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ニッケイ物語#5: ニッケイ語:家族、コミュニティ、文化の言葉

三人の子どもたちへ —お父さんの多言語生活体験—

三人の子どもたちへ

こんにちは。元気ですか?

君たち三人は、このアメリカという国で生まれて、家の外では英語で、そして家の中では日本語を話すという多言語な生活をしていますね。現地の学校に通いはじめてから英語がとても上手になってきて、英語で話しをするのは簡単だと思って欲しい反面、日本語で話しをしたり、聞いたり、書いたり、読んだり、考えたりすることは面倒くさい事だとは思わないでいてほしい。お父さんも子どものころは、メキシコに住んでいたので、家の外ではスペイン語、家の中では日本語という生活をしてきました。

今日はお父さんの子どもの頃から今に至るまでの経験を伝えながら、君たちに多言語は面白いという事を感じてほしいと思います。

さっきも言ったけど、お父さんは、メキシコで生まれて高校を卒業するまでメキシコに住んでいました。君たちのメキシコのお祖母ちゃんこと、お父さんのお母さんが、決まってする話しがあります。お父さんが小さかった頃、メキシコ人の友達に日本語を教えるためにこんな事を言ったそうです。 

「あでぱと いでぺろ うでこねほ」

なんのことか分かりますか?

「あ、デパート? 井出ぺろ? 腕こね帆?」

未だこれだけだと、なんのことか分からないね。じゃぁ、この文章をスペイン語にしてみましょう。

“A” de pato, “I” de perro, “U” de conejo.

最初の日本語文の「で」以降はスペイン語だと考えると分かりやすくなります。でも、まだこれだと文章としては意味をなしてないよね。なので、次は解説をつけてみます。

「あ」de Pato (Pato=あひる=Ahiru )、「い」de Perro (Perro=いぬ=Inu)、「う」de Conejo (Conejo=うさぎ=Usagui)

わかりましたか?小さかった頃のお父さんは、スペイン語を話す友達に日本語を教えようと思って、日本語とスペイン語を上のように混ぜて話しをしたことを、君たちのお祖母ちゃんは昨日の事の様に楽しそうに話しをします。また、小さかった頃のお父さんは、こんな事もいったそうです。

「お母さん!今から、ぼく、この階段をばはるからね!」

なんのことかわかりますか? 

ばはる? 場を張る? 縄張り? 階段で? 

さっきと同じ様に、スペイン語を混ぜて考えると分かる様になります。つまりこういうことです。

「お母さん!今から、ぼく、この階段をBajarからね!」

わかりましたか?まだ小さかった頃のお父さんは、スペイン語の「下りる」という動詞Bajar(バハール)を日本語の様に活用して君たちのお祖母ちゃんと話しをしたみたいです。

変化/活用する前のスペイン語の動詞が全部「R」で終わるということ、同じく変化/活用する前の日本語の動詞が「る」で終わるということを、お父さんは共通点として認識したみたいですね。

他の例をあげてみましょう。

「食べる」のスペイン語は「Comer」ですが、カタカナでかくと、コメールとなり、発音すると「こめる」と聞こえます。逆に「食べる」をスペイン語っぽく書いてみると「Taber」と書けます。これを踏まえて、こんな文章を作ってみました。

お父さんは今からこの弾丸をコメール。(いいえ、弾丸を込めるのではりません、comerのです。)

Voy a TABER unas pizzas en una taberna.  (¿A caso, es una coincidencia que 食べる y Taberna suena muy parecidas?)

日本語とスペイン語を理解している人であれば、この二つの文章の可笑しさや滑稽さを楽しんでもらえると思います。他には、日本語の地名や言葉をスペイン語として聞いてみたり、逆に、スペイン語を日本語として聞くといった言葉遊びも楽しいと思います。少し例をあげてみると・・・

新宿 → Sin Juku

Sin は「〜〜が無い」という時に使います。Jukuとやらが何かはわからないけど、スペイン語の耳では、新宿はJUKUのない場所ということになります。日本語で新宿の名前の由来を知っていたら、スペイン語にしたとたんに意味が矛盾するところがお父さんは面白いと思うんだよね。

秋田 → Aqui’ta

Aquiは「この場所という意味での〝ここ〟」という意味です。’ta は居るという動詞estarの二人称または三人称現在形のestá を短縮して発音した様に聞こえるので、Aqui’ta は誰かは分からないけど、どうやら「ここにいる」ということが分かります。秋田にいるその人はやっぱり美人なんでしょうね。

Queretaro → 蹴れ、タロー

水道橋があることで有名なメキシコのとある町の名前を日本語の耳で聞くと、とたんに、サッカー少年たちの会話に聞こえてくるのが面白い。

Otorrinolaringólogo → 囮野良リンゴ ロゴ

耳鼻科のことをスペイン語ではこう書くのですが、日本語の耳で聞いたとたん、囮の野良リンゴのロゴと聞こえて、野良リンゴが囮の状態のロゴってなんだろう?と考えるとおかしくなっちゃいます。

こういった言葉遊びの多くは、ダジャレだったり、ゆかいな情景を想像するだけのものだけど、こういう経験の積み重ねがあって、お父さんは多言語生活は楽しいと感じるようになったと思います。この手紙に書いていることの全てをお父さんが子どもの頃から理解していたはずはありませんが、少なくとも君たちのお祖父ちゃん、お祖母ちゃんは、お父さんが子どもの頃から、両方の言語に苦手意識を持たない様に育ててくれたことは間違いありません。

だから、お父さんも、君たち三人が君たちも英語と日本語の多言語生活を通じて、自分たちの楽しみ方を見出してほしいと思います。今度、英語に聞こえる日本語や、日本語に聞こえる英語の言葉さがしをしてみようね。

                                                                           お父さんより

 

© 2016 Toshiro Obara

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About this series

「アリガトウ」「バカ」「スシ」「ベンジョ」「ショウユ」・・・このような単語を、どのくらいの頻度で使っていますか? 2010年に実施した非公式アンケートによると、南カリフォルニア在住の日系アメリカ人が一番よく使う日本語がこの5つだそうです。

世界中の日系人コミュニティで、日本語は先祖の文化、または受け継がれてきた文化の象徴となっています。日本語は移住先の地域の言語と混ぜて使われることが多く、混成言語でのコミュニケーションが生まれています。

このシリーズでは、ニマ会メンバーによる投票と編集委員による選考によってお気に入り作品を選ばせていただきました。その結果、全5作品が選ばれました。

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  • ポルトガル語:
    ガイジン 
    ヘリエテ・セツコ・シマブクロ・タケダ(著)

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