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パサディナの日本庭園を守る、「二世半」

パサディナの日本庭園を守る、「二世半」
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知る人ぞ知る「ストーリアー・スターンズ日本庭園」。パサディナのハンティントン病院の近くにあるこの庭園は、第二次世界大戦前に南カリフォルニアの富豪たちが自宅の広大な敷地内に造ったものの中で、唯一残存する日本庭園とされている。この庭園を地道に守る「二世半」が、ドーン・イシマル・フレージャーさん(82歳)。信頼置けるボランティアであるだけでなく、同庭園を資金面でも支える一人だ。

毎週木曜日の朝8時。スウェットパンツ姿のフレージャーさんは、パサディナの元中心街(オールドタウン)にある自宅コンドミニアムから車で5分ほどの同庭園へ通うのを楽しみにしている。「ここへ来ると、魂が解きほぐされる感じがするのよ。この静寂のひと時が大好きなの」と語る。お昼までの4時間、庭園内の木々や植物のお世話をするのが、ボランティアとしての仕事だ。

フレージャーさんが初めてこの庭園を知ったのは数年前。婦人会の友人たちと一緒に庭園ツアーと昼食会に参加。その美しさに魅了され、すぐに会員登録してボランティア活動を始めた。植物管理担当のチューチョ・ロドリゲスさんから丁寧な指導を受けた。最初は、ツツジの枯葉集めだけ。次第に認められ、次は椿の刈り込み。今では、アジサイの手入れを任されるようになった。「チューチョは、植物や木々の知識がとっても深いのよ。日本語がうまく話せない私には良くわからないけれど、チューチョの日本語は、随分と高尚よ」と笑う。コロンビア生まれロドリゲス氏は、日本へ留学経験があり、大学レベルの流暢な日本語を話す。

ストーリアー・スターンズ日本庭園は戦前、資本家のチャールズ・ストーリアー・スターンズが、一世の庭師フジイ・キンズチ氏に造園を発注。1935年から1942年に強制収容されるまでの約7年間にデザインから庭造りまで一手に手掛けた。戦後長い間、手入れを怠っていた同庭園を、現所有者のジム・ハダド夫妻が、カリフォルニア州立ポリテクニック大学ポモナ校の名誉教授故上杉武夫氏に修復工事を依頼。2013年に一般公開され、非営利団体の「ストーリアー・スターンズ日本庭園」が運営管理している。

ドーン・イシマル・フレージャーさん

フレージャーさんの父親は、福岡県出身で一世のイシマル・クラヒコ氏、母親はシアトル出身で二世のウエダ・チズコさん。ルーズベルト大統領が署名した大統領命令9066が発令され強制収容されるまで、現在の「ソーテル・ジャパンタウン」近くに住んでいた。誰かから「北カリフォルニアへ行けば、強制収容されずに済む」と聞き、一家でフレズノへ引っ越した。残念なことに、当地へ着くや、それが単なる噂だったと判明。最初は、アーカンソー州のジェローム強制収容所、次に同ローワー強制収容所へ移され、終戦まで強制収容所生活を過ごした。

戦後、南カリフォルニアのオックスナード近郊の小さな町リードリーへ一家で移住。当地は、クエーカーの信仰に似た「メノナイト」の人々が多く住んでおり、日系人のイシマル一家を温かく迎え入れてくれた。フレージャーさんは、帰還してくる負傷した多くの兵士の姿を目の当たりにした。「オキュペーショナル・セラピスト(OT・作業療法士)になろう」と決意し、ミルズカレッジへ入学。大学卒業後、OTとして働いていたモデストで、整形外科医で将来夫となるキャルビン・フレージャー氏に出会った。

サンフランシスコで暫く勤務した後、ロサンゼルス郊外のラカニャダへ引っ越し、開業。二人三脚で患者の絶えない病院経営をした。1997年にご主人が他界してから未亡人だ。数年前に、大邸宅を売却し、2LDKの今のコンドミニアムへ移った。

郊外に住む日系人の多くがそうであるように、フレージャーさんもリトル東京のイベントや活動には余り参加しない。地元地域に密着した生活をしながら、日米の文化交流に貢献している。スポットライトに当たることはほとんどないが、日本との友好関係を大切にしようと努めている。ストーリアー・スターンズ日本庭園は大きな団体と違い、出席しなければならない会合も無いし、服装規定もない。また、自宅に近いことが何よりの魅力だ。「それにここに来ると、『Nonbiriよ。視点や感情が解放されて、膨張する感じになるの」と話す。

フュージョン舞踊家、梅川壱ノ介

フレージャーさんは、同庭園が4月6日(土)に開催する「テイスト・オブ・ジャパン」を日系コミュニティーに紹介し、多くの日系人の来訪を期待している。今回は、日本から新進気鋭のフュージョン舞踊家、梅川壱ノ介を招聘。日本の美酒と広島のお好み焼きやおにぎりを楽しめる企画だ。

「この秘宝をもっと多くの達たちに知ってもらいたいけれど、この静けさと佇まいは残したい。矛盾しているわね」と笑う。

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テイスト・オブ・ジャパンの参加費は、一人60ドル。申し込みは、こちらのサイトまたは、電話 (626) 399-1721 まで。

 

© 2019 Makiko Nakasone

Japanese Garden Storrier Stearns Taste of Japan volunteer