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日本文化に夢中:日本の伝統文化を極める“ガイジン”さんに、その魅力を聞くシリーズ

第6回 「内面のエネルギーを力に変える合気道」 - ロバート・ハイヤットさん

ロサンゼルス近郊のターザナで道場を運営するロバートさんが合気道に出会ったのは、17年前、目にする機会に恵まれたデモンストレーションがきっかけだった。当時はガールフレンドだった妻のナンシーさんとすぐに道場を訪ね、その場で二人同時に合気道に「恋をした」と振り返る。

人を傷つけない究極のセルフディフェンス

「ブルース・リーの『燃えよ、ドラゴン』に出ていた白人格闘家が出演していた『カンフーシアター』というテレビ番組を見て、マーシャルアーツにはもともと興味を持っていた。しかし、合気道に入門してからは、合気道がいかに他のマーシャルアーツと違うか、また自分に合っているかが分かって、さらにのめりこんでいった」

合気道が自分に合っていると感じたポイントは「人を傷つけたいとは思っていない」ことなのだという。自分から攻撃を仕掛けるのではなく、相手と自分の気をマッチさせること(合気)で大きな力を生み出し、自分を超える相手を投げ飛ばすのが合気道だ。つまり、究極のセルフディフェンス術だと言える。

現在は合気道三段の彼が運営しているのは、ターザナ合気会。ベンチュラ・ブルバードに面したオフィスビルの2階にあるその道場は、天井の吹き抜けの空間に畳が何十枚も敷き詰められている。上座には「合気道」と書かれた掛け軸、右上には合気道の開祖、植芝盛平の写真が飾られている。

ロバートさんの師匠は、ボストンを拠点に全米を飛び回り、アメリカにおける合気道の浸透に尽力した故金井師範だということだ。

合気道に用いられる「気」とは何かと質問すると、「誰もが内面に持っているエネルギー、それが気。そのエネルギーを引き出し、息の力で他者とつながることができる。それはまさに宇宙的なエネルギーとも言える偉大な存在」と説明してくれた。誰でもが持っているとは言っても、合気道の方法論に従って正しく引き出せる者だけが、真にその力を有効に用いることができるのだ。

「気の実践においては、深いレベルでの理解が必要だ。気を正しく用いずに合気道に取り組むことは危険な行為でもある」

合気道は人間修業でもある

合気道の術を日々上達させるべく、彼は1日に3時間の稽古を欠かさない。それだけの時間を捻出するには、会社勤めでは難しそうだ。きっと何かの専門職に就いているのだろうと想像したところ、「本職は弁護士なんだ」と聞いて合点がいった。

次に合気道を始める前と今とで何が変わったかを聞いてみた。

「精神面では、以前は短気を起こすことが多かったけれど、今では軽減され、人に対して親切な『より良い人間』になれたと思う。自分中心ではなく、他者の価値観を尊重できるようにもなった。すべて合気道のおかげ」。合気道は人間修業でもあるのだ。

合気道を極める人は、野菜と玄米中心というイメージがあるが、彼の食生活も変わったのだろうか?

「残念なことにビールが好きだし、菜食主義というわけでもない。日本に行くと、そこら中にビールの自動販売機が設置されているのが大きな誘惑だ(笑)」

ところが、菜食主義者であるナンシーさんの影響を受けた8歳になる息子さんは「豆腐,味噌、海苔が大好物」なんだとか。「彼は僕以上に、生まれもっての合気道家なんだ。合気道は、生まれもっての資質をどれだけ取り戻せるかという挑戦でもある。人は成長するにつれ、自然な動きを失ってしまう。だからこそ、母親の胎内にいる時から合気道を身に付けている息子には叶わない」

合気道におけるロバートさんにとってのゴールは、死ぬまで続けることだそうだ。弁護士の仕事は引退を迎える時が来るが、合気道家としての道には引退という文字はない。

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ターザナ合気会のウェブサイト: www.tarzanaaikikai.com

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* 本稿はU.S. FrontLine 2009年 7/5号からの転載です。

© 2009 Keiko Fukuda

aikido marshal arts tradition U.S. FrontLine

About this series

三味線、陶芸、詩吟、武道、着物…その道を極めるアメリカ人たちに、日本文化との出会いと魅力について聞く。(2009年のU.S. FrontLine より転載。)