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三味線、陶芸、詩吟、武道、着物…その道を極めるアメリカ人たちに、日本文化との出会いと魅力について聞く。(2009年のU.S. FrontLine より転載。)
「日本文化を極めているアメリカ人」を探している私に、ある日、こんな知らせが届いた。「一徹(いってつ)」と呼ばれている少林寺拳法一筋のインド系アメリカ人を紹介したい」。その人物は、パンケージ・ラストギさん。ロサンゼルス郊外オレンジ郡ウェストミンスターで道場を運営して5年目になるという。さっそく取材を申し込んだ。
アメリカの「ミー文化」との違い
道場に到着すると、10数名の子供たちが帯の色別にグループに分かれて、合掌構えに始まる技の練習中だった。その輪の中で、誰よりも大きな声を出し、動きが機敏で生き生きしているのが、パンケージさんだった。
実技練習が終わると、本を手にした子供たちを前に講義が始まった。パンケージさんは青いマットに ...
「なぎなた」と聞いて筆者が思い浮かべるのは、武家の女性がなぎなたを手にしている時代劇のワンシーンだ。一般の日本人にとっても、なぎなたは馴染みの薄いものかもしれない。しかし、ここアメリカにも各地になぎなたの道場があり、世界選手権にも出場していると知り驚いた。さっそく、過去の選手権で銀メダルを獲得したアンドレア・ヴィヤスさんに会いに行った。
世界選手権団体女子で銀メダル
アンドレアさんがなぎなたを始めたのは、9年前のこと。ロサンゼルス郊外のコミュニティーカレッジで体育の授業として選択したのがきっかけだった。「生まれ育ったコロラドでは体験できないような、聞き慣れない競技種目としてのなぎなたに興味を引かれた」からだったが、「アメリカでのなぎなたの第一人者」ヘレン中野さん(2009年春アメリカになぎなたを広めた功績を認められ、旭日小綬章を受章)が授業を担当していたことが、その後の人生を変えた。
「まったく何の知識もなかった当時の私から見ても ...
半世紀以上にわたってロサンゼルスを拠点にアメリカにお茶を広めてきた裏千家の名誉師範、松本宗静(そうせい)さんには、3000人を超す弟子がいる。医療関連の福祉団体を運営する医師、ブルース・シャーノフさんも、その中の一人である。
京都で魅せられた茶の味
ブルースさんがお茶に出会ったのは、1999年、京都を旅した時だった。
「お寺と日本庭園を徒歩で回るツアーに参加した時に、どこのお寺でもお坊さんが、私たちツアー客にお茶を出してくれたのだが、いれる人によってお茶の味がそれぞれ違うことに感銘を受けた。それまで日本茶を飲んだことはあったが、馥郁とした香り、複雑な味わいを感じたのは初めてのことだった。これは是非、習ってみたいと思った」
ロサンゼルスに戻ってすぐに先生探しを始めたが、お茶の世界に知り合いもなく、インターネットも今ほど充実していなかったため ...
盆栽は中国の唐に起原があり、平安時代の日本に伝わり花開いたと言われている。その盆栽が今、アメリカで人気を集めている。アメリカに盆栽を広めた功績者は故ジョン仲 氏。彼は日本で育った幼少時代に祖父から学んだ盆栽を、帰米した後、デモンストレーションや講演の形で人々に伝え続けた。今回、ご紹介するアメリカ人女性は、仲氏の弟子にあたる。
新しい世界が目の前に開けた
オレンジ郡フラトンにあるメアリーベルさんの家の居間には、日本の装飾品が数多く飾られている。彼女が単なる東洋趣味のアメリカ人でないことは、パティオに足を踏み入れた瞬間に分かる。二畳分ほどのスペースに、松や楓の盆栽の鉢が所狭しと配置されているからだ。すべて彼女自身の作品である。
一つ一つについて、「これは1967年から世話をしている盆栽、こっちは1984年」と ...