日系カナダ人の子供の送還者:バジル・イズミのライフヒストリー
この連載では、第二次世界大戦の少し前、バンクーバーの日系カナダ人聖公会の家庭に生まれたバジル・タダシ・イズミのライフヒストリーを紹介する。バジルは6歳の時、家族と共にバンクーバーでの生活を追われ、その後スローカン湖近くにあるいくつかの収容所に抑留された。戦争が終わり、家族は日本へ送還されたものの、彼はその3年後、12歳の時に単身ブリティッシュコロンビアに戻り、以来そこで暮らしている。
バンクーバーにある日系カナダ人の聖公会、すなわち聖十字教会(1970年までは聖十字ミッションと呼ばれていた)は、幼少期から現在に至るまで、バジルの人生において重要な役割を果たしてきたので、第1回と第2回では、聖公会と日系カナダ人との関係について、特にバジルの生い立ちに関連するいくつかの出来事に焦点を当てながら、ごく簡単に歴史的背景を説明していく。第3回からバジルの生い立ちを述べていく。
謝辞: 本シリーズの日本語訳に関して、翻訳者の出石美佐氏に感謝の意を表します。出石氏はプロのツアーガイドとして働く傍ら、和歌山県美浜町の中高生で構成される「語り部ジュニア」の指導的立場でまとめ役を務めています。語り部ジュニアは、英語と地元のカナダ移民にまつわる豊かな歴史を学び、家族のルーツを求めて訪れる日系カナダ人観光客に英語で案内も行っている。
このシリーズのストーリー
第1回 第二次世界大戦終結までの日系カナダ人聖公会信者たちの通史
2018年4月24日 • スタン・カーク
キリスト教はバンクーバーの初期の日系移民コミュニティーに瞬く間に広まった。彼らの間で最初に見られる教会活動は、1892年に合衆国からきたマツタロウ・オカモトという巡回布教師によって行われた。3年後、オカモトはゴロウ・カブラギに引き継ぎを行い、カブラギはその後もメソジスト教会へ所属した。信仰の深さや献身の度合いはさまざまであるものの1、キリスト教は急速に広まり、多くの日系カナダ人が自身のことをクリスチャンと認識するようになったようだ。メソジスト派は、のちにカナダ合同教会に合併…