「アイデンティティ芸術」にみる変化
私が(アイデンティティワークで)デビューしたてのころは、90年代の初めでアイデンティティに関する研究が芸術分野で流行していまし た。(その当時は)とても大きな問題だったのですが、今では芸術作品を売るという観点、(つまり)芸術作品の商品主義において大きな問題ではありません。 しかし(アイデンティティを大切にすることは)売れる作品を作るのと同じぐらい、もしかするとそれ以上(に大事)だと私は言いたいです。(今)出回ってい るものにアイデンティティという意識がないということです。例えば(こんなことがありました)。アイデンティティワークで大仕事をしたアーティスト――ア ルバート・チョンというジャマイカ出身のハパのアーティストで、素晴らしい写真家です――を客員アーティストとして(私が教えている学校に)推薦し、アイ デンティティをテーマにこれだけの仕事をしたと言ったのですが「アイデンティティは今ホットな話題ではありません。」と言われ、最初の話し合いでは却下さ れたんです。そこで私は「どうしてそんなことが言えるのですか?ここは大学ですよ!生徒達が初めて家から出てくる(場所な)のですよ!どうしてアイデン ティティが・・・」と書いて(大学側に)提出したのです。(結局)アルバート・チョンは招待され、大成功を収めました。生徒たちは彼をものすごく気に入っ たんです。彼が自分自身のプロセスを語るあらゆる権利はあなた達自身にあると話したからなんですね。祝日をどう祝うか、食べ物をどう食べるか、人とどう付 き合うか、何に心を惹かれるかなど、こういうことを話していいんですよと言ったからなのです。まあ今回の件はうまく覆えりましたが、私達はこれからも(ア イデンティティワークを生徒達に教え)続けられるよう、戦っていかなくてはなりません。