ディスカバー・ニッケイ

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マンザナーへ、そしてマンザナーから


2008年4月9日 - 2011年4月28日

2002年にアメリカへ留学し、『さらばマンザナール (原 題:Farewell to Manzanar )』との出会いで、日系史に目覚めた郷崇倫(ごう・たかみち)氏による、コラムシリーズ。自身の体験談を元に、日系史について語ります。

(* Signature image from Wikipedia.com by Daniel Mayer. )



このシリーズのストーリー

第6回 (後編) 東カリフォルニア博物館へ

2011年4月28日 • 郷 崇倫

前編>>東カリフォルニア博物館の日系史にかんする展示において、特筆すべき点は、博物館のなかにおいて一番に訪問者の目をひく、バラックの内部を再現した展示です。 このバラックの床には、ところどころに、ブリキ缶の側面を平べったくしたものが、床に打ちつけられていました。これらは、当時のバラックが、粗悪な材木と、タールを塗りつけた紙だけで造られていた為に、すきま風や、すきま風とともに入ってくる砂を、防ぐためのものでした。 今でこそ、全米日系人博物館をはじめ、各地の博物館などにおいて、…

第6回 (前編) 東カリフォルニア博物館へ

2011年4月21日 • 郷 崇倫

マンザナーでの実習は、3日目を迎えました。私はキャリーさんと一緒に、東カリフォルニア博物館(Eastern California Museum)を訪れました。 東カリフォルニア博物館は、マンザナーをふくめた、インヨー郡(Inyo County)の歴史に焦点をあてた博物館です。マンザナーからは、車で約15分ほど北上したところにあって、インディペンデンスの街の中心にあります。今回、マンザナー以外に、東カリフォルニア博物館に足を運んだのは、私のマンザナーでの実習における、プロジェ…

第5回 マンザナー二日目

2010年11月22日 • 郷 崇倫

マンザナーにきて二日目、わたしは寒くて朝早くに目が覚めてしまいました。時計を見るとまだ6時でした。寒くて目が覚めてしまった経験は、実に数年ぶりでした。 わたしは熱いシャワーを浴びたあと、果物の缶詰を2個ほど開けて、急いで朝食を済ませました。ガスヒーターを点けましたが、部屋は一向に暖まりません。さらに、わたしは外を見てびっくりしてしまいました。なんと、霜が車全体を覆っていたのです。わたしは急いでお湯を沸かし、車全体を覆っている霜をとかし始めました。まもなくして霜をとることは…

第4回 風のように過ぎ去った1日目

2010年2月22日 • 郷 崇倫

ロン・パインの資料館から戻ると、キャリーさんは、私にジョッシュさんを紹介してくれました。彼は、私がマンザナーに来る数ヶ月前から、マンザナーでボランティアとして働いていました(この数日後に、彼はデス・ヴァレーにある国立公園に移り、そこでもボランティアとして活躍しました)。私は、彼から、ボランティアの仕事のひとつである、手紙などのデジタル化のやり方を教わりました。「デジタル化」と格好良く書きましたが、これは、収容された日系人が残した手書きのメモや手紙を、パソコンに打ち込むという…

第3回 「運命の扉」が開いた瞬間

2009年12月18日 • 郷 崇倫

生まれて初めてマンザナーを訪れてから約1年が経ちました。私はオレンジ・コースト大学を卒業後、カリフォルニア州フラトン市にあるにあるカリフォルニア州立大学に転学し、本格的に日系史の勉強を始めることになりました。当時、フラトンの大学では、オーラル・ヒストリーを通じた日系アメリカ人の歴史の研究で知られるアート・ハンセン先生が教鞭をとっており、先生のもとで勉強ができる機会を大切にしたいと私は考えていました。 フラトンの大学に通いはじめて数ヵ月後、学部の先生たちから、マンザナーの資料…

第2回 はじめてのマンザナー訪問

2009年10月29日 • 郷 崇倫

2004年の8月9日。この日、私は生まれて初めてマンザナーを訪れました。 朝の4時頃にオレンジ郡を出発し、数時間車を運転し、朝の9時少し前にマンザナーにたどり着きました。フリーウェイ14号線を運転しているときに見た、目が痛くなるような輝かしい朝日や、モハビ砂漠のなかにまるで置き去りにされたかのように保存されている使われなくなった飛行機の奇妙な光景は、今でもよく覚えています。 マンザナーに到着した時、私は目の疲れを少し感じていました。朝日がとても強かったのです。眼のなかにある…

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このシリーズの執筆者

オレンジコースト大学、カリフォルニア州立大学フラトン校、横浜市立大学にて、アメリカ社会の歴史、日系人社会の歴史を含めるアジア大洋州系アメリカ人社会のを学ぶ。現在はいくつかの学会に所属しつつ、独自に日系人社会の歴史、とりわけ日系人社会と日本社会を「つなぐ」ために研究を継続している。また外国に「つながり」をもつ日本人という特殊な立場から、現在の日本社会における内向き志向、さらには排外主義の風潮に警鐘を鳴らしつつ、日本社会における多文化共生について積極的に意見を発信している。

(2016年12月 更新)