Chieko Shirota

関西学院大学非常勤講師。社会学博士。研究分野は華僑華人研究、中国女性史。
主要研究論文は「チャイナタウンのない華僑――大阪の華僑社会の変容とダイナミズム――」(博士論文)、「戦後台湾の社会変容と女性、家族」、「大阪における華人キリスト教会の変遷」など。

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来日就学生物語 ~マイグレーション研究会メンバーによる移民研究~

第9回 ある台湾人女性の日本留学体験 -許秋槎のライフヒストリー-

はじめに  

1920年代から30年代にかけて、日本の統治下であった台湾から多くの若者が日本本土に留学した。いわゆる内地留学である。専門分野は多岐にわたっているが、特に実業と医学関係が多かった。1930年代後半以降には、男子だけではなく女子の留学生も増加する。女子を含む台湾人の日本留学の隆盛の背景には、日本統治下において男女ともに教育水準の向上によって進学熱が高まったものの、台湾での高等教育の限界があったことがあげられる。また、日本統治下で日本の言葉や風習にすでに慣れ親しんでいたこと、植民地という文化的周辺に住む人々の、文化的中心である宗主国へのあこがれが存在していたことも台湾人の日本留学を後押しする要因であったといえる。

本稿では、1930年代後半、日本へ留学したある台湾人女性のライフヒストリーを通して、日本留学体験とその影響について考えてみたい。

1. 来日するまで ―生い立ちから日本留学の経緯― 

許秋槎(きょ・しゅうさ ...

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