ディスカバー・ニッケイ

https://www.discovernikkei.org/ja/journal/2008/2/24/mensore/

第3回 新世代のウチナーンチュウに聞く

山内優子さん (OAA オフィスマネージャー)

OAAのオフィスマネージャー、山内優子さんは、沖縄生まれのアメリカ育ち。沖縄県費奨学生として沖縄に1年間留学した後、さらに5年間、現地に 残って沖縄文化を吸収した。アメリカに戻った優子さんは、沖縄文化だけでなく、翻訳もできるだけの日本語力、さらにはウチナーンチュ新世代としての自覚を 身に付けていた。

Q:ご家族のどなたが沖縄からアメリカに来たのですか?

A:私の父が、出稼ぎ目的で1960年代にアメリカに来ました。その後、沖縄に戻って結婚し、私が生まれました。私が7カ月の時、再びアメリカに来る機会を得て、私と母を連れて1971年に移住してきました

Q:子供の頃から沖縄の文化や食物には親しんでいましたか?

A:6歳の時から、母の勧めで琉球舞踊を習い始めました。しかし、当時は沖縄の文化が本土のそれと違う独特のものだとは知りませんでした。10代の時に、沖縄出身ではない日系の友人が沖縄音楽に耳慣れないということを知り、沖縄には独自の文化があるのだと認識しました。

Q:沖縄県費奨学生に申し込んだ理由は?

A:大学時代から家族に留学を強く勧められていたので、申請条件の最後の年の29歳で申し込みました。沖縄では、子供の頃から習っていた舞踊に加え 三線も習い始めました。2001年の3月に奨学生期間が終了する頃には、真剣に打ち込みたいと思い始めていたので、奨学生期間終了後も沖縄に残って働きな がら稽古を続けることにしました。6年間滞在し、2006年に戻ってきました。

Q:沖縄に暮らす前と後で何が大きく変わりましたか?

A:家族の歴史について理解し、沖縄に親しみを抱くようになりました。多くの日系人は家族の歴史とはアメリカに来た地点から始まると思っているようですが、アメリカに来る前の土地にも豊かな歴史があり、そしてそれは現在の私たちにめんめんとつながっているのです。
日本の企業で働いたのも良い経験でした。日本社会の仕組みや風習を理解できるようになり、今、県人会で沖縄県庁と連絡を取り合うときに非常に役に立ってい ます。また、沖縄で、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、メキシコ、カナダなどほかの国から来たウチナーンチュと知り合ったことで、沖縄の海外移民の背景を 学ぶとともに、私自身の世界観が広がりました。

Q:沖縄県民の気質についてどう思いますか?

A:一般的には、のんびりしていて温かいということが挙げられるでしょう。初対面の人にも心を開き、微笑みかけ、一緒に食事もするという開けっ広げ な性格。戦争が人々の心と土地に残した傷跡は計り知れない分、平和を愛する気持ちが強い。しかし被害者意識は強くなく、楽観的で物事を前向きに信じるタイ プです。

Q:OAAで働くことにしたのは?

A:私を奨学生として推薦してくれたOAAに、沖縄で素晴らしい経験を積むことができ
たお礼をしたいという気持ちもありました。また、個人史については理解したので、これからはOAAと北米への移民史についても学びたいと思ったことも理由です。

Q:今後の抱負は?

A:OAAが私のような有給のスタッフを雇用するようになったのは最近のことです。これが今後、組織を確固たるものにし、より発展していく最初の一 歩であることを望んでいます。また、私が県人会や沖縄からいただいたもののほんの一部でも、これからの私の働きでお返しができればと思っています。

 

* 本稿はU.S. FrontLine January 2008 (3rd week) からの転載です。

© 2008 Keiko Fukuda

アイデンティティ 日本 沖縄県民 沖縄県 ウチナーンチュ U.S. FrontLine(雑誌)
このシリーズについて

福田恵子氏による第7回にわたるアメリカの沖縄系コミュニティのシリーズ。アメリカの日本人を対象に読まれている日本語無料週刊誌、U.S. Frontline からの転載。

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執筆者について

大分県出身。国際基督教大学を卒業後、東京の情報誌出版社に勤務。1992年単身渡米。日本語のコミュニティー誌の編集長を 11年。2003年フリーランスとなり、人物取材を中心に、日米の雑誌に執筆。共著書に「日本に生まれて」(阪急コミュニケーションズ刊)がある。ウェブサイト: https://angeleno.net 

(2020年7月 更新)

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