ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2011/11/09/

第17回 「秋」 だからこの道

日本での留学が終わる頃に書いた『秋』。35年後、それを日本語に訳し、パートIIを加えました。そして、つい最近、教会の礼拝中に、聖書の御言葉にインスピレーションがひらめき、パートIIIができました。

* * *

枯れ葉つもるこの道
光る池 飛び跳ねるコイ
遠くに 甘い笛の音
古い松の下で
愛のうたをつづる

いつの日か
池は にごり
松は たおれ
笛の音は やみ
うたは風と共に去り行く

長い道のりを
私は歩み行く
真実を求めて
限りなく
世界を越え
孤独な長い
道のりを
    (1972年 新潟にて)

長い道のり
道しるべなく
迷ったり 焦ったり
近道 まわり道 より道
まだ 進むべき道あり
    (2007年 マリリアにて)

ようやく 道しるべ現る
「疲れた者、重荷を負う者は、
だれでもわたしのもとに来なさい。
休ませてあげよう。」(*)

戸惑うこともなく
前を向いて歩きだす
どんなに歩いても 弱気にならない
走っても つまずくことはない

目標を目指して
私はひたすら走る
まっすぐな道に導かれて

なんとなだらかな道なんだろう!
    (2011年 サンパウロにて)

(*) マタイによる福音書 11.28

© 2011 Laura Honda-Hasegawa

文学
このシリーズについて

祖父は日本から約100年前に来伯。私はブラジル生まれ。だから、私はブラジルと日本との「架け橋」になりたい。私の心に深く刻まれた「にっぽん」は宝物。ふるさとのブラジルで守りたい。そんな思いを込めて書いたのが、このシリーズです。(Bom Diaはポルトガル語でおはよう)

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執筆者について

1947年サンパウロ生まれ。2009年まで教育の分野に携わる。以後、執筆活動に専念。エッセイ、短編小説、小説などを日系人の視点から描く。

子どものころ、母親が話してくれた日本の童話、中学生のころ読んだ「少女クラブ」、小津監督の数々の映画を見て、日本文化への憧れを育んだ。

(2023年5月 更新)

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