デカセギ・ストーリー

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。

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第二十六話(後編) 「帰ってきちゃダメ!日本で頑張れ!」

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残業を終え、ケイは家に戻った。郵便受けを開けてみるとチラシでいっぱいだった。「日本語が読めたらいいんだけどなぁ」と一枚ずつ見ていると、一通の手紙が届いていた。

急いで家に入り、灯りをつけて差出人見ると、母親からだった!「えっ!?カアさんが手紙を?珍しいこともあるもんだ!」と、早速封を切った。

写真が一枚だけだった。「えっ!?サクラの木?カアさんがエリザを抱いて写ってる!ブラジルにサクラなんてあったっけ!?」

写真の裏を見ると「帰ってきちゃダメ!日本で頑張れ!」と大きく書いてあり、つい吹き出してしまった ...

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第二十六話(前編) 「帰ってきちゃダメ!日本で頑張れ!」

目覚し時計が鳴ると、ユリカはすぐに起きた。毎朝、アラームが鳴る前にすでに目が覚めている。そしてここ一か月、起きるといつも「今日こそ手紙を書こう」と思う。しかし、いまだに手紙を書けずにいる。

側のベッドを見ると、孫のエリザちゃんがすやすやと眠っている。

「今日も発作が起こらないでよかった!」

窓のカーテンを開けると、外はまだ薄暗い。そういえば、1ヵ月前も外は暗かったなと、ふと思う。

ドアを開けると、番犬のリッキが妙に唸っていた。見ると、玄関にイヤリングの片方が落ちていた。「これはクリスのだ。でも、なんでここに ...

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第二十五話(後編) トシアキの初めてのCARNAVAL

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「日本へ行くことにした!」と、トシアキが言った。隣町で用事を済ませて、戻って来たときのことだった。

突然の報告に皆は驚いた。「その気があったなら、なぜ僕と一緒に行かなかったの?あのころが一番景気がよかったのに!」と、あきれたように弟のサトシが言った。

「いいじゃん。お兄さんはまだ40代だし、大の働き者だから大丈夫だよ」と、義理の妹は真っ先に応援してくれた。

リビングで孫たちとテレビを見ていた母親はうれしそうに、まるで待っていたかのように、息子の言葉を受け入れた。「ようやく、トシが自分のことを考えるようになったのか。日本からお嫁さんでも連れて来てくれたら、わたしは何にも思い残すことはない」と ...

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第二十五話(前編) トシアキの初めてのCARNAVAL

トシアキは内気な子供だった。近所の子たちが原っぱで、凧揚げをしたり、ボールで遊んでいても一緒に遊ばず、家でおじいちゃんが作る竹細工を手伝っていた。

中学3年生のとき、父親が病気で亡くなり、長男だったトシアキは祖父の代から続いている家業の八百屋を手伝うことに決めた。学校は午前中だったので、授業が終った後夜遅くまで働いた。高校は夜学に進学した。夜明けから午後6時まで、汗まみれで働き、それでも授業には欠かさず出席した。

金曜日は、同級生の半分以上が授業をさぼって、学校の周辺に集まって流行の歌を歌ったり踊ったり、「青春を楽しもう」と陽気に騒いでいたけれど、トシアキは、それに見向きもせず、たった1人で授業を受けることもあった。おかげで、3年後、無事に高校を卒業した ...

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第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その6

20111112

愛しきディアーリョ。はじめまして。マリナです。ジェシカちゃんが書いたこの日記はとてもおもしろくて、全部読みました。そして、読んでいるうちに、なるほど、ブラジルってこういう所なんだ、と分かりました。

ジェシカちゃんとは日本のブラジル人学校でいつも一緒で、とても楽しかったです。でも、お父さんの仕事が変わったため、わたしは引越ししなければなりませんでした。そして、わたしは日本の学校に転校しました。お父さんとお母さんはわたしが日本の学校で勉強することを希望していました。ブラジル人学校も楽しかったけれど ...

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