…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第13回 ワシントン州の日系人~その1

2015年1月9日 • 川井 龍介

日本からの航路ができ、いわば移民の玄関口となったシアトルやタコマという都市を抱えるワシントン州。当然日本人、日系人の歴史は古い。 「米國日系人百年史」では、42ページを割いてワシントン州の日系人を紹介している。まず概説からはじまり、「日本人発展経路」と題して、ワシントン州からはじまった日本人の活動の経緯を説明する。 つづいて、第一節「戦前の日本人状態」を産業、教育、団体、排日問題などの点から解説している。シアトル、タコマほか州内の各地方に分散している日本人の活動について…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第12回 アイダホ州の日系人

2014年12月26日 • 川井 龍介

日本人は鉄道労働から 東がモンタナ州、西がワシントン州とオレゴン州に接するアイダホ州は、西部開拓によって鉱山業からはじまりその後鉄道業が盛んになった地域である。また、高原地帯は一大農業地帯でもあった。 「百年史」によれば、アイダホ州の日本人の歴史は、まず鉄道労働からはじまったことが詳しくわかる。 アイダホ州に日本人が最初に足を踏み入れたのは、1891(明治24)年で、当時UP(ユニオン・パシフィック)鉄道の一部として建設中のオレゴン・ショートライン鉄道のハンチングトン=…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第11回 オレゴン州の日系人~その2

2014年12月12日 • 川井 龍介

第10回 オレゴン州の日系人~その1を読む>>カリフォルニア州とワシントン州の間に位置するオレゴン州。漢字では央州とも記すオレゴン州の日本人移民もまた、白人社会からの排日運動や攻撃を受けてきた。「百年史」では、排日の歴史を時代をわけてまとめている。概要は以下のとおりである。 初期の動きとしては、1910年に日本人による農業が盛んだったフッドリバー地方でアジア人排斥協会が設立され、新聞や演説で排日運動が展開された。排日関係の法案も州議会に提出され、最終的には議決された。 …

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第10回 オレゴン州の日系人~その1

2014年11月28日 • 川井 龍介

太平洋岸のオレゴン州は、北はシアトルやタコマのあるワシントン州、南はサンフランシスコ、ロサンゼルスのあるカリフォルニア州の間に位置する。漢字で表わせば、カリフォルニアが「加州」と表記されるのに対し、ワシントン州は「華州」、さらにオレゴンは「央州」と表わされているが、これはほとんど知られていないのではないか。 こうしたアメリカの地名の漢字表記は、日本でも今は使われることはなく、日系人のなかでも理解されないことを考えると、一世、二世の日系人をとりまく独自な文化として忘れられて…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第9回 「中部加州」の日系人

2014年11月14日 • 川井 龍介

第8回「南部加州の日系人 ~ その4」を読む >> 各州別に日系人の足跡を紹介している米國日系人百年史を、これまでカリフォルニア州のページから眺めてきた。北部加州(北カリフォルニア)で1回、南部加州(南カリフォルニア)は4回にわたって紹介した。カリフォルニアの最後は、フレスノ(Fresno)をはじめとする中部加州(Central California)の日系人についてのおよそ60ページを読んでいきたい。 百年史は各地の地理についても詳しく記している。中部加州に…

「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって
第8回 南部加州の日系人~その4

2014年10月24日 • 川井 龍介

第7回 「南部加州の日系人 ~ その3」を読む >> 1000人以上にのぼる個人史が集積米國日系人百年史は、第二篇で各州における日系人の足跡を追っていて、そのなかでカリフォルニア州が約半分を占めている。一方の足跡については各州、各地域ともページのほとんどを数多くの日系人の個人と一部団体の紹介で埋めている。 その数は、1000人以上にのぼる。実際にどのような形でこうした情報を集めたのかは不明だが、編集責任者の加藤新一氏が直接インタビューなどに走り回ったことは記録…

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