ディスカバー・ニッケイ

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川崎 誠司

(かわさき・せいじ)

@skawa2440kuhio

1965年愛媛県松山市生まれ。筑波大学第一学群社会学類法学主専攻卒業。筑波大学大学院修士課程教育研究科修了。筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。東京学芸大学教育学部専任講師、助教授、准教授、ハワイ大学教育学部客員研究員(2001-2002年、2008年)などを経て、現在、東京学芸大学教育学部教授、博士(教育学・筑波大学)。専門分野は社会科教育・多文化教育,ハワイ研究,授業研究方法論。著作は『多文化教育とハワイの異文化理解学習―「公正さ」はどう認識されるか(単著、ナカニシヤ出版、2011年)ほか。

(2014年7月 更新) 


この執筆者によるストーリー

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
最終回 ハワイ日系人の伝統文化と多様性

2018年8月17日 • 川崎 誠司

ハワイの日系人や日系社会について、私自身の実体験における「気づき」を、非常にゆっくりとしたペースで書き連ねてきたこのエッセイも、12回目の区切りを迎えることになった。 小学生の頃から20年、強烈な憧れを抱き続けていたハワイを初めて訪れたのが1996年の夏だった。自分の専門の多文化教育のメーリングリストから、ハワイ大学の日系人と思しき人を選んで連絡をしてみたら、すぐに返事が返ってきて教育学部のY先生を紹介してもらえることになった。 半信半疑のままハワイに向かったところ、と…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第11回 ハワイ日系人が人間関係で大切にしていること

2018年4月18日 • 川崎 誠司

ハワイ大学のマノアキャンパスの北側に、Mid-Pacific Instituteという私立の中高一貫校がある。ホノルルではPunahou(プナホウ)やIolani(イオラニ)と並ぶエリート校である。MPIと略されるので、M(id-Pacific Institute)はP(unahou)やI(olani)を従えて先頭だ、と笑い話をしてくれる卒業生がいた。 寄宿舎も完備していて、ハワイの島々からも入学してくる。日系人の在籍・卒業生も多い。英語の語学研修のプログラムもあって、学…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第10回 ハワイ日系人の「ウチ」と「ソト」

2017年6月14日 • 川崎 誠司

前回はホノルルのラジオ局KZOOを詳しく取り上げた。中学1年生の頃にその存在を知り、30歳の夏から現在まで毎年数回欠かさずハワイに通うなかで、現地での運転中は必ず聴くことにしているラジオ局である。住んでいたときは、日本についての日々の情報源でもあった。 今回は引き続き、少し見えてきたハワイ日系人のアイデンティティについて考えてみたい。結論は出ない。あれこれ考えるだけである。ただ、ハワイの日系人なのだから日本人のアイデンティティと重なるところが大きいのではないか、という日本…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第9回 爽やかで心地よい「ズケズケ」:ハワイ日系人の相互扶助

2017年3月29日 • 川崎 誠司

1976年,小学5年の冬だったと思う。キクチ君の家にラジカセがあって,付属のトランシーバーを使うと田んぼの向こうからでも声が明瞭に聞こえてきた。トランシーバーはラジカセのボディに収納されるのだ。家にあったおもちゃのトランシーバーとはカッコよさが段違いだった。フジモト君の家に遊びに行くと,ベッドの枕元にSONYのICF-5800という高性能ラジオが置いてあった。兄さんからのお下がりだと言っていたが,ロッドアンテナが飛び出し,ツマミやダイヤルがいくつも付いていて,周波数帯を切り…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第8回(後編) 日系人に教わった、学校で教わらなかった基礎英語

2017年1月18日 • 川崎 誠司

前編を読む >> それではLさんに直してもらった英語表現について、エピソードを交えながら紹介することにしよう。単純な間違いの修正や、文法の間違いなどは取り上げても面白くないし、手前味噌だが文法については私はほぼ基礎を身につけていて、あまり間違えることがないように思う。そこで、直されて初めて知ったり、意味を知って驚いたりしたものに絞ってみたい。それらは学校英語ではおそらく習ってないはずのものである。記憶に不安はあるけれど。 meetとsee 2001年から2002年にか…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第8回(前編) 日系人に教わった、学校で教わらなかった基礎英語

2017年1月17日 • 川崎 誠司

第2回の「オシャレをしてもお洒落ではない?」で言葉の変化について触れた。継承されている日本語が本来の意味を失って変化していることを取り上げて、一世の生活を想像しながら考えた。海を渡ってきた彼らが日々懸命に働き、祖国に送金した残りの中から少しでも蓄えに回していたであろうことを。そこに「オシャレ」の意味の変容の理由がある、という仮説を立ててみた。 そうした気づきは、今のハワイの日系社会で日系人の友人たちに親しく付き合ってもらう中で得られたものである。家族同様のMさんとLさん夫…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第7回(後編) ハワイの日系人は個人主義的か

2016年9月16日 • 川崎 誠司

第7回(前編)を読む >> 日系人のメンタリティ ハワイに通い始めて20年が過ぎ、その間何度か住んでみたりしていると、計らずも現地社会の儀式に参加することにもなる。英語での日常会話能力が十分でなかったころ(日常会話のほうが自分の専門分野の議論よりもずっと難しいと思う)は、それが億劫で仕方なかった。だが、自分の研究フィールドのより深い理解のためと考え、誘われれば断らずに出かけることにしていた。 儀式にもいろいろあるが、ここで取り上げるのは「ハレ」の儀式ではなく「ケ」のほ…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第7回(前編) ハワイの日系人は個人主義的か

2016年9月15日 • 川崎 誠司

このエッセイは今回から全12回の後半に入る。これまでの6回の内容はハワイの日系人の文化的側面に焦点を当て、日本文化と日系文化を対比させながら考えてきた。とりわけ私の現地の保護者のような存在であるMさんの忠告に従って、ハワイの日系人の多様化に注意を払いながら、一般化し過ぎることのないように心がけてきた。迷った時には、毎年の定期的な滞在に加えてぶらりとハワイに行ってみたりもしている。 後半に入る今回は、「第2回 オシャレをしてもお洒落ではない?」の冒頭に書いた「日系人の多様化…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第6回 『精一杯やる』とはどういうことか ― 日本文化とハワイの日系文化

2016年3月18日 • 川崎 誠司

小学校の話を続けよう。前回(第5回「失われつつあるのかもしれない日本的価値観―変わりゆくハワイの文化―」)MさんLさんの優しさや思いやりの深さに触れた。二人によれば、日系人たちが受け継いできた日本文化の美徳は、「やってあげられることを精一杯やる」ということだった。これについて、第3回「Tシャツ」で話題にしたA先生の学校に注目してみることにする。 A先生の勤務する小学校はホノルルからフリーウェイを使って1時間以上かかる僻地校である。古くは日本人移民が最初に入植した地といわれ…

ホノルルの向こう側 ~ハワイの日系社会に迎えられて~
第5回 失われつつあるのかもしれない日本的価値観 ― 変わりゆくハワイの文化 ―

2015年11月9日 • 川崎 誠司

ハワイの日系社会をテーマに連載を始めたこのエッセイだが、はたしてハワイに「日系社会」なるものがあるのかという疑問に突き当たることがある。チャイナタウンのような民族コミュニティが見える形で存在しているのはむしろ例外的である。アラモアナ・ショッピングセンターの山側に、コリアンタウンの始まりのようなものを感じることはある。だが、ハワイ系の多いワイマナロやカポレイ、フィリピン系が多いとされるカリヒやワイパフなどはあるものの、それらの地区にも様々な民族が共住している。カポレイでは最近…

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