スティーブン・オカザキ~太平洋の真ん中に立つ映画監督-その2
>>その1
『ヒロシマ ナガサキ』でもう一人強く印象に残ったのは、谷口稜輝(たにぐち・すみてる)さんだった。証言している最中、突然服を脱いで自分の傷ついた体をカメラの前にさらし始める。谷口さんは16歳のとき、被爆で背中全体が焼けただれ、1年9ヶ月をうつ伏せで過ごした。そのため胸が床ずれをおこして肋骨の部分が浮かび上がり、茶色に変色している。オカザキによれば、谷口さんの突然の行動は全く予定していなかったことだったという。
谷口さんに限らず、オカザキの前で被爆者たちは非常にリラックスして本音を語っているように思える。それはオカザキが25年にわたって彼等と対峙してきたこともあるが、日本人でも白人でもない、彼の中立性が彼ら…