(編集者注:本稿は、シアトルで行われた全米日系人博物館による全米カンフェレンス『Speaking Up! Democracy, Justice, Dignity』での日本語セッション「99年の愛/憎しみ(99 Years of Love / Hate)」(2013年7月6日)で発表された原稿です。) はじめにテレビドラマの脚本の時代考証は初めての経験であった。我々3人(飯野正子、粂井輝子、島田法子)は、『99年の愛~Japanese Americans~』の脚本の中にある歴史的にみて不適当ではないかと思われる点をリストアップし、TBSのプロデューサーや担当者に提出し、彼らを通じて脚本家の橋田寿賀子氏に検討していただいた。
我々が一番迷いまた考えさせられたことは、フィクションであるこの作品に、歴史研究者として歴史的に正確な裏付けを、どの程度まで求めることができるのか、あるいは必要とされるのか、と言うことであった。
歴史的誤りを指摘するリストは数ページに及んだ。それによって修正されたことも多かったが、受けいれられなかったこともいくつかあった。すなわち、脚本を修正するかどうかの判断はTBSと橋田氏に委ねられていた。
我々は、多少歴史的に不正確であっても、それがドラマを盛り上げるために必要とされることで、また大きく歴史を捻じ曲げるものではないという判断で、最終的には合意した。また今…