ディスカバー・ニッケイ

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デカセギ・ストーリー


2012年6月18日 - 2024年4月18日

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。



このシリーズのストーリー

第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その6

2015年12月23日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

2011年11月12日 愛しきディアーリョ。はじめまして。マリナです。ジェシカちゃんが書いたこの日記はとてもおもしろくて、全部読みました。そして、読んでいるうちに、なるほど、ブラジルってこういう所なんだ、と分かりました。 ジェシカちゃんとは日本のブラジル人学校でいつも一緒で、とても楽しかったです。でも、お父さんの仕事が変わったため、わたしは引越ししなければなりませんでした。そして、わたしは日本の学校に転校しました。お父さんとお母さんはわたしが日本の学校で勉強することを希…

第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その5

2015年9月17日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

その4を読む >> 2011年7月30日 愛しきディアーリョ。ただいま! サンパウロで過ごした冬休みは、めっちゃ楽しかったけど、こっちに戻る2日前にマリナちゃんのことを知って、とても心配になったの。だって、3年前までは、日本のブラジル人学校で一緒だったマリナちゃんが、今年ブラジルに戻って、ここの生活に慣れなくて、学校に行ってないんだって。なんで?信じられない!わたしよりも頭がいいし、日本語はぺらぺらだし、かわいいし。 そして、バチャンにマリナちゃんのことを話すと「そ…

第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その4

2015年7月1日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

その3を読む >> 2011年3月4日 バチャンのお姉さんが入院したので、バチャンはカンポ・グランデに行っているの。だから、わたしは、当分、ナイル叔母さんの家でお世話になるの。いとこが3人いて、一番下のノアちゃんはすっごくかわいい。2歳なの。 日本に居たときと比べると、今の方がめっちゃ、にぎやかで楽しいわ!日本では朝の7時半から夕方の6時まで学校で過ごしていたの。クラスには8人しか居なかった。その中の3人とは大の仲良しだったけど、2008年の末には、生徒の半分はもう居…

第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その3

2015年5月6日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

その2を読む >> 2010年5月7日 「Festa do Dia das Mães1」が、今日、学校であった。日本にいたころ、ブラジル人学校では、お母さんたちには工場の仕事があったので、その行事はなかった。生徒たちは絵やカードを作り、家でお母さんに渡すだけだった。でも、ブラジルの学校はすごい!2日前の金曜日には授業の代わりに、生徒が歌やダンスや演劇を特別にお母さんに見せるの。小ちゃい子のお母さんたちは涙ぐんで見ていた。 わたしはポルトガル語のサンドラ先…

第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その2

2015年3月4日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

その1を読む >> 2010年2月17日 テレビで初めて見たブラジルのカーニバル。そして今日、水曜日が最終日。「灰の水曜日」と呼ぶそうだ。バチャンにその意味を聞くと、「1年間、待ち望んでいた祭が、今日で終わって、皆、明日から来年を目指して頑張るんだ」と、説明してくれたけど、なぜ「灰」なのか、意味がよく分からなかった。ブラジルはやっぱり日本と違う国だと思った。 マミーが久しぶりにマリンガに来た。土曜日に着いて、今日、サンパウロに戻った。マミーとパパは離婚したの。一年前、わた…

第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その1

2015年1月28日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

2009年1月26日なんで?なんでブラジルに帰らなきゃいけないの?ねぇ、本当なの?と、マミーに聞いたが、マミーは忙しそうにキッチンで片付けをしていた。珍しく、そのときは「ジェシカも手伝いなさい」と、言われなかった。 わたしは本当に帰りたくない!「来年、ジェシカは中学生になるんだから、英語をもっと勉強しなさい」と、マミーは言っていた。マミーは、わたしの通っていたブラジル人学校で英語を教えていた。それなのに、急にブラジルに帰ることを決めたので、わたしはびっくり!マミーの考えて…

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このシリーズの執筆者

1947年サンパウロ生まれ。2009年まで教育の分野に携わる。以後、執筆活動に専念。エッセイ、短編小説、小説などを日系人の視点から描く。

子どものころ、母親が話してくれた日本の童話、中学生のころ読んだ「少女クラブ」、小津監督の数々の映画を見て、日本文化への憧れを育んだ。

(2023年5月 更新)