アルベルト・松本

(あるべると・まつもと)

アルゼンチン日系二世。1990年、国費留学生として来日。横浜国大で法律の修士号取得。97年に渉外法務翻訳を専門にする会社を設立。横浜や東京地裁・家裁の法廷通訳員、NHKの放送通訳でもある。JICA日系研修員のオリエンテーション講師(日本人の移民史、日本の教育制度を担当)。神奈川大学と静岡県立大学等でスペイン語講師。外国人相談員の多文化共生講座等の講師。「所得税」と「在留資格と帰化」に対する本をスペイン語で出版。日本語では「アルゼンチンを知るための54章」(明石書店)、「30日で話せるスペイン語会話」(ナツメ社)等を出版。http://www.ideamatsu.com

(2013年6月 更新)

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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

世界各地の「日系人」ー幕末から今日まで ― その2

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明治から本格的に開始された海外移住は、当初予定していたほど成果を上げることができなかったという見方もある。戦前何十万人もの日本人が南北アメリカ移住したが、その数は日本の総人口の1%にも満たないし、欧州からアメリカ大陸に渡った人の方がはるかに多い。国家の海外植民地政策と相まった部分もあったが、不利な通商条件にもかかわらず、明治日本の産業改革をはじめ、国内市場はそれなりに発展し、生活の質も向上した。蚕産業でかなり潤った農業地域もあり、製造業や商業も成長し、社会は一定の安定を保ったのも事実である。その結果、人口も増え、期待も高まった。しかし、社会すべてが豊かになったわけではなく、特に明治時代には貧しい農村地域で農民一揆が発生した。海外や北海道移住を選択せざるをえなかった人も多くいたのである。

日本国は、海外移住と同じかそれ以上に北海道移住を大きな優先課題と位置づけていた。帝政ロシアの樺太や蝦夷地 ...

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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

世界各地の「日系人」ー幕末から今日まで ― その1

現在、海外には350万人ぐらいの日系人がいるという1。「日系人」をどのように定義するかにもよるが、ここでは海外に居住している日本人およびその子孫と定める。三世や四世の中には自分たちを「日系人」と意識していない人もいるが、そうした日系人も、外務省の海外在留邦人数調査統計に含まれており、その数は海外邦人133万人(長期滞在者87万人、永住者46万人)である2

明治維新前の日本というと「鎖国」のイメージが強い。しかし鎖国中も長崎の出島を通じて限定的ではあるが情報や物資が国内に流入しているし、キリシタン弾圧から逃れるため17世紀初頭には多数のキリスト教徒が外国船でポルトガル領のマカオや、当時スペイン領だったフィリピンのマニラやミンダナオ等に逃げたといわれている。また、鎖国以前には、琉球や朝鮮 ...

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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

ボリビアのサンタクルスにある日本人移住地の新たな挑戦

今年(2017年)の5月に、JICA日系社会ボランティアの在外研修の講師としてボリビアのサンタクルスに出張した。この研修は、日本から中南米諸国に派遣されている「日系社会青年・シニアボランティア」を対象にしたものである。研修の一環として、サンタクルス市から138キロ、車で2時間半の距離にあるサンファン移住地と、そこから100キロ南東部にあるオキナワ移住地を訪問し、移住地にある施設の一部を見学させてもらい、各グループに分かれて関係者と懇談する機会を持った。

私のサンタクルス市への訪問は、今回が二度目である。昔馴染みの仲間やJICA横浜国際センターで知り合った多数の元日系研修生たちと再会し、農協関係者や若手の農業経営者から話を聞くことができた。おかげで、今後の移住地の役割と期待、不安と挑戦について、垣間見ることができた。

これらの移住地は戦後移住者によるものであるが、ボリビアの日本人移住史は戦前にさかのぼる ...

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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

JICAの日系社会ボランティアの奮闘と役割〜ボリビアでの在外研修に参加して

日本国は、ODA(政府開発援助)の一環として途上国や新興国等に多くの協力隊員やボランティアを派遣している。もっともよく知られているのが、JICA(国際協力機構)が派遣している「青年海外協力隊」である。バラエティー番組でも、途上国のことになると現役か元協力隊員の活動がよく紹介される。中南米の日系社会にもJICA独自の支援プログラムがあり、青年とシニアのボランティア制度が存在する1。基本的に2年間の任期で、ボランティアといっても、きちんとした派遣前訓練や諸手当も支給され、任国での活動ができるだけスムーズにできるよう様々なサポートが準備されている。

JICAの統計をみる限り、2017年4月末現在、協力隊員だけでも1,855名が69カ国で頑張っている(女性1,062名 ...

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南米の日系人、日本のラティーノ日系人

中南米と日本の日系人との連携強化策とは

2012年末の第二次安倍内閣発足以来、総理は南米諸国を訪問するたびに積極的に地元日系社会の指導者や関係者と懇談している。これに並行して日本大使館やJICA事務所も日系人とそれまで以上に交流するようになり、今後の協力関係の強化を模索するようになった。世代交代が進んでいる中南米日系社会では、3世や4世が主体的な役割を果たしていることが多く、従来の日本人移住者対策では限りがあるからである1。2013年には外務省による日系次世代指導者招聘事業が再開され2、日本の官僚や政治家も中南米日系社会の実情や新たなニーズだけではなく、これまでより踏み込んだ連携の可能性を認識するようになった。

現在、日本の産業は、製造業はもちろんのこと農業やサービス部門においても、これまで以上に海外進出を意識して開拓していかねばならない状況に追い込まれつつある。近年のこうした危機意識が政財界の有力者に中南米の日系人に注目するきっかけを与えたかどうかは定かではないが、中小企業の進出や文化事業の展開に、日系人をもっと有効に活用しようとする動きがみられるようになった。

日系人との協力関係強化へ期待が高まるなか、今年(2017年)の5月9日、外務省内に設置された「中南米日系社会との連携に関する有識者会議 ...

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