南米の日系人、日本のラティーノ日系人
日本在住日系アルゼンチン人のアルベルト松本氏によるコラム。日本に住む日系人の教育問題、労働状況、習慣、日本語問題。アイテンディティなど、様々な議題について分析、議論。
このシリーズのストーリー
南米の教育情勢と在日日系ラティーノの教育課題
2010年9月30日 • アルベルト・松本
日系就労者が来日し始めて20年、2008年末の世界経済危機の影響で昨年、日本在留プラジル人の約15%(45,000人余)、ペルー人の4%(2,250人余)が本国に帰った。それでもまだ日本には前者が約267,456人、後者が57,464人住んでおり、日系就労者の定住化傾向は高い。また、年間3,500人あまりがブラジル国籍者として日本で生まれており、ペルー国籍の場合は780人ぐらいという数値をここ数年維持している。義務教育学年齢に相当する5歳から14歳の児童については、ブラジル…
在日日系ラティーノの同胞団体とその課題とは
2010年8月17日 • アルベルト・松本
南米の日系就労者が来日してから20年になるが、これまでプラジル人をはじめ、ペルー人やボリビア人も日本国内各地で同胞互助や地域社会との交流や親善のために団体を設立してきた。ペルー人の中には以前、海外在住の日本人移民の県人会のような、出身地別の同胞団体もつくったケースもある。 しかし、ほとんどのイニシアチブは数年、中には数ヶ月で消滅している。筆者は、団体設立の際、定款の作成や法人登記について相談または翻訳依頼を受けることがあるが、その団体の運営や資金調達方法についてはあまりき…
日本での外国人の社会統合とは
2010年7月5日 • アルベルト・松本
2010年2月、外務省、神奈川県、IOM国際移住機関の共催で「外国人の受け入れと社会統合のための国際ワークショップ」が開催されたが1、筆者は「外国人を受け入れる地域社会の意識啓発」という分科会(武蔵大学のアンジェロ・イシ准教授が担当)で、数ヶ月にわたって他のメンバーらとこの課題を様々な視点から議論を重ねた。 外務省は8年ほど前から毎年このようなシンポジウムを行ってきたが、外国人の社会統合という言葉を用いたのは今回が初めてのようである。それだけ、日本の社会でも外国人との交流…
日系人の帰国支援事業による帰国を考察
2010年6月16日 • アルベルト・松本
2009年度も終わりに近づき、3月5日で日系就労者の帰国支援事業の受付も終了した。厚生労働省の集計(ほぼ確定)によると、20,649人が政 府の助成金で帰国しており、そのうち19,107人がブラジル国籍(全体の92.5%)、850人がペルー(全体の4%)、282人がボリビア、そして 68人がアルゼンチン人である1。申請件数が最も多かったのが、愛知県5,604件、静岡県4,437件、三重県1,634件、群馬県1,371件、滋賀県1,374県の順である。ブラ ジル国籍者が多い自…
モンテビデオCOPANIとウルグアイの動向に注目
2010年5月20日 • アルベルト・松本
今回の南米訪問最大の目的は、ウルグアイの首都モンテビデオで開催された第15回目のパンアメリカン日系人大会COPANIに出席することであった1。南山大学の浅香幸枝先生とサンパウロ大学の二宮正人教授とともに移民ワークショップで、筆者は日本の南米日系人について発表したのである。 二年ごとに開催される同大会では、米州の日系人の有力者が集まり様々な議題を議論するのだが、横のつながりを強化し、親善の促進が主である。弁護士や法律学者という専門家の会合もあり2、ユース会合もある。今回…