Ryusuke Kawai

ジャーナリスト。慶應大学法学部卒。毎日新聞記者などを経て独立、ノンフィクションを中心に執筆。『大和コロニー「フロリダに日本を残した男たち」』(旬報社)、『「十九の春」を探して』、『122対0の青春』(共に講談社)など著書多数。日系2世の作家、ジョン・オカダ著『No-No Boy』の翻訳を旬報社より出版。『大和コロニー』は、「Yamato Colony: The Pioneers Who Brought Japan to Florida」として、University Press of Floridaより英語版が出版。

(2018年3月 更新)

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第19回 消えた帰国の夢

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1961年5月以降のこと。義妹一家のために家を建ててあげたいといって調べるが、日本の地価の高さに驚き、結局それは不可能だとあきらめる。同時に、日本に帰るという計画も消えたと伝える。

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〈故郷の新聞を送ってくれ〉

1961年5月4日

美さん(義妹)、永い間休刊して居た宮津の北近畿新聞が1月復刊したとの事です。この次、宮津へお行きになった節、新聞社(在前町)に立ち寄って毎号直接にこちらへ送ってくれるようアレンジして下さい。1.2.3 ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第18回 京都へ帰ったときには……

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1961年。五ヵ年計画で所有地に庭園らしきものを造る計画を伝える一方で、中米旅行やこれまで一度も実行したことのなかった日本の故郷への帰還について、いよいよその決意が固まったかのように伝えている。

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1961年1月6日

〈孤独もなれると悪くはない〉

玲さん(姪)、今日は1月6日。日本も正月騒ぎが済んで気抜けしたようだろう。日本は前代未聞の好景気、今や世界羨望の的だ。新聞を見ると、建築ブームで大工と左官が大払底、十万人の大工と五万人の左官が至急入用との事、全く信じられぬような話だ。十年前までは喰うに困った日本、世は持ち回りだ。何もクヨクヨすることはない ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第17回 眠れる夜に思い出すこと 

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1960年の後半は、姪からの手紙と写真に目を細め、相変わらず故郷のことや昔の自分を思い出している。突然、自分は親に愛されていなかったとも振り返る。台風の襲来、作物、長年痛めている歯の治療について。そしてサンクスギビングやクリスマスのことを報告している。

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1960年6月24日

〈日本の安保騒動について心配〉

玲さん(姪)、お手紙と写真有難う。新聞と雑誌が3回に分けて着いた。無聊に苦しむ私にはなによりの慰安です。

あんたの写真がよく撮れている。少しやせ気味だが、見違えるほど綺麗 ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第16回 自分の意志を継いでほしいが…… 

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。友人に中米のホンジュラスでの開拓を誘われ心が動く助次。ひとり身の自分の意志をついで、土地をいかして事業などを興してくれる者はいないだろうか。正直な気持ちを伝えている。

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1960年5月9日

将来のため、努力しろ

明ちゃん(姪)、お手紙ありがとう。昨日のメールで参考書数冊送った。専攻課目さえ不明なので雑誌類はどんなものを送っていいのか見当がつかぬ。欲しかったらくわしく知らせてくれ。この国では大学の程度の高い程、講師も教授も卓越した技量のある一流の人物ばかりだ。赤かぶれしたような生半可な青い教師とはケタが違う。学校とピクニックを混同してはならぬ。学校も大学となると、生徒は全国から集合する ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第15回 百歳まで生きてみたい

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1960年、アメリカで暮らして、とうとう養老年金をもらうようになったという。相変わらず読書欲は旺盛で、宇宙の神秘を知りたいから百歳まで生きたいという。

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1960年1月×日

南部フロリダはパラダイス

明ちゃん(姪)、お手紙ありがとう。明けましておめでとう。どうか今年もよろしく。今日、元日は羽織袴でお礼廻りしたのは昔の事。日本では電話でおめでとうと簡単に言って片付けられる事と思います。今日はこちらも休日ですが、働く人もあります。

一面 ...

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