オーラル・ヒストリーのインタビュー方法
ここでは、オーラル・ヒストリーインタビューに必要な基礎知識をご紹介します。
ここで紹介するビデオ、インタビューのテクニックの入門編は、2009年にコール・カワナ君が製作したものです。オーラル・ヒストリーインタビューの良し悪しは、さまざまな要因によって決まりますが、きちんとした準備をし計画をたてれば、頭を悩まされることなく、いいインタビューができるでしょう。
コール君がこのビデオを作成したのは、彼がまだ6年生の時でした。コール君は、アジアン・フープス・リーグでバスケットボールをし、サーフィンやピアノ、剣道に挑戦するなど、ごく普通の男の子です。しかし、その一方で、特別な才能の持ち主でもあり、誰にでも簡単にインタビューができる素晴らしいガイドラインをつくりました。 コール君についてもっとよく知りたい方は、2010年7月15日にパリサディアン・ポスト紙に投稿されたこちらの記事をご覧ください。
オーラル・ヒストリーは、なぜ重要なのでしょう?
インタビューを始めましょう。
- ステップ1: 機材の準備
- ステップ2: プレインタビュー
- ステップ3: インタビュー
- ステップ4: レビュー
- ステップ5: インタビューの共有
- コール・カワナ君によるサンプルインタビュー
- その他の参考資料
ステップ1: 機材の準備
下記の機材は揃っていますか?
- ビデオカメラ: 外部マイク入力端子つきのもの
- 三脚
- マイク: ピンマイク、またはスタンド付きハンドマイク
- 記録媒体: テープ、メモリーカードなど
- 照明器具
- 予備のバッテリー
- レンズクリーナー
全て機材をそろえたら、それそれの機材の使い方を確認しておきましょう。本番のインタビュー前に、撮影の練習をしても良いでしょう。
ステップ2: プレインタビュー
プレインタビューの目的は、インタビュー対象者(語り手、またはナレーター)についてよく知ることにあります。
あなたの投げかける質問が、話の方向性を決定づけることになります。ですから、語り手の背景や聞きたい話の背景にある情報について知っておくことは大事なのです。
- 必要に応じ、語り手に電話、または直接話をする
- 質問の内容について事前にリサーチを行う(質問内容に精通しておくことが重要です)
- インタビューで聞きたい質問のリストを作成する
語り手についてよく理解したら、下記のことをしましょう。
- インタビュー日時、場所の決定
-
質問リストの印刷
質問リストのサンプルは、こちらをクリックして下さい。(Coming Soon!) ” -
使用承諾書(撮影したインタビューの使用許可書)の準備
使用承諾書のサンプルは、こちらをクリックして下さい。(英語)
*注:オーラル・ヒストリー・インタビューの使用承諾書は、教育目的のために参考として紹介しているもので、弁護士へ個人的に法的アドバイスの代用となるものではありません。
ステップ3: インタビュー
インタビューの準備は整いました。
あなたの質問が、インタビューの方向性を決定づけることを忘れないでください。インタビューの際、語り手が新しい見方を示したり、新たに思い出したことなどがあれば、臨機応変に対応し、質問を作り直しましょう。あなたの役割は、語り手の話の行間を読み、そして質問を通して出来事や記憶を明白にし、記憶をつなぐことにあります。
それでは、ステップごとに進めてみましょう。
3.1 インタビュー会場のセッティング
- 家を出る前に持ち物の確認する。 チェックリストはこちらをクリックして下さい ”
- 時間通りに到着する。
- 機材のセッティングを行う。
- 機材のセッティング終了後、音声と映像の質を確認しながら録画テストを行う。
3.2 インタビューをする
- 質問リストにある質問をする。当たり障りのない内容の質問から始める。
- ビデオカメラのモニターに時々目をやり、語り手が常に枠内におさまっているか確認する。
-
*****良い話を引き出すヒント *****
- 順序立てて話がしやすいよう、ある程度年代順に質問を行う。
- 考えや感情などの抽象的な感覚について質問をする。
- 「はい」、「いいえ」で答えられる質問は避け、できるだけ自由回答型の質問をする。
- 1度にする質問は1つだけにとどめる。
- 語り手が質問に答え終わるまで、口を挟まない。
- 途中で一旦録音を止め、再開するということをしない。
- 語り手の時間を尊重し、予定通りに終わらせる。
- オフレコの情報は差し控える。
3.3インタビューを終える
- 語り手に使用承諾書へサインをお願いする。
- インタビューの日付、場所、インタビュー対象者と実施者の氏名を記したラベルを貼る。
- 語り手にお礼を言い、後日お礼状を送る。
ステップ4: レビュー
インタビュー終了後、収録した映像をそのままの状態で放置せず、下記の作業に進みましょう。
- 映像を見直し、必要に応じて編集する。
- インタビューを書き起こす。
- 人名や地名などの綴りを、必要に応じて語り手に確認する。
- 映像のコピーを作成し、1部はお礼として語り手に送る。
ステップ5: インタビューの共有
インタビューを発表する準備は整いました。家族だけが見るために使う、という人もいるかもしれませんが、ぜひ貴重なストーリーを公開してください。地元の団体への寄贈やユーチューブ(YouTube)へのアップなど、方法はたくさんあります。 ディスカバー・ニッケイの日系アルバムを利用し、映像を共有することもできます。
コール・カワナ君が編集したインタビューのサンプルを見てみましょう。
(映像提供:コール・カワナ)
インタビューで使えるファイルはダウンロード可能です。
- チェックリスト
- 質問のサンプル (Coming soon!)
- 使用承諾書のサンプル(英語)
オーラル・ヒストリーインタビューに関する資料
自分でできるインタビュー方法(2005年アート・ハンセン教授)
History Matters: Oral History Online
Oral History Online!, Regional Oral History Office (ROHO) Bancroft Library, University of California, Berkeley
Step-by-Step Guide to Oral History by Judith Moyer