ディスカバー・ニッケイ

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日系(ニッケイ)—をめぐって


2022年2月11日 - 2024年3月22日

日系ってなんだろう。日系にかかわる人物、歴史、書物、映画、音楽など「日系」をめぐるさまざまな話題を、「No-No Boy」の翻訳を手がけたノンフィクションライターの川井龍介が自らの日系とのかかわりを中心にとりあげる。

 



このシリーズのストーリー

第8回 ウラジオストク、日系の足跡

2022年5月27日 • 川井 龍介

今年2月にはじまったロシアのウクライナ侵攻によって、日本とロシアの関係が悪化したことで、日ロの歴史にまつわる地や人々は複雑な思いをしているのではないか。このほど、北陸の海岸線を取材旅行した際にふと思った。 旅は新潟市からはじまり富山、石川、福井と海岸線を車で走った。途中能登半島も一周し突端の禄剛崎へも足を運んだ。すると「ウラジオストック772キロ」という標識がある。ずいぶんとロシアも近い。 このあと再び西へとすすみ、福井県に入ると間もなく観光名所東尋坊に達する。ここから…

第7回 横浜の海外移住資料館、リニューアル

2022年5月13日 • 川井 龍介

移住、ニッケイを知る手掛かりに  移住や移民についての資料を展示しているユニークな存在として知られる「JICA横浜・海外移住資料館」が、このほどリニューアルオープンした。 明治時代から北米、南米に移住した移民の歴史をはじめ、移住先での仕事や生活の実態を紹介した展示の基本はこれまでと同じだが、映像や動画などを利用することでよりわかりやすくなり、また世代を重ねてきた「日系(ニッケイ)」社会のひろがりを考えさせる展示になっている。 横浜港は、明治維新による開国後、海外に開か…

第6回 ルーツを探して -テキサス・福山編-

2022年4月22日 • 川井 龍介

日本からアメリカへの移民というと、戦前は西海岸の諸州などでおもに労働者として雇われるというのが一般的だった。しかし、広く全米をみると、まれにだが日本人による入植事業という自営による移民という形もあった。 20世紀のはじめにフロリダ州南部につくられた大和コロニーはそのひとつだが、州単位でみると同じ南部のテキサス州での入植事業がもっとも盛んだった。 日露戦争の前、在ニューヨーク総領事の内田定槌は、テキサス州の米作の将来性を官報などで世に知らしめ、日本人の入植を奨励した。この…

第5回 ルーツを探して -フロリダ・兵庫編-

2022年4月8日 • 川井 龍介

取材などで日系アメリカ人に話をきく際に、「ご自分のルーツは日本のどこか知っていますか」「ルーツは日本のどちらですか」と、ついききたくなってしまう。それは、私自身がもし日系アメリカ人としてアメリカに生まれたら、自分のルーツはどこなのか、とある段階で知りたくなるとおもうからだ。 日本人は、たどれる範囲内で歴史を遡ってみても、だいたい日本のどこかがルーツなのはあたりまえだ。それでも、細かくファミリーヒストリーを調べてみると意外な発見があるのだから、国境を越えたところにルーツのあ…

第4回 「日系」と音楽文化

2022年3月25日 • 川井 龍介

日系(ニッケイ)とはなにか。政治や経済、スポーツ、食文化など、それを考えさせるテーマはいろいろあるだろうが、「音楽」に的をしぼったらどんなことが見えてくるだろうか。日系文化の研究でもあまりみることがないこの分野を長年研究してきた国立音楽大学の早稲田みな子教授がこのほど出版した「アメリカ日系社会の音楽文化 越境者たちの百年史」(共和国)からは、そんな興味への答えが浮かびあがってくる。 著者が焦点をあてたのは、アメリカの日系社会のなかでも北米大陸で最大の日系人人口を抱える…

第3回 ジャック白井と義勇兵

2022年3月11日 • 川井 龍介

外国人部隊への志願 ほぼ毎日トップで報道される新型コロナウイルスのニュースより大きな出来事が起きた。ロシアによるウクライナへの侵攻だ。「戦争」と表現するメディアもあるが、これは一方的な侵攻であり住民への虐殺行為である。 2月24日にロシアが侵攻してから、ほとんど世界の世論はロシアを非難しウクライナへの支援をさまざまな形で行っている。国家単位のものもあればNGO、そして個人レベルの支援もあるが、もっとも直接的なのは義勇軍の一員としてウクライナへ行き、ロシア軍と戦うことだ。…

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このシリーズの執筆者

ジャーナリスト、ノンフィクションライター。神奈川県出身。慶応大学法学部卒、毎日新聞記者を経て独立。著書に「大和コロニー フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)などがある。日系アメリカ文学の金字塔「ノーノー・ボーイ」(同)を翻訳。「大和コロニー」の英語版「Yamato Colony」は、「the 2021 Harry T. and Harriette V. Moore Award for the best book on ethnic groups or social issues from the Florida Historical Society.」を受賞。

(2021年11月 更新)