日系アメリカ文学を読む

日系アメリカ人による小説をはじめ、日系アメリカ社会を捉えた作品、あるいは日本人による日系アメリカを舞台にした作品など、日本とアメリカを交差する文学作品を読み、日系の歴史を振り返りながらその魅力や意義を探る。

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第13回 『ワイルド・ミートとブリー・バーガー』

アメリカのなかでは、もっとも古い日系移民の歴史をもつハワイ。そこで暮らすのは、アジア系をはじめ、白人、ヒスパニック、黒人、そして先住のハワイアンやポリネシアンなど多様な人種で、それぞれがもたらす文化が、固有の自然や気候、風土とあいまって独特の文化を生み出している。

言葉もそのひとつで、通常の英語のほか、ピジン英語(pidgin English)という、現地の言葉がまざった英語も生まれ、日系移民のなかでも使われた。

このピジン英語で書かれたのが、小説『WILD MEAT AND THE BULLY BURGERS』。著者は、ハワイ生まれの日系三世作家、ロイス・アン・ヤマナカ(Lois-Ann Yamanaka)...

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第12回 『きらきら』、『七つの月』

時代は1950年代から60年代、舞台は南部ジョージア州や中央部のアーカンソー州など。そこで日系人の家族がどんなふうに暮らしていたのか、子供たちは自分たちのことをどう思い、周りの人や景色をどう感じていたのか。

日系アメリカ人女性作家、シンシア・カドハタの小説『七つの月』、『きらきら』は、他の日系人作家の作品にはあまり見ることがない世界が描かれている。また、小説のテーマも戦争や収容所にかかわる日系アメリカ人の苦悩やアイデンティティーとは離れている。

日系アメリカ人の歴史のなかでも、あまり語られることがなかった地域の話だ。もちろん、これらはフィクションなのだが、そのベースとなっているのは、著者自身の生い立ちや経験で...

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第11回 『あの日、パナマホテルで』

古い日系人コミュニティーのあるシアトル。かつての日本町は、いまはインターナショナル・ディストリクトといわれ、チャイナタウンに少し日本町が入り混じったような街になっている。

通りの名称を記す標識も、英語だけでなく、近年日本語と中国語による表記がされ、この地区全体の歴史的な遺産を残そうという市の考えが読み取れる。永井荷風の「あめりか物語」にあるように、明治時代の終わりごろには日本そのもののような町が移民によって形成されていたが、それも戦争を挟んですっかり形を変えて、日本の影は少なくなった。

それでも、有名なスーパー「宇和島屋(Uwajimaya)」をはじめ、ところどこ日本食レストランや土産物屋など、日本的なものは...

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第10回 『日々の光』

今や世界中に読者を抱える作家村上春樹の英語訳を手がけていることでも知られる、日本文学研究者であり英訳者のジェイ・ルービン(Jay Rubin)が書いた小説としても話題を呼んだ『日々の光』は、太平洋戦争をはさんで、日米を舞台として繰り広げられる物語である。原題は『The Sun Gods』で、訳者あとがきによれば、2015年にシアトルの小さな出版社(Chin Music Press)から出版された。

日本語版は、村上春樹との共著『翻訳夜話』などでも知られるアメリカ文学研究者で翻訳家の柴田元幸と若い翻訳家の平塚隼介が章を分担して翻訳、英語版が出された翌々月に新潮社から出版されている。日本語版も同時進行で準備されてい...

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第9回 『カブールの園』

年齢を重ねていけば誰しも過去を振り返るようになる。自分がどこから来たのか知りたくなったり、どうして今の自分が今のようになったのかを考えたりするときがある。自分の親や祖父母のたどった過去が気になってくる。

『カブールの園』の主人公はカリフォルニアで暮らす日系三世の女性レイ(玲)。幼いころ虐められ、差別されたことによるトラウマを抱え、母親との関係に悩む彼女が、あるときマンザナー収容所跡を訪ねたことから母親との関係を修復し、日系である自分自身を受け入れていく物語だ。

作者の宮内悠介は、この作品を月刊文学界の2016年10月号に発表、今年一月文芸春秋社から出版、芥川賞候補作となった。惜しくも落選したが、このほど第30...

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