Ryusuke Kawai

ジャーナリスト。慶應大学法学部卒。毎日新聞記者などを経て独立、ノンフィクションを中心に執筆。『大和コロニー「フロリダに日本を残した男たち」』(旬報社)、『「十九の春」を探して』、『122対0の青春』(共に講談社)など著書多数。日系2世の作家、ジョン・オカダ著『No-No Boy』の翻訳を旬報社より出版。『大和コロニー』は、「Yamato Colony: The Pioneers Who Brought Japan to Florida」として、University Press of Floridaより英語版が出版。

(2018年3月 更新)

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「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって

第20回 ネブラスカ州とニューメキシコ州の日系人

ネブラスカ州

ネブラスカ州は平野が多く、地味豊沃で農業や畜産に適している。おもな産業は農業で、穀物、果物、野菜、砂糖大根、牧草など多種類で、馬の名産としても知られる。州都のオマハは製造業が盛んである。

この州に本格的に日本人が移住してきたのは、1904年で、岡島金弥によってオマハの缶詰工場に約120人が送り込まれたのが最初とみられる。

そのほかの移住者としては、UP鉄道、バーリントン鉄道の沿線に、集団で送り込まれたものがいて、その後、付近の農園で働き、なかには農業家として住みついたものもいる。

商業としては、オマハ、ノースプラット、スカッチブラフなどでホテルや洋食店 ...

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「米國日系人百年史」を読み直す~パイオニアたちの記録をたどって

第19回 アリゾナ州とコロラド州の日系人

アリゾナ州

「砂漠とカクタスとカウボーイとで表象されたアリゾナの炎熱と闘い抜いて今日の農耕地を築きあげた日本人の開拓者的努力は尊い」という書き出しで「百年史」のなかのアリゾナ州ははじまる。また、「アリゾナの農業にとり日本人は大恩人である」ともいう。

日本人による農業は、1905年にサンフランシスコの日米勧業社によって120人の労働者が精糖会社の農園に入り込んだのが最初である。以来、各地で各種野菜やイチゴなどの栽培が行われた。

州内の日本人農業史の特色としては次のように記している。

「日米開戦直前から岸山嘉十郎がフイニックス南部のサウス・マウンテン傾斜地に春の切り花(スーク、スナップドラゴンなど)の耕作をはじめ、戦後、中村、渡辺、中川らもこれにつづき同地帯一帯に花園業が盛んになったことである」

農業労働より早く、この地に入り込んだ日本人もいる。1980年代の初期に入った大貫八郎である ...

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第18回 ネヴァダ州の日系人

戦後は各地に散在し、縮小

「百年史」が、各州別で紹介のために割いているページ数は、該当する州に在住する日本人や移民当初の日系人の数とは関係がないようだ。前回紹介したユタ州の日系人は、44ページにわたって紹介されているが、その西隣になるネヴァダ州(第10章)は、わずか5ページである。

1910年当時の日本人の数は、ユタ州が2110人で、ネヴァダ州には864人。この割合にしては、ネヴァダ州についての日系人の情報は少ない。その理由は、戦争を挟んだのちもユタ州では大きな日系人社会が存続したのに対して、ネヴァダ州は事情が違ったからだったようだ。

「日米開戦にともない、銅山地帯は強制立退きに遭い、戦後は一部商業に従事するもののみが帰還するにすぎず、他地方も減ったのが多く、ネヴァダ州日系人は各地に散在し戦前よりも振るわぬ現状である ...

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第17回 ユタ州の日系人

鉄道、鉱山、農業からはじまる 

カリフォルニア州の東隣りがネバダ州、そのさらに東にユタ州は位置する。北はアイダホとワイオミングの両州に接し、東はコロラド州、南はアリゾナ州が控える。気候は比較的乾燥していて、四季ははっきりしているのが特徴だ。 

モルモン教が拓いた地として有名なソルトレーク市を州都に抱えるユタ州は、19世紀後半、鉄道の敷設と鉱山の開発で発展、そのなかに日本人の足跡もある。初期の様子を「百年史」こう記している。

「当州に日本人が入りはじめたのは一九〇〇年代の初め、鉄道工夫、農園労働、或は鉱山人夫として夫々の契約者に送り込まれたのであるが、それより以前、一八九〇年前後、ユタ州オグデン市に日本人醜業婦が入込み、ついでモンタナ州ビユテ方面から流れ込んだ同種の日本人女性がソートレーキ市にも現れたが ...

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第16回 モンタナ州の日系人

グレート・ノーザン鉄道から始まる

北はカナダと一直線の国境で分かれているモンタナ(Montana)州は、東をノースダコタ、南をワイオミング、西をアイダホの三州と接している。「百年史」では、「モンタナ州に日本人が最初に入込んだ経緯は詳らかではないが、一八八四年から一八九〇年頃の間、多い時は三十名も鉱山町ビュテに日本人賤業婦が入込んだといわれ、しかし大量に入ったのは一八九八年、東洋貿易会社がグレート・ノーザン鉄道会社に日本人労働者供給の契約を結び、多数を送り込んだことに始まる」と、いう総説ではじまり、10ページにわたって、紹介している。

以下、興味深い点などを追って、まとめてみよう。

前回紹介したワイオミング州 ...

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