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https://www.discovernikkei.org/pt/journal/2010/7/28/florida-no-nihon-teien/

フロリダの日本庭園とコスプレ-その1

アメリカのフロリダ州と聞いてなにを想像するだろうか。暖かい気候に包まれたビーチリゾートか。それともときどき訪れるハリケーンか。いや、最近ならニュースにもよく登場したケネディー宇宙センターかもしれない。最南端にあるキーウェストと文豪ヘミングウェイを思い浮かべる人もなかにはいるだろう。

そのキーウェストからさらに南のキューバまではわずか90マイル(145キロ)。東は大西洋、西はメキシコ湾に面した半島の形をした州は、同じアメリカの諸州のなかで日本からはもっとも遠く感じる。かつて移民としてアメリカに渡った日本人もほとんどが西海岸に集中しており、それに比べれば東部にはその足跡は少ない。

まして、南のフロリダにはそんなものはないだろう、多少アメリカに詳しい人や移民を研究している人でもそう思かもしれない。しかし、実はこの半島南部にかつて小さな日本移民のコロニーがあり、それがもとになっていまでは立派な日本庭園とミュージアムがあるのだ。

フロリダにヤマト・ロード?

いまから24年前、私はフロリダの大西洋岸中部に位置するデイトナ・ビーチというまちで1年間暮らしていた。あるとき半島を南北に走るハイウェイ95号をマイアミまでドライブして南下した。マイアミまであと70キロくらいになったとき、ハイウェイと交差する道路の名前を示す標識に「Yamato Rd」と読めるサインを見た。

ヤマト・ロードの標識(デルレイ・ビーチ)

「ヤマト・ロード?Yamato とは日本の大和のことだろうか、でもまさかここに大和はないだろう。インディアンの言葉じゃないか?」と、思った。それまで日本人移民の話など聞いたことはなかったし、フロリダにはセミノールというインディアンがいて、いまもその居留地があることは知っていたからだった。

それから数年して、再びフロリダを訪れたとき、例の標識を見た近くに、「モリカミ」と呼ばれる日本の美術品などを展示しているミュージアムと日本庭園があるのをだれかに教えられた。そして、あのときのYamatoが日本の「大和」であることがわかった。

モリカミはデルレイ・ビーチ(Delray Beach)というまちにあり、かつてここで農業を営んでいた森上助次なる日本人の名前をとってモリカミと名付けられたミュージアムであり庭園だった。

森上氏は生涯を独身で通し、他界する前に所有する土地をすべて地元に寄贈した。それをうけてミュージアムなどがつくられたと最初は聞いた。リゾート地として発展していったフロリダのこと、おそらく戦後にリゾートブームが起きて、森上氏の所有していた土地も高騰してひと財産を築いた。家族のいない彼はそれを寄付したのだろう。そんなふうに私は勝手に想像していた。

一方で、森上氏が現在の京都府宮津市の出身で、彼の功績によってデルレイ・ビーチ市と宮津市は姉妹都市の関係を結んだということは確認した。また、同市にはいまも彼の親戚が暮らしていることもわかった。

私は自分がフロリダに住んでいたということもあるが、なにより、どうして日本から遠く離れた、日本とはこれといった関係も想像できない地に1世紀も前に彼はやってきたのか、その暮らしはどんなものだったのか、また、彼の財産はいったいどんなミュージアムと日本庭園に形を変えたのかといったことに長年興味をもっていた。そして、機会があればぜひモリカミを訪れたいと思っていた。

今年の3月それがようやく実現した。その前にモリカミの正式な名称はThe Morikami Museum and Japanese Gardensとわかり、そのサイトをウェブで調べてみると、モリカミは1977年に開館し、地元パームビーチ郡などが運営、管理しているという。そして、3月末に「HATSUME FAIR」と呼ばれるお祭りがあることがわかった。HATSUMEは初芽であり、草木が芽を吹くころの祭りで、和太鼓や茶の湯など日本の伝統文化を紹介するイベントや展示が大々的に行われ、周辺からは多くの人たちが訪れるという。

また、そこには20世紀の初めに森上氏のほか日本人の移民17家族が入植し、Yamato Colony(ヤマト・コロニー)なる小さなコミュニティーを形成していたこともわかった。これがあのヤマト・ロードにつながったのだ。

幸いモリカミには、夫妻で副理事長の任にあるジェームズ三堀氏と三堀千栄子氏というここの歴史を知る2人がいた。彼らと何度かメールでやりとりをした後、いよいよ謎だったモリカミを2日にわたって取材をすることになった。

あのヤマト・ロードの標識はまだあるだろうか。どれほどのミュージアムであり、また、森上助次とは何者なのだろうか。十数年ぶりのフロリダと再びヤマト・ロードに出合うのを楽しみに、私は今回のアメリカ取材・調査の最初の地であるニューヨークを午前11時前に発ち約3時間半でフロリダの大リゾート地の一つ、大西洋岸のフォート・ローダーデールの空港に降りた。ここから車でデルレイ・ビーチへ向かうためだ。

その2>>

*本稿は、時事的な問題や日々の話題と新書を関連づけた記事や、毎月のベストセラー、新刊の批評コラムなど新書に関する情報を掲載する連想出版Webマガジン「風」(2010年4月30日号)からの転載です。

© 2010 Association Press and Ryusuke Kawai

agricultura cosplay Flórida jardinagem jardins jardins japoneses Museu Morikami e Jardins Japoneses Estados Unidos da América Colônia Yamato (Flórida)
Sobre esta série

Nos 150 anos desde que o Kanrin Maru chegou aos Estados Unidos e desde a transição do Japão para a sociedade moderna, muitos japoneses deixaram a sua marca no mundo. Viver herdando a herança japonesa e aceitando outro país e cultura. Acompanhamos o mundo das pessoas que têm laços com o Japão para além da estrutura da nação, centrando-nos nos Estados Unidos, e consideramos o que significa ser japonês e qual é a nossa identidade.

-Jardins japoneses e cosplay na Flórida (3 partes)
-Flórida e Amanohashidate (3 partes)
- Flórida e Amanohashidate - Líder da Colônia Yamato e Tango Chirimen (3 partes)

*Esta série foi reimpressa da revista web ``Kaze'' da Associative Publishing , que publica informações sobre novos livros, como artigos relacionados a questões atuais e tópicos diários de novos livros, best-sellers mensais e colunas críticas sobre novos livros.

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About the Author

Jornalista, escritor de não ficção. Nasceu na província de Kanagawa. Formou-se na Faculdade de Direito da Universidade Keio e trabalhou como repórter do Jornal Mainichi antes de se tornar independente. Seus livros incluem "Colônia Yamato: os homens que deixaram o 'Japão' na Flórida" (Junposha). Traduziu a obra monumental da literatura nipo-americana, ``No-No Boy'' (mesmo). A versão em inglês de "Yamato Colony" ganhou "o prêmio Harry T. e Harriette V. Moore de 2021 para o melhor livro sobre grupos étnicos ou questões sociais da Sociedade Histórica da Flórida".

(Atualizado em novembro de 2021)

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