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ポキ専門店をチェーン展開中の起業家 -ジュリアン・福栄さん-

ポキ丼を広めたい、という一心

最近、ロサンゼルス界隈にポキ専門店が増えている。ポキとはハワイ発祥で、生のマグロを海藻やタマネギと一緒にごま油と醤油で和えたもの。ハワイ出身の日系人が多く暮らす、ここカリフォルニアでも馴染みのある食べ物だ。2015年12月現在、ロサンゼルス郊外のオレンジ郡アナハイムとハリウッドに店を構えるポキノメトリーのポキは、いわば、その進化形。マグロ、サーモン、ハマチ、アバコアなどの魚も含め、トッピングする具材、ベースに敷くライス、ソースまですべて選んで自分好みのポキ丼を完成させることができる。

ハリウッド・ハイランド内、ポキノメトリー2号店の前でのジュリアンさん。補習校あさひ学園OBで日本語も堪能。

この「自分だけのポキ丼」のアイデアを考案したのが、同店のオーナーで日系2世のジュリアン福栄さん、24歳。

ジュリアンさんの両親は、オレンジ郡のタスティンでトミー寿司という寿司屋を1980年代から経営していた。ジュリアンさんが17歳の時、両親は離婚。それまで寿司を握っていた父親が店を離れたことで、彼は18歳の時からトミー寿司で働き始めた。下積みの後、彼自身も寿司を握るようになり、さらに社長として経営も引き継いだ。

そうして働く中、トミー寿司で大人気メニューのポキ丼を、常連の顧客だけでなく、まだその存在を知らない人々に広めたいと彼は願うようになった。そして、カウンターで好きな具材を選ぶ、現在の「ポキノメトリー」スタイルを考えつき、2014年にアナハイムに第一号店を開店した。

広告も出さなかったのに、口コミだけで人気に火がつき、瞬く間に多くのメディアにも取り上げられた。今ではアナハイム店の1日のポキ丼の販売数は1500杯にもなるとか。

準備に4カ月しかかけず、まさに勢いで開店にこぎつけたと振り返るが、彼の勢いはさらに加速した。2015年には2号店として、アカデミー賞の授賞式会場のドルビーシアターのあるショッピングモール、ハリウッド・ハイランド内に出店を決行。ここもまた、ランチタイムになると、近隣のビジネスマンから観光客に至る人々がポキ丼を求めて長蛇の列を作る人気店になるのに時間はかからなかった。


寿司職人としてのプライド

人気の秘密はそのアイデアと手軽さ以前に、当然ながら美味しさにある。現在もポキノメトリーの2店とトミー寿司を忙しく回っているジュリアンさんは、寿司の板前としても現役だ。その職人としてのプライドは、食材選びにも妥協を許さない。

「魚は静岡産のハマチなど、日本産のものを使うことが多いです。食品業者も、日本食のことがわかっている日本の業者を使います。寿司屋としてのこだわりですね」。聞けば原価率は6割近いとか。「それでも自分が納得できる良いものしか使いたくないんです。納得できて、さらに自分がやっていて楽しいと思えることをやりたいんです」

楽しさを追求する姿勢は、人材選びにも現れている。彼の店で働くスタッフに経験は求めない。モチベーションの高い人材を採用し、ジュリアンさんの店で経験を積んで飛躍してほしいと語る。

「うちの店で働けば、板前としての経験がなくても、魚などの食材を扱うことができます。そういう機会を活用してほしいと願っています」

前述のように3店を回るという忙しい日々を送る彼に、競合のポキ店を視察する時間はあるのだろうか?その問いにジュリアンさんは「いや、他の店を食べ歩く必要はないです。自分の店の味に絶対の自信を持っているから。ファーストフードスタイルの参考にと、アメリカ料理を回ることはあってもポキの店には行かないですね」と即答した。


日本食経営者の新世代

店に出る傍ら、3号店をどこに出すかという検討作業にも入っている。「テキサスや北カリフォルニアに出す日本食店が多い?いや、僕の場合は目が届く範囲でないと安心できないので、遠くは考えていません」とも。

10年後の自分を想像できるかという問いには…。

「まったく想像できませんね。1年半ほど前にポキノメトリーを始めてからは、目が回るような日々を送っているので、あまり先のことは考えられません。でも、もしかしたら、10年後にはポキや寿司とは違うことをやっているかもしれないです。それでも和食から離れることはないでしょうね」

現在もジュリアンさんと共にトミー寿司で切り盛りしている母親は、ポキノメトリーを手掛けることに対してどのようなアドバイスをくれたかも聞いてみた。「アドバイスではないんですが、母には失敗するなら若いうちにしておいた方がいい、挑戦してみなさい、と言われました」

自分の寿司屋の人気メニューを多くの人に知ってほしいとカジュアルスタイルの店を始め、さらに世界中から人が集まってくるハリウッドにも店を開けるなど、アイデアを着実に形にしているジュリアンさん。彼のような新世代の手腕によって、日本食はそのファン層を今後益々広げていくに違いない。

ハリウッド店で店長(左)と共に働く。

www.pokinometry.com

 

© 2015 Keiko Fukuda

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