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三田 千代子

(みた・ちよこ)


上智大学外国語学部ポルトガル語学科教授。サンパウロ大学大学院博士課程修了(哲学・文学・人文科学専攻)。社会人類学博士。専門はブラジルにおけるエスニック・アイデンティティの研究、ブラジル北東部の貧困に関する研究。

現在は、ブラジル社会を社会人類学の立場から研究し、労働人口の国際移動に伴うアイデンティティの問題、ブラジル社会史の視点から社会格差の研究、ジェンダー問題を扱っている。また、 近々にはグローバルな視点から砂糖プランテーションと文化変容の研究に着手している。

最近の主な研究業績として、著書『「出稼ぎ」から「デカセギ」へーブラジル移民100年にみる人と文化のダイナミズム』不二出版、2009年。論文「ブラジル社会の多様性とその承認」(『ラテンアメリカ世界のことばと社会』 畑恵子・山崎眞次編、成文堂、2009年、37-62)などがあげられる。

(2011年9月 更新)


この執筆者によるストーリー

それはグローバルな旅の結果―ブラジルの栽培作物の変化と日本移民- その4

2011年10月18日 • 三田 千代子

その3>>3)ハワイ・パパイヤがコショウの生産地を救うパパイヤはコーヒーと並んで、世界一の栽培量(2003年171万5000トン)を誇るブラジルの果物で、世界のパパイヤの約3割をブラジル産が占めている1。パパイヤはメキシコ、西インド諸島、ブラジルに広がる熱帯アメリア原産の果実で、新大陸発見以後に世界各地に急速に伝播していった。植民地としてポルトガル人が開発を始める以前からブラジルには自生しており、その栽培の容易さから品種の改良はほとんどなされてこなかった。糸瓜(へちま)のよ…

それはグローバルな旅の結果―ブラジルの栽培作物の変化と日本移民- その3

2011年10月11日 • 三田 千代子

その2>>3.日本移民が変えたブラジルの柿、リンゴ、パパイヤ日本移民は、3起源の作物を改良している。つまり、既存のもの、外来のもの、日本伝来のものである。これらの3起源の栽培植物は時間的にも空間的にも長い旅をし、ブラジル人に新しい味覚とそれぞれの作物の新たなイメージをもたらした。その例をブラジルにおける柿、リンゴ、ハワイ・パパイアの導入と栽培過程から紹介する。 1)渋柿を甘柿に カキの原産地は、中国揚子江沿岸および日本の南半部の夏湿気候帯とされる1。ブラジルには日本移民…

それはグローバルな旅の結果―ブラジルの栽培作物の変化と日本移民- その2

2011年10月4日 • 三田 千代子

その1>>2.ブラジルの食生活と外国移民独立以前のブラジルの栽培作物は20種ほど数えられ、果物は比較的多様であったのに対し、野菜は極端に少なかった。こうした食生活に変化をもたらしたのが外国移民であった。 今日残されている19世紀末の大農園主の日用品の購入記録をみると、日常の食事は、農園主であろうと奴隷であろうと大きな差はなく質素であったことがわかる1。肉(牛、豚、鶏)は高価であったことから、結婚披露宴のような特別の場合を除き、地の魚が食され、主食はキャッサバと豆類が主な食材…

それはグローバルな旅の結果―ブラジルの栽培作物の変化と日本移民- その1

2011年9月27日 • 三田 千代子

はじめに人類による植物栽培の歴史は、常にヒトの移動と生活文化の変容の記録ともいえる。新しい栽培植物は新しい地の住民に新たな食文化をもたらす。栽培植物の伝播には時間的にも空間的にも大きな広がりがみられる。東アジアから中東へ、コーカサスからヨーロッパへ、ヨーロッパからアフリカへ、新世界からヨーロッパへ、ヨーロッパから新世界へと、植物は常に旅を続けてきた。その一部を栽培作物として人類は利用し、新たな文化を育んできた。 本稿では、20世紀に拡大したブラジルの国内消費市場向けに開発さ…

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