南米の日系人、日本のラティーノ日系人
日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。
このシリーズのストーリー
日本のグローバル人材 パート2
2014年2月17日 • アルベルト・松本
「南米の日系人はグローバル人材か?」 前回のパート11では、「グローバル人材」とは、「(1)語学力・コミュニケーション能力、(2)主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感、(3)異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー」だと定義した。しかし企業は、「海外の事業所で自立的・自主的に発言・行動できる」「多様な考えを持つ人と協調して仕事を進められる」という条件を重視している。 そうしたなか、最近ジェトロやJICAが、日系企業、主に中小企業の南米…
南米の格差と治安、そして日系人たち ~その2
2014年2月3日 • アルベルト・松本
その1を読む >> 南米諸国で、格差のほかに懸念材料となっているのが治安である。これは、ほとんどの国で悪化しており、経済成長とは裏腹に社会の安全が脅かされている。 財政的基盤が弱い国は制度的に統治機関が貧弱であり、慢性的汚職体質が警察、検察当局をはじめ、ほぼすべての役所に広がっており、そのため司法も機能不全に陥っている。そして多くの国や地域では麻薬カルテルの違法活動が社会の隅々まで浸透しているため、暴力が蔓延している。 メキシコでは、2006年から2012年までの間麻薬…
南米の格差と治安、そして日系人たち ~その1
2014年1月27日 • アルベルト・松本
中南米諸国の経済成長には光と影がある。その影は独立前からの構造的な要素も含まれているのかも知れないが、建国以降常に指摘されてきた市民の教育問題や社会の治安問題が改めてクローズアップされている。近代国家になってから階級社会の格差も多少改善されたところもあれば、むしろ拡大したところもある。 ほとんどの国が幾度かの「革命」を体験してきたが、今もその「革命」とやらを継続している国々が存在する。より公平で社会正義を満たすための政治行動であったが、軍政権と民政を、右派と左派政権を繰り…
近年の南米の経済成長と日系人たち
2014年1月8日 • アルベルト・松本
中南米諸国は2年前から地域の平均成長率が3%前後に低下するなど多少低迷していたが、近年の経済成長率は10%前後上昇することも珍しくなく、穀物や鉱物資源の価格高騰によって今は消費市場としても有力視されている。 ブラジルは一人当たりの年間平均所得が12,000ドル、失業率は4.6%(ここ数十年でもっとも低い)、輸出額は24兆円で、新興国の中ではリーダー的存在であり国内総生産GDPも230兆円相当という日本の半分近くまで追いつき、ラテンアメリカ(以下、ラ米)諸国全体の半分を占め…
日本のグローバル人材とは? パート1
2013年12月11日 • アルベルト・松本
日本ほど「グローバル人材」という言葉を使う国は、他にないかも知れない。僕が来日した23年前は、バブルの影響もあってか「国際的な人材」という言葉をかわりに使っていたが、今では、多くの教育機関や企業団体が「グローバル人材」の育成を重視している。 「グローバル人材」という言葉をよく耳にはするが、実際にどのような人を指すのだろうかと思い、調べてみることにした。 文科省は、「日本人のアイデンティティーを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り…
在日フィリピン人の中日系人〜南米の日系人との共通と違い
2013年9月5日 • アルベルト・松本
フィリピンの国柄や国民性をみると、何となく南米諸国に類似したところがある。在日ペルー人やアルゼンチン人は、彼らに親近感を覚えるという。工場やお弁当製造といった職場でラティーノとフィリピン人が知り合うこともあるが、フィリピン女性が働いている飲食店やカラオケバーでの出会いもあり、フィリピン人とラティーノとの国際結婚も珍しくない。 日本の入管統計(法務省)の速報によると、2012年12月現在フィリピン国籍の登録者は202,974人で、そのうち男性が45,418人、そして女性…