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特別座談会: 四世ビザはどうあるべきか?=日伯交流の将来担う人材育成の枠組みとして=

第7回 枠組みとしての「呼び寄せ」システム

帰化すれば手に入れることになる日本のパスポート

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日本にも「呼び寄せビザ」があれば良いのでは 

【深沢】それで思ったんですけど、大半の日系人には日本ですでに永住・定住している親戚がいるような状態ですよね。

だから、その人たちが「呼び寄せる」って言う形もありじゃないかと。で、その人たちが呼び寄せるんだったら、結果的にサポーター的な役割をすることになる。今回の制度でも、サポーターには「永住者資格」のブラジル人でもなれる訳ですから、日本の親戚と連絡をとってバンバンとサポーターになってもらって、その親戚が働いているところに仕事も紹介してもらうというのが一番ありそうですよね。

ところで、日本に「呼び寄せビザ」という制度はあるんですか?

【永井】呼び寄せビザというか、三世の方は呼び寄せる形でもいけるんですよね。日本在住の親族が在留資格認定証明書というのを法務省、まあ、入国管理局から取らないといけないので、それが呼び寄せなんですよ。

【深沢】呼びよせの手続きを簡単にして、幅広く出来るようしたらどうでしょうか?

【永井】ただし、ブラジルの制度にあるような「呼び寄せビザ」は無いんですよね。

【深沢】あー。

【永井】なんかの要件に当てはまらないと呼べないので。

【深沢】だからその例えば、三親等どころか、四親等ぐらいまで呼び寄せられるようにしたら良いのではないかと思います。(編註=本人はゼロ親等、両親が一親等、おじいさんやおばあさん、実兄弟が二親等、いとこは四親等)

【永井】基本的には呼び寄せられる人が、日本の場合はすごく厳しく制限されていて、高度技能者のビザを持っている場合は、すごいITスペシャリストだとか、大学の先生だとか、弁護士の資格を持っている外国人で、その高度技能者って言うジャンルに当てはまる人なら、親を呼び寄せられる。そういう在留資格もあります。

ただし、普通の永住者だとかは基本的に親を呼び寄せることは出来ない。呼び寄せできるのは奥さんと未婚で未成年の子どもだけになっています。

【島野】そもそも身元保証人っていうのは―。

【永井】誰か親戚が身元保証人にはなれば三世の呼び寄せは出来るんですけど、四世以降の呼び寄せは出来ないことになっているんです。

【島野】ただし、たしかサポーターも永住ビザを持っている人じゃないとなれない。なので普通に定住ビザでいる人たちはサポーターになれない。

【永井】日本に住んでいるブラジルの方、半分以上が永住ビザなので、永住を持っている人は相当多いんじゃないかと。

【深沢】「呼び寄せ」がもっと簡単に出来るようになると、こっちの人は行きやすいでしょうね。日本からしても、日本側に誰か拠点となる人間が呼んでる、日本のことをある程度わかっている人間が呼んでるわけだから、安心に呼べる仕組みになるんじゃないかって気がするんですよね。

【永井】家族で一緒に住むことってすごく大切なことなので、そういう権利を保障するような制度っていうのはちゃんと整備して欲しいなと思うんですけどね。

【深沢】本当は五世でも六世でも呼べるような枠組みとして「呼び寄せ」を作ってほしいですね。

そういう仕組みを作っておいてくれれば、親族の誰かが日本に住んでいれば、それをテコにして家族、行きたくなった人が皆行ける。あと、ときどき在日日系人に聞くんですけど、日本に帰化する条件が難しいと言うんですね。もう少し帰化する条件を緩和してもいいんじゃないかと。

ブラジルだと、ここで生まれたらブラジル国籍もらえるわけですよね。で、日本の場合は日本国籍にしないとならない。

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* 本稿は、ニッケイ新聞(2018年8月28日29日付)からの転載です。

 

© 2018 Masayuki Fukasawa / Nikkey Shimbun

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このシリーズについて

四世ビザが成功して五世、六世まで訪日就労しながら日本文化を学べるようになるならば、この査証制度は日系社会の将来を左右する大事な制度ではないか――そんな問題認識に基づいて、元デカセギ子弟で帰伯後にブラジルで弁護士になった島野パトリシアさん、デカセギ対応の最前線にいる国外就労者情報援護センター(CIATE)の専務理事・永井康之さんを迎えて、ニッケイ新聞の深沢正雪編集長と座談会を行った。

(※この座談会は2018年6月に実施され、その後の事情の変化を反映するために加筆訂正したもの。ニッケイ新聞からの転載。)