Descubra Nikkei

https://www.discovernikkei.org/pt/journal/2013/7/30/4954/

「リトル・トーキョー・リポーター」封切後のアジア大洋州系コミュニティの反応と今後の展望 

高まる関心: 映画祭における数々の受賞

先日、わたしが「リトル・トーキョー・リポーター」のエグセクティブ・プロデューサーの藤田さんと電話で話をしたとき、彼女の映画が映画祭で高く評価されたと、とてもうれしそうに話してくれました。

第8回オレゴン州ディスオリエント・アジア系アメリカ人映画祭での「短編映画賞(Best Short Narrative)」 をかわぎりに、その後の映画祭で「短編映画賞(Best Narrative Short)」、「優秀作品賞(Outstanding Short Film)」などを受賞*しました。

私が最初に電話をした時点では、二つの賞を受賞しただけでしたが、これを書いている6月の時点で、すでに11もの賞を受賞したとの知らせが届いています。これらの受賞は、微力ながら映画製作に協力したわたしにとって、非常にうれしい知らせであったことは言うまでもありません。

しかし、これらの受賞に一番よろこんだのは、監督としてメガホンをとった陳さんでしょう。処女作であるにもかかわらず、これほど多くの賞を受賞できたことは、今後彼が映画界でのキャリアを歩むにあたり、非常に重要なステップであることは間違いありません。現在、彼は「リトル・トーキョー・リポーター」の上映で各地をまわりつつ、次の作品の構想を立てているとのことです。どのような作品になるのか大いに期待しています。

さらに「リトル・トーキョー・リポーター」は、映画作品そのもののみならず、出演者の演技力も高い評価を受けました。ロサンゼルス・インターナショナル・アンダーグラウンド映画祭では、クリス・タシマさんが「ベスト俳優賞(Best Actor)」を、アジアンズ・オン・フィルム映画祭では、尾崎英二郎さんとケイコ・アゲナさんが「最優秀助演俳優賞(Best Supporting Actors)」を受賞しました。

この映画は、藤田さんや陳さんだけでなく、出演者の方々も熱意を持ってこの映画製作に携わってきたので、彼らの演技がこのような形で評価されたことは、とてもうれしいことでした。この映画をつくりはじめた当初、ある日系人ジャーナリストが、一世役に三世を起用したことに違和感をとなえていたので、実は、わたしは少し不安を感じていました。しかしながら、一世の役を演じることに「大きな意義」をもって取り組んだタシマさんの努力や日系人社会の歴史の重みを深く理解したうえで演技に挑んだ尾崎さんらの努力が報われ、このような受賞につながりました。この映画は、素晴らしい役者に恵まれたからこそ成功したともいえるでしょう。(参考:「リトル・トーキョー・リポーター 異色のコラボがもたらした映画作品」3. クリス・タシマさん ― 一世を演じることの意味

映画祭に足を運んでくださった皆様、映画製作に多大なサポートをしてくださった皆様、この場を借りて深い感謝の意を表します。

先人の「軌跡」と向きあうことの大切さ

わたしは、なぜ「リトル・トーキョー・リポーター」が、映画祭で数々の賞を獲得できたのか考えてみました。その大きな理由は、この作品にはアジア大洋州系社会について語るうえで必要不可欠な「要素」が含まれており、そのメッセージに多くの人々が共感を得たからだと、考えています。

そのメッセージとは、先人にたいする「感謝の気持ち」です。

「リトル・トーキョー・リポーター」は、加州外人土地法という「悪法」に立ち向かう藤井整が、当時の日系人社会において問題とされた不道徳行為を正すために奔走する姿を描いています。それは、アメリカ社会における一世の人権を確立することに成功した、藤井氏の人となりを描いたものでもあります。

わたしがいつもお世話になっている永松先生は、「一世は、僕らのために道を“舗装”してくれたんだ。だから、僕たちはその道の上を歩くことが出来るんだ」と、話してくれたことがあります。「リトル・トーキョー・リポーター」を通して、日系人社会の黎明期において、どういった人物が日系人社会の繁栄につながる道を「舗装」したのかを、教えてくれます。差別と闘い、「子供の為に」という精神を大切にした人々がいたことで、二世、三世、さらには四世や五世の人々がアメリカ社会で「正々堂々と」生を営むことができるようになりました。藤井整をはじめとする、優秀な一世のリーダーがいたことで、現在日系人社会があるのです。(「正々堂々と」という言葉は、CWIRCのヒアリングが羅府において行われたさいに、証言台に立ったイチオカ先生の言葉から引用しました。)

「リトル・トーキョー・リポーター」を観た人は、藤井整の「人となり」に魅了されるのみならず、人種差別と闘った多くの先人たちへの、「感謝の気持ち」を感じたことでしょう。

このようなことは、日系人社会のみならず、どこの社会においても共通して存在するものです。「リトル・トーキョー・リポーター」は、エスニシティという枠を超えて、多くの人々が共感できる作品だからこそ、高く評価されたのでしょう。そして今、「リトル・トーキョー・リポーター」は日本での上映を計画しています。日本社会においても、先人にたいする「感謝の気持ち」は重要なものですから、日本人の多くが、この映画に共感してくれるものと思います。

今後について

「リトル・トーキョー・リポーター」は、おもに西海岸の各都市で上映会を予定しています。また、アメリカの各都市で行われる映画祭に積極的に参加申請を行っています。映画祭への参加は、事前の審査が厳しいため、参加申請をした映画祭のすべてに参加できるわけではありませんが、映画祭参加が決まりしだいリトル・トーキョー・リポーターのフェイスブックにアップいたします。最新情報については下記のリンクをご覧ください。

https://www.facebook.com/liltokyoreporter/

オフィシャルウェブサイト:http://www.ltreporter.com/

*受賞歴 (2013年6月現在)

  • 第8回オレゴン州ディスオリエント・アジア系アメリカ人映画祭(The 8th Annual DisOrient Asian American Film Festival of Oregon)
    • 短編映画賞(Best Short Narrative)
  • 第9回サクラメント国際映画祭(The 9th Annual Sacramento International Film Festival)
    • 優秀作品賞(Outstanding Short Film)
  • 第6回トレジャー・コースト・国際映画祭(The 6th Annual Treasure Coast International Film Festival)
    • 短編映画賞(Best Short)
    • 最優秀撮影賞(Best Cinematography)
    • 短編編集賞(Best Editing: Short)
  • ロサンゼルス・インターナショナル・アンダーグラウンド映画祭(Los Angeles International Underground Film Festival)
    • 短編映画賞(Best Narrative Short)
    • ベスト俳優賞(Best Actor)- クリス・タシマ
  • アジアンズ・オン・フィルム映画祭(Asians on Film Festival 2003)
    • 最優秀撮影賞(Best Cinematography)
    • 最優秀助演俳優賞(Best Supporting Actors)- 尾崎英二郎、ケイコ・アゲナ
  • 日系市民協会による「突出した才能をもつアジア系アメリカ人のエンターテイナーに贈る賞(Pacific Citizen’s Extraordinary Asian Americans in Entertainment Award)」

© 2013 Takamichi Go

Chris Tashima filmes Jeffrey Gee Chin Lil Tokyo Reporter (filme) Sei Fujii
About the Author

Na Orange Coast University, na California State University Fullerton e na Yokohama City University, ele estudou a história da sociedade americana e da sociedade asiático-oceânica americana, incluindo a história da sociedade nipo-americana. Atualmente, embora afiliado a diversas sociedades acadêmicas, ele continua a pesquisar de forma independente a história da comunidade Nikkei, especialmente para “conectar” a comunidade Nikkei e a sociedade japonesa. Além disso, a partir da posição única do povo japonês com ligações a países estrangeiros, estou a expressar activamente as minhas opiniões sobre a coexistência multicultural na sociedade japonesa, ao mesmo tempo que soo o alarme sobre as tendências introspectivas e até xenófobas na actual sociedade japonesa.

(Atualizado em dezembro de 2016)

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