深沢 正雪

(ふかさわ・まさゆき)

1965年11月22日、静岡県沼津市生まれ。92年にブラジル初渡航し、邦字紙パウリスタ新聞で研修記者。95年にいったん帰国し、群馬県大泉町でブラジル人と共に工場労働を体験、その知見をまとめたものが99年の潮ノンフィクション賞を受賞、『パラレル・ワールド』(潮出版)として出版。99年から再渡伯。01年からニッケイ新聞に勤務、04年から編集長。

(2009年1月 更新)

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有名日系経営者と日本語で許しを乞う乞食の格差

「セグランサ(治安)の問題があるから、名前と写真は出さないでくれ」――8月28日夜、聖市のジャパン・ハウス内のレストラン藍染で行われた、TOTOの便座およびウォシュレット製品の発売開始式で、それを専売するFAST SHOP創業者である日系人に初めて会い、話をしていてそう釘を刺された。

FAST SHOPは全伯9州に101店舗を展開する大手家電販売チェーン店だ。スマホやコンピューターなどの情報家電から、液晶テレビ、洗濯機、冷蔵庫、調理家電など幅広い商品を扱う。だが「安かろう悪かろうでも売る」という普通の大手家電の商法ではなく、中産階級以上にターゲットを絞った定評のある商品だけを選別して売っている。

実はコラム子も愛用しており、一昨年はパナソニックの冷蔵庫 ...

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表現の自由のために、軍政と闘った日系漫画ゲリラたち

戦車と機関銃で言論を統制したブラジル軍事政権(1964―85年)に対し、表現の自由のためにMangaという武器をとって戦った日系の若者たちがいた。

3月17日のブラジル漫画家協会(Abrademi)35周年で顕彰された3人は、みなEDREL出版(Editora De Revistas E Livros)の関係者だった。この出版社がブラジルで最初に日本式漫画を出版した会社であり、その主力メンバーは当時20代の日系二世ばかりだった。

その唯一の生き残り、福江豊パウロさん(71)は会場で漫画「Sanjuro」を販売していた。「軍政時代に検閲を受けて、出版されなかった作品なんだ ...

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ブラジルを「故郷」にするなら桜を植えよう — 郷愁とブラジル日本移民 - その2

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ブラジルを「故郷」にするなら桜を植えよう

戦前移民にとって桜を見ることは夢だった。日本にしかないものだったからだ。

胡椒、黄麻、紅茶、数々の野菜など商品作物の苗や種は、戦前からブラジルに持ち込まれていた。だが桜の苗が、ブラジルに持ち込まれるようになったのは戦後。これは、なぜだろうか。

島田さんの話を聞きながら、「花咲じじい」と言われた故西谷博さん(1919―2015)を取材した時のことを思い出した。

サンパウロのカルモ公園に桜を植え始めた一人で、俳人・西谷南風としても知られ句集『さくらもり ...

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ブラジルを「故郷」にするなら桜を植えよう — 郷愁とブラジル日本移民 - その1

「静岡の茶畑そっくりだ」―サンパウロ市から南西に190キロほど下った海岸部レジストロの茶畑に取材に行き、故郷の光景を思い出した。

といっても、緑茶ではなく紅茶だ。聞けば、原料となる茶葉は緑茶も紅茶も一緒だが、加工工程が違うのだという。お茶畑がそっくりなワケだ。

ブラジルは「コーヒー王国」と言われて久しい。だが、かつてそこに日本移民が「紅茶の都」を作ったことは余り知られていない。

最盛期の80年代には、このレジストロだけでお茶工場が42もあった。紅茶は国内消費がごく少なく、完全な輸出産業だった。だから、90年代の為替変動で輸出競争力が激減し、一気に衰退してしまった。

大半が紅茶生産から手を引いた後も、細々と生産し続けていたのが ...

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特別座談会: 四世ビザはどうあるべきか?=日伯交流の将来担う人材育成の枠組みとして=

最終回 ワーキングホリデービザの可能性

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【永井】あれ、まだワーキングホリデー(WH)の話をしていないですけど…。

【深沢】ああ、そうだWH!

【永井】これは重要じゃないですか(笑)

【深沢】やっぱり日系人だけのビザ制度だと手落ちですよね。日本のことが好きなブラジル人にも日本を体験できるような制度としてWH、日伯の間で協定を結んで、ぜひ1万人くらいの規模でやってほしいですね。すでにアルゼンチン、チリでは始まっているんですから、ブラジルでも是非。

【永井】特に最近なんですけど、日系団体でもブラジルの人を排斥するわけにはいかないので、「入りたい、日本文化がすごい好きだ ...

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