Ryusuke Kawai

ジャーナリスト。慶應大学法学部卒。毎日新聞記者などを経て独立、ノンフィクションを中心に執筆。「大和コロニー『フロリダに日本を残した男たち』」(旬報社)、「『十九の春』を探して」、「122対0の青春」(共に講談社)など著書多数。日系2世の作家、ジョン・オカダ著「No-No Boy」の翻訳を旬報社より出版。

(2016年1月 更新)

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第22回 池は出来た。小魚を放った。

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。自分の土地に果樹園や庭園をつくることに熱心な助次は、池を完成させ、魚を放ったことを報告する。大きなトラクターも買い、さらに住宅も建設すると夢を語っている。周りの人から何と言われようと、自分の進む道を行くという。

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〈日本からは年賀状一つ来ず〉

1964年1月15日

美さん、小包、今日うけ取りました。色々珍しい品、本当にありがとうございました。今年は日本からは年賀状一つ来ず、予期してた事ながら天涯孤独、寂しさを感じさせられました。

Xマスにはお隣へディナーに招かれ、ターキーを御馳走になりました ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第21回 誕生日も畑で働く

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1963年、日本は高度経済成長をつづけ、その様子を新聞などで知るほか、フロリダで日本製品をよく目にする助次。一方、遠い昔、故郷で植えた杉や檜を見にいって写真におさめ送ってほしいという。いきなり清里(山梨)へ行くつもりだと伝える。

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〈池堀りであばら骨を折る〉   

1963年4月18日

美さん(義妹)、枇杷の種子、早速送って頂き有難うございました。話半分にしても大変結構な物ですから作ってみる事にします。野生同様、何処でも ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第20回 初恋の人が嫁いだと知らされた時

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。故郷のこと、過去への回想はますばかりとなる。渡米して間もなくのころのこと。郷里での初恋の女性が嫁いだと知らされ、自分がどれだけ落胆したかを姪に伝える。また、同郷でフロリダにわたった友人は列車事故に遭い亡くなったという。この事故に危うく助次も巻き込まれるところだった。

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〈恋い慕う女性は永遠に去った〉

1962年3月27日

〈助次には、日本いるころ近くに住む年下の女性に恋をし、結婚を申し込んだことがあった。が、あいにく相手の親に反対される。この失恋も助次がアメリカにわたった大きな理由だった。〉

明ちゃん(姪)、

(中略 ...

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第19回 消えた帰国の夢

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1961年5月以降のこと。義妹一家のために家を建ててあげたいといって調べるが、日本の地価の高さに驚き、結局それは不可能だとあきらめる。同時に、日本に帰るという計画も消えたと伝える。

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〈故郷の新聞を送ってくれ〉

1961年5月4日

美さん(義妹)、永い間休刊して居た宮津の北近畿新聞が1月復刊したとの事です。この次、宮津へお行きになった節、新聞社(在前町)に立ち寄って毎号直接にこちらへ送ってくれるようアレンジして下さい。1.2.3 ...

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孤独な望郷 ~ フロリダ日系移民森上助次の手紙から

第18回 京都へ帰ったときには……

南フロリダの大和コロニーの一員として渡米、コロニー解体後もひとり最後まで現地にとどまり生涯を終えた森上助次は、戦後、夫(助次の弟)をなくした義理の妹一家にあてて手紙を書きつづける。1961年。五ヵ年計画で所有地に庭園らしきものを造る計画を伝える一方で、中米旅行やこれまで一度も実行したことのなかった日本の故郷への帰還について、いよいよその決意が固まったかのように伝えている。

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1961年1月6日

〈孤独もなれると悪くはない〉

玲さん(姪)、今日は1月6日。日本も正月騒ぎが済んで気抜けしたようだろう。日本は前代未聞の好景気、今や世界羨望の的だ。新聞を見ると、建築ブームで大工と左官が大払底、十万人の大工と五万人の左官が至急入用との事、全く信じられぬような話だ。十年前までは喰うに困った日本、世は持ち回りだ。何もクヨクヨすることはない ...

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