ディスカバー・ニッケイ

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デカセギ・ストーリー


2012年6月18日 - 2024年4月18日

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。



このシリーズのストーリー

第四十二話 バチャンが日本にやってくる!

2022年12月16日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

僕の名前は竜馬・レオナルド、11歳です。「竜馬」は大河ドラマを見て坂本竜馬のファンになったブラジル人のパパイ1が選びました。パパイは日本名だけで良いと思ってましたが、日系三世のママエ2はレオナルド・ディカプリオの大ファンで「レオナルド」という名前をどうしても付けたいと、最終的にこの名前になったそうです。面白いことに、皆は「レオナルド」ではなく「竜馬」と僕を呼びます。僕はこの名前が大好きなので、とてもうれしいです。 両親は2007年に日本に来て、僕は2011 年、愛知県豊橋…

第四十一話 生き別れになったユゴと母親

2022年10月21日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

ユゴが4歳のとき、両親は別れ、母のエネイダは一人で生まれ育ったポルト・セグロに戻った。 ユゴの父親は、このような別れ方をするだろうと思っていたからそんなに驚かなかった。 「エネイダは、テレビドラマで見るサンパウロの暮らしに憧れてただけだよ」 「そんなエネイダに一目ぼれなんて、本当にアホ息子だ」 「赤ちゃんのユゴの面倒も見ずに街に遊びに行くなんて、信じられない!」 と、親戚は最初からいろいろと言った。 父親が朝市で働いている間、ユゴはいつも近所に住む父の姉ティア1…

第四十話 日本を目指す4姉妹

2022年3月9日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

内山家の4姉妹はいつも一緒だった。子供のころは、おばあちゃんの庭でままごと遊び、思春期には映画やコンサート、旅行へと、いつも一緒だった。 しかし、大人になると、それぞれが別の道を選び、離れて行った。 長女のユキは大手銀行の公募に合格し、有望なキャリアを積み上げていった。 次女のユリは仕事場で知り合ったカナダ人と結婚し、バンクーバーへ渡った。 三女のマリは幼なじみのケンちゃんと結婚し、二人は日本へ出稼ぎに行った。 四女のミナは大学卒業後、ブラジリアの新聞社に勤めてい…

第三十九話(後編) 日本がわたしにくれた物

2022年1月17日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

前編を読む >> その日の午後6時頃に、スミエのお母さんは仕事から戻った。「ただいま!ねぇ、どんなもの買ってきたの?今のベビー服ってカワイイでしょう?」と言いながら、急いでスーパーの買い物をキッチンに置きに行った。 しかし返事がなかった。二階に上がると、スミエがベッドで気を失って倒れていた。 翌日、スミエは病室で目覚めた。お母さんの顔を見ると「ここはどこ?何があったの?」と、不安そうに尋ねた。スミエは気分が悪くなり、横になったところまでしか覚えていなかった。 母親は…

第三十九話(前編) 日本がわたしにくれた物

2021年9月20日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

マルコのお父さんは最愛の妻を病気で亡くしたため、一人息子を両親に預け、サンパウロへ出稼ぎに行った。3年たって、ようやく仕事も住まいも安定したので、息子のマルコを呼び寄せた。 マルコは11歳、大好きなパパー1と一緒に暮らすのが夢の夢だった! 毎朝早起きして、お父さんは仕事へ、マルコは学校へと、楽しい日々の繰り返しだった。なかでも、マルコの一番の楽しみは、週末に、お父さんの仕事場を訪ねることだった。 場所は「サンパウロの東洋人街」として知られるリベルダーデ区の中心街にあっ…

第三十八話 わたしの大好きなファミリー

2021年7月30日 • ラウラ・ホンダ=ハセガワ

わたしの名前はミツノ、11歳の女の子です。パパは日系ペルー人で、ママは日系ブラジル人です。わたしは日本で生まれて、ママが大好きなおばあちゃんの名前「光乃」を付けてもらいました。 ママは21歳のとき、2歳のお姉ちゃんのモニカをブラジルの光乃おばあちゃんに預けて、お姉ちゃんのパパのリカルドさんと日本へ来ました。でも、リカルドさんは日本の生活に慣れずに、半年も経たないうちにブラジルへ戻ってしまいました。 ママはパン屋さんで1年ほど働いてからブラジルへ戻って、リカルドさんと話し…

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このシリーズの執筆者

1947年サンパウロ生まれ。2009年まで教育の分野に携わる。以後、執筆活動に専念。エッセイ、短編小説、小説などを日系人の視点から描く。

子どものころ、母親が話してくれた日本の童話、中学生のころ読んだ「少女クラブ」、小津監督の数々の映画を見て、日本文化への憧れを育んだ。

(2023年5月 更新)