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今年の二世ウイーク女王ラニ・ニシヤマさん

南カリフォルニア日系最大のイベント「二世ウイーク・ジャパニーズ・フェスティバル」で女王に選出される女性たちには、日系としての誇りや自信をうかがうことができるが、今年の第70回二世ウイークで女王に選ばれたラニ・クメ・ニシヤマさん(24)は、祖父との深い「心の絆」を感じさせた女性として、多くの人の記憶に残ることだろう。

今年の二世ウイークは7月下旬に華々しく開幕、8月14日に女王選出の「コロネーション・ボウル」が催され、西ロサンゼルス日系市民協会(JACL)とベニス日系コミュニティーセンターの推薦を受けたニシヤマさんが7名の候補者の中から栄冠を獲得した。

二世ウイーク女王の座を勝ち取ったラニ・ニシヤマさん (中央)

二世ウイーク女王選出までの過程は平坦な道ではない。居住区からの推薦を受けたあと、短期間のうちに日本文化の習得が求められる。大学での成績は優秀でなければならず、論文をまとめる力だけでなく、演説に長け、ユーモアに富み、人との巧みな接触が必須。容姿端麗はもちろん、着物姿の美しさなども要求される。

そうした過程を経て女王に選ばれたニシヤマさん。趣味は、ピアノ演奏、歌、料理、陶芸、旅行、バレーボール、スノーボード、美術館めぐり、おいしいレストラン探しなど幅広く、目指している俳優業への要素に満ち溢れている。女王となる要素も十分だった。

ニシヤマさんはハワイ生まれ。幼少の頃LA近郊に移住し、USC(南カリフォルニア大学)を卒業後しばらく不動産業に携わったが、現在はウェイン・ドボーク俳優養成所に通い、映画俳優への訓練に余念がない。

そのニシヤマさんが、女王に選ばれて「忘れられない人」として話したのが、祖父ロバート・平良さん=2003年没、享年80=のことだった。平良さんは、沖縄県人会発展への功績で知られ、常に善意をもって他人に接した人だったが、ニシヤマさんは「そうした偉大な祖父がいなかったら、誰が今日の自分を想像できただろうか。女王に選出された姿を祖父に見せたかった」と涙した。

祖父のロバート・平良さん

祖父の平良さんは1923年、沖縄出身の両親を持ち、11人きょうだいの9番目として、ハワイのワイリア砂糖きび栽培地で生まれた。第二次世界大戦時に通訳として日本に出征。終戦後ハワイアン・ベーカリー料理学校で学び、26歳の時、友人から380ドルを借り、ハワイのヒロ市で一番目のベーカリーをオープン。「ポルトガル・スタイル」のスイート・ブレッドを作り、販売した。ビジネスは拡大の一途をたどり、その後ホノルル市に移転、32年前にカリフォルニアにも出店し、全米に販売網を拡大すると同時に、外国へも輸出するようになった。

平良さんは大学へは進まなかったが、一時ハワイ大学で講義を受け持ったこともある。北米沖縄県人会のメンバーとなり、県人会館建設資金に多大な資金援助をしたとして、県人会の比嘉朝儀会長(当時)から表彰を受けた。

平良さんは事業経営の才能を発揮し、家族運営の小規模ビジネスを世界的規模にまで発展させた。敬虔なキリスト教徒として人道主義にあふれ、家族を大事にし、多くの友人に恵まれ、慈善団体に多大な援助の手を差し伸べて来ただけに、平良さんが他界した際は、多くの人が彼の死を悼んだ。

当時17歳の高校生だったニシヤマさんは、ロサンゼルス近郊トーランス市のチャペルで行われた葬儀のことをよく憶えている。多くの人が参列し、式場に収容しきれない人は外に列を作っていた。同じ時期にハワイでも葬式が挙行された。

祖父の足跡を踏まえながら、ニシヤマさんは「日米親善大使として、カリフォルニアの日系行事に積極的に参加し、日系社会に貢献するよう努力したい」と抱負を語っている。

長洲未来さんとラニ・ニシヤマさん。

二世ウイーク祭りは8月15日にはパレードがあり、ニシヤマさんは他の6名のプリンセスとともに、フロート(山車)に乗って登場。詰め掛けた沿道の人々の声援に手を振って笑顔で応えていた。

なお、パレードのグランド・マーシャルは菊地日出男さん、パレード・マーシャルは長洲未来さんが努めた。沖縄県人会芸能部も眞境名愛子部長を中心に部員30人が「パラダイス・ウルマジマ」音頭で行進した。特別ゲストでフロートに乗った美川憲一さんが「沖縄の衣装、とてもきれい」とほめていた。 

ちなみに、パレード・マーシャルをつとめた長洲さんは米国フィギヤスケート界期待の星で最も有名な一人。ロサンゼルス郊外のモンテベロで生まれ、スケートを始めたアーケディアで育った。今年のバンクーバー冬季オリンピックでは見事4位に。ソチ五輪優勝を目指し前進しているホープ15歳。父清人さんは茨城、母育子さんは長野出身でアーケーディアで寿司店を営んでいる。

二世ウイーク女王選出を喜ぶラニ・ニシヤマさん(中央)、第一準ミスのケリー・テラガワさん(左)、準ミスのローレン・ウエバーさん(右)。京都グランドホテルにて。

© 2010 Sadao Tome

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