南米の日系人、日本のラティーノ日系人
日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。
このシリーズのストーリー
日本の日系人&南米の日系人—若者たちや新しい世代の団体運営の挑戦—
2016年4月13日 • アルベルト・松本
南米諸国を訪れるといつも様々な日系団体のお世話になり、運営に関わっている役員と意見交換をする。経済成長で潤っている国では、日系社会もかなり景気が良いように映る。他方、この日本でも定住南米日系人たちは、いくつとなく全国レベルの団体を設立してきたが、ほとんどが日本の社会から認知される前に、消滅している。設立の際、領事館で約款まで認証してもらい、大使や総領事と記念写真を撮っても数ヶ月後にはほとんど機能していないことが多い。「連合会(Federación)」とか「全国…
日本の貧困率と定住外国人
2016年3月30日 • アルベルト・松本
最近、日本のいくつかの活字メディアやブログ等でこの国の貧困問題について特集が掲載されている1。専門家の分析や、支援団体や研究グループ等が集計したデータを見ると、日本での相対的貧困率すなわち一人当たりの所得の中央値の半分以下の人の割合が6人に1人で、貧困率は16.1%である。OECD加盟国30ヶ国の貧困率を比べると、メキシコが20%、トルコが19%、アメリカ合衆国が17.4%とあり、日本は第4位と高い貧困率を示している(2012年統計2。) 厚生労働省の調査では、貧困ライン…
日本の外国人女性の合計特殊出生率は思ったより低い
2016年2月24日 • アルベルト・松本
少子化対策の外国人移民:日本での効果は限定的? 日本を含む多くの先進国では今後少子高齢化問題がより深刻になると言われているが、合計特殊出生率が高いと思われがちなラテンアメリカ諸国でもその傾向は避けられそうもない。アメリカ合衆国では国政選挙になると、「移民の女性の方が多くの子どもを産む。移民の若者はどのような仕事もするし人手不足業界に労働力を提供しその上起業率も高い。収入を得るとその多くを国内で消費し残りを本国に送金する」といった移民のメリットを強調する候補者が出てくる…
在日日系子弟は何を勉強したらいいのか
2016年1月20日 • アルベルト・松本
これまで、在日日系子弟や留学生の進学状況や労働市場が求めている彼らのスキルや採用状況などについて述べてきた1。外国人又は外国をルーツとしている子弟やその親は、日本もしくは本国の労働市場が何を期待し、どのようなスキルを求めているのかといったことに感心を持っている。 進学セミナー等で「何を勉強すれば“金”になるのか」、「一番就職しやすい“学問”は何だ」、「どこの大学にいけばいいのか」、「奨学金や貸付金制度はどれぐらいあるのか」、…
キューバの日系人とこれからのチャレンジ
2016年1月5日 • アルベルト・松本
今回、はじめてカリブ海にあるキューバを訪れた。ドミニカ共和国でパンアメリカン日系人大会に参加した後、メキシコ経由で主都ハバナに到着した。サントドミンゴからの直行便も週何便かあるが、かなり高額になるためちょっと遠回りをした。そのおかげで、メキシコシティーの国際空港ではメキシコ等に住むキューバ人に会うことができ、かなり有意義な情報収集ができた。 世界で最も多くキューバ人が住んでいるはアメリカで、2010年の国勢調査によると、180万人である(この6割以上がマイアミがあるフロリ…
ドミニカ共和国の二世とCOPANI 2015
2015年12月2日 • アルベルト・松本
2015年8月、5日間の日程ではじめてドミニカ共和国を訪れた。主都サントドミンゴで開催された第18回パンアメリカン日系人大会(通称COPANI)に参加するためで、その結果この国の日系人と交流を深めることができた。数年前からこの国からもJICA日系研修員が来るようになり、その何人かとかなり親しくなっていたので、いずれ訪れることを楽しみにしていた。 4年前のメキシコ・カンクン大会のときからドミニカ共和国での開催がささやかれ、2013年のブエノスアイレス大会で確定した。そし…