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The Nikkei of Latin America and Latino Nikkei

2021年パラグアイCOPANI ~ 私の願い-その2

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ここ数年、多くの日系リーダーはCOPANI大会の疲労を口にしている。詰め込みの講演や分科会オンパレードを指摘する人も多く、内容だけでなく時間的余裕や特徴ある発表を望んでいる。ときには開催国の重要課題について他の国の関連事例を取り上げたり、専門家の意見を伺う機会を持つことも必要かもしれない。基調講演は日系人である必要もないし、トピックを絞って様々な世代を交えて議論するのもいいだろう。

多くの大会では若者「ユース」の部門があり、若者同士で意見交換する機会を提供している。しかし、若者だけのワークショップでは大会の成果は半減してしまう。そのような場にこそ、各国のベテラン指導者にも参加してもらい、彼らと共に話をし、時には助言をもらい、世代を交えて正面から議論することが良いと思われる。若者もそれを求めているに違いないが、遠慮もあるし、そのアプローチを間違えると意見の食い違いが深まり排他的は関係になってしまうリスクがあるので注意しなければならない。

リマ大会では、若者のゲーム式の分科会に参加した。そこには私を含めて数人、多世代の参加者がいた。テジタル世代の若者はスピーディーに明確な答えを求める傾向がある。それが必ずしも間違えであるとは言えないが、我々の世代には理解できないことも多々ある。この分科会に参加することで、私自身、若者達がどのような視点で今の日系社会をみており、地元社会との関わりを持ちたいかを垣間見ることができた。また、我々の世代が成功事例だけでなく失敗談なども含めて彼らに伝えることは、若者たちのプラスになると感じた。それがベテラン指導者らの補完的な役割でもあるのではないだろうか。若い世代はなかなか諸先輩に失敗談などは聞けないので、そのようなリラックスした場は貴重である。

また、過去のCOPANIを見ると、どれも豪華なホテルで行われる傾向にある。しかし、すべてのセッションや行事をそのような一流ホテルで実施する必要はない。日系団体の施設でも良いし、地元の学校や自治体の施設でも十分に分科会や講演会を行うことはできるであろう。コスト削減に努めることで、次世代の若者が参加しやすい大会を作ることは重要なことである。

さらに、その土地の食べ物を賞味し、日系社会の資料館見学や一世との交流、または地元有力者との懇談の機会をもうけることも大切なことである。これもCOPANIの醍醐味の一つと言える。

来年のパラグアイでのCOPANIはどのようなものになるのであろう。パラグアイには、首都アスンシオンから130キロ離れたところに1936年に作られた戦前唯一の移住地「ラ・コルメナ」がある。パラグアイにはその他6つの戦後移住地があり、その一つがよく日本のテレビでも紹介されている「イグアス移住地」である1。そのいくつかは、ここ数年前から60周年を迎えている2。またエステやエンカルナシオンなど都市部の日系人も存在する。

それから、パラグアイの日系社会は二人の駐日大使をだしている。一人はラパス移住地の重鎮でその行政区の市長も長年務めた田岡功氏で、もう一人は実業家の豊歳直之氏である。この二人に共通するのは日本生まれであるということだ。にもかかわらず、パラグアイ政府はこの二人を駐日大使に任命した3。田岡大使には、当時私も参加していた南山大学地域研究センター共同研究グループで講演していただき、そこで「二つの母国を持つ人生を大使として両国の架け橋として勤めを誓い、14年間育ててくれた日本と47年間の移住を受け入れてくれたパラグアイの架け橋として恩返しができる」と述べたことが強く印象に残っている4

3回のパラグアイ訪問(2012年と2013年2月と8月)、エミー笠松さん、日系指導者との会食(一番右のが2021年COPANIの実行委員長マルティン奈良氏である)、アスンシオン日本語学校、JICA国際セミナー「南米日系社会の現状と将来展望、日系人材の育成」(イグアス移住地、2013年2月15日&16日)。参照 (YouTube): “Paraguay, Turismo. Principales atracciones turisticas y lugares para visitar”(2分); “Aniversario de Fundación de la Colonia Yguazú”(3分); “80° Aniversario de la Inmigración Japonesa al Paraguay”(3分); “Ayumu Michi "Caminar el camino" en Asunción (Paraguay)”(4分)。

パラグアイにはこれまで多くのJICA青年協力隊員や日系社会ボランティアも派遣されてきた。多くは、日本に戻ってからも赴任地での思い出を大切にし、毎年東京の光が丘公園で開催されるパラグアイ・フェスティバルに参加、協力している。

パラグアイほど親日的な国はないと言われるほど、パラグアイ人の日本に対する思いは強い。人口700万人のうち日系人はその0.1%(約7,000人)でしかないにもかかわらず、この国の社会への貢献度は非常に高いからであろう。とはいえ、外に向けて市場を開拓しなければならない農牧業を始め、その他の産業も二つの大国ブラジルとアルゼンチンに挟まれているため、常に厳しい試練に立たされてきた。元JICA事務所所長の北中氏や中南米の専門家として知られている細野名誉教授らが刊行した「パラグアイの発展を支える日本人移住者」には初期と戦後の移住者の生活苦と大豆生産を軌道に乗せるための奮闘、大豆から派生した農畜産物の加工産業への取組み、現在のゴマ生産と日本への輸出、日本人技師と移住者の協力など、この日系社会がパラグアイの農業や食品加工業に貢献してきた足跡と現在進行中の挑戦が綴られている5。とてもコンパクトな書物だが、今の日系二世や三世に知ってもらいたい内容で、これまでの努力と功績が盛りだくさんである。

このようなコミュニティの特徴や歴史を踏まえ、2021年のCOPANIでは、日系社会としてどのようにその挑戦に臨むのか、そのビジョンも含め語ってもらいたい。そのためには専門家間の交流も重要であると考える。学会のように次から次への詰め込み発表や講演ではなく、交流と親善、連携と協力、互いの発見と尊重の大会であってほしい。大会後は、不耕起栽培で有名なイグアス移住地の見学オプションを設け、移住地での地元日系指導者らとの交流や懇談を企画しても面白いかも知れない。穀物や農工業などでかなり豊かになった移住地だが、未来への課題はいくつもある。COPANIは、他の国々の諸先輩との意見交換をもたらすこれとない機会である。そうしたことも踏まえて、素晴らしい大会になることを願う次第である。

注釈:

1. 移住地や日本人が居住している都市部のマップ、JICAパラグアイ事務所サイト:パラグアイ移住地概況
イグアス移住地には大規模の大豆農業があるだけではなく、他の穀物も栽培しており製粉工場や建築資材工場もある。近年は、イグアス周辺の観光資源開発で日系人経営の「Pikypo広場」や「アサヒリゾート」等ができた。また、この移住地では、毎年8月に農商工業Expo Yguazuが開催される。イグアス移住地から40キロ離れたエステ市は、アルゼンチンとブラジルの国境地帯である。

2. 2018年9月にパラグアイ日本移住80周年記念式典が行われた。眞子内親王が皇室を代表して現地を訪れ移住地や世界遺産等も訪問された。

眞子内親王殿下 パラグアイご訪問を終えられてのご印象」(宮内庁)
眞子内親王訪問記録映像:「眞子内親王殿下 ~ パラグアイ御訪問

2018年12月に行われた両国の修好100周年の式典に安倍総理が参列し、日本の総理大臣としてはじめてパラグアイを訪れた。
寄稿・インタビュー ABC紙(パラグアイ)による安倍総理大臣書面インタビュー」(外務省)

3. 田岡大使は2004年から2009年まで、豊歳大使は2009年から2018年まで駐日大使を務めた。両者とも、上院の承認が必要なので、事前にパラグアイ国籍を得るために帰化している。
田岡大使インタビュー(ディスカバー・ニッケイ)
パラグアイ=新駐日大使に豊歳直之氏=2代続けて一世が就任へ」(ニッケイ新聞)

4. 田岡大使の講演と交流会は、2007年11月17日に南山大学名古屋キャンパスにて行われ、出版物には講演の内容がテープ起こしされて掲載され、刊行されたのは2009年3月である(浅香幸枝編、「地球時代の多文化共生の諸相」、行路社)。

5. 北中真人、藤城一雄、細野昭雄、伊藤圭介、「パラグアイの発展を支える日本人移住者〜大豆輸出世界四位への功績と産業多角化への新たな取組み」、佐伯出版、2019年

参考文献:

浅香幸枝、「第5章:パンアメリカン日系協会」、『地球時代の日本の多文化共生政策〜南北アメリカ日系社会との連携を目指して』、明石書店、2013年

EMI KASAMATSU, Historia de la Asociación Panamericana Nikkei - Presencia e inmigración japonesas en las Américas, APN/Servilibro, 2005  

エミ笠松インタビュー(ディスカバー・ニッケイ)

Inmigración Japonesa al Paraguay -Leyenda y Tradición escrita en 75 años de historia 1936-2011 (「パラグアイ日本人移住75年誌」、一冊に両言語で書かれた記念誌で、2011年発行である)。

アルベルト松本、Discover Nikkei コラム:「南米の日系人、日本のラティーノ日系人」 

 

© 2020 Alberto J. Matsumoto

2021 COPANI nikkei in latin america PANA Paraguay

About this series

Lic. Alberto Matsumoto examines the many different aspects of the Nikkei in Japan, from migration politics regarding the labor market for immigrants to acculturation with Japanese language and customs by way of primary and higher education.  He analyzes the internal experiences of Latino Nikkei in their country of origin, including their identity and personal, cultural, and social coexistence in the changing context of globalization.