山本 岩夫

(やまもと・いわお)

立命館大学名誉教授。専門は日系アメリカ・カナダ文学。主な業績は共著『ヨーロッパ現代文学を読む』(有斐閣、1985)、共編著『日系アメリカ文学雑誌集成』全22巻、別冊1(不二出版、1997-1998)、共著『戦後日系カナダ人の社会と文化』(不二出版、2003)、共編著『南北アメリカの日系文化』(人文書院、2007)、共訳『ヒサエ・ヤマモト作品集―「十七文字」ほか十八編―』(南雲堂フェニックス、2008)。

(2011年1月 更新)

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日系アメリカ文学雑誌研究: 日本語雑誌を中心に

幻の文芸誌『收穫』-その3/4

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3.『收穫』の方針と内容

『收穫』の方針を各号の巻頭言によって明らかにし、作品をジャンル別に検討してこの雑誌の内容上の特徴点を示しておきたい。

(1)巻頭言
『收穫』を創刊した北米詩人協会の趣意については既に述べた。それがこの同人誌の趣意となり、方針ともなるわけであるが、各号に掲載された編集代表者執筆の「巻頭言」の中で『收穫』が目指すべき文学の在り方がもう少し具体的に述べられている。

加川文一は「創刊の言葉」の中で「特殊な事情と環境のうちに今かうして{アメリカで}生活している私共は、其処に異つた新しい ...

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日系アメリカ文学雑誌研究: 日本語雑誌を中心に

幻の文芸誌『收穫』-その2/4

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2. 『收穫』の誕生とその後の経過

『收穫』は1936年12月、北米詩人協会の機関誌としてロサンゼルスで創刊され、第二号から文芸連盟の機関誌となり、1939年6月の第六号をもって休刊となった。創刊に当たっては加川文一(1911年生まれ)が中心的な役割を果たしている。 加川は呼び寄せ一世で、日本語と英語で詩を書いた。1930年に詩人で評論家のイーヴァ・ウィンターズの序文を載せた英詩集『ヒドン・フレイム』(Hidden Flame)を発表し、詩人として全米にその名が知られていた。

北米詩人協会は1936年9月12日、南加詩人協会を改名して生まれた組織である。発足当日の会合は盛会で ...

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日系アメリカ文学雑誌研究: 日本語雑誌を中心に

幻の文芸誌『收穫』-その1/4

はじめに

1930年代の半ばに刊行された同人誌『收穫』は長い間、幻の文芸誌だった。創刊当時から注目されていて、『加州毎日新聞』『羅府新報』などの文芸欄には『收穫』が発行されるたびにその知らせの記事が掲載され、それに対する批評もしばしば載せられている。

日本人移民に関する歴史書にも、その文学の頃には決まってこの雑誌への言及がある。『在米日本人史』(1940)に「一九三六年には林田、加川、伊丹、上山らにより北米詩人協会が設立され雑誌『收穫』が発行された」と記されている。この言及のことばがほぼそのまま受け継がれて ...

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