デカセギ・ストーリー

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。

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第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その3

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2010年5月7日

「Festa do Dia das Mães1」が、今日、学校であった。日本にいたころ、ブラジル人学校では、お母さんたちには工場の仕事があったので、その行事はなかった。生徒たちは絵やカードを作り、家でお母さんに渡すだけだった。でも、ブラジルの学校はすごい!2日前の金曜日には授業の代わりに、生徒が歌やダンスや演劇を特別にお母さんに見せるの。小ちゃい子のお母さんたちは涙ぐんで見ていた。

わたしはポルトガル語のサンドラ先生が担当する演劇に参加した。役は日本人の女の子だったので、めっちゃうれしかった!着物はバチャンが赤い花柄の布を買って作ってくれた。そして、本番の前...

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第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その2

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2010年2月17日

テレビで初めて見たブラジルのカーニバル。そして今日、水曜日が最終日。「灰の水曜日」と呼ぶそうだ。バチャンにその意味を聞くと、「1年間、待ち望んでいた祭が、今日で終わって、皆、明日から来年を目指して頑張るんだ」と、説明してくれたけど、なぜ「灰」なのか、意味がよく分からなかった。ブラジルはやっぱり日本と違う国だと思った。

マミーが久しぶりにマリンガに来た。土曜日に着いて、今日、サンパウロに戻った。マミーとパパは離婚したの。一年前、わたしは日本から来てすぐ、パパの家から学校に通っていたけど、それにわずか4ヶ月だけだった。そのころ、毎日のようにベッチが家に来ていた。そのベッチがパパ...

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第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その1

2009年1月26日

なんで?なんでブラジルに帰らなきゃいけないの?ねぇ、本当なの?と、マミーに聞いたが、マミーは忙しそうにキッチンで片付けをしていた。珍しく、そのときは「ジェシカも手伝いなさい」と、言われなかった。

わたしは本当に帰りたくない!「来年、ジェシカは中学生になるんだから、英語をもっと勉強しなさい」と、マミーは言っていた。マミーは、わたしの通っていたブラジル人学校で英語を教えていた。それなのに、急にブラジルに帰ることを決めたので、わたしはびっくり!マミーの考えてることが、わたしにはぜんぜん分からない。

明日の今頃、わたしたちはもう飛行機の中にいるんだわ。あぁ、もうどうにもならない。

愛しきディアーリョ...

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第二十三話 (後編)「来ないでいい」と言いたかったが

ヒロユキは覚悟を決めて、早苗さんに本当のことを話した。ブラジルに居た頃、学生だった自分に子どもが生まれ、その子の母親マリア・ド・ロザリオと暮らすようになり、2年後、日本に単身で働きに来たことなどを打ち明けた。

早苗さんは黙って聞いてくれた。ヒロユキには、怒りを表さず、動揺を見せまいとする彼女の態度が意外だった。すると、早苗さんはタンスの引き出しから箱を取り出し、中の写真をヒロユキに渡した。

「彼はイランからの留学生で、私たちは大学で知り合ったの。交際を始めたけれど、突然、彼の父親が病気になって、彼はイランに戻らざるを得なくなり、結局、何代も続く家業を継ぐことになったの」

「で、早苗さんは、向こうに行かれたんです...

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第二十三話 (前編)「来ないでいい」と言いたかったが

あの日、受話器を置いて、ヒロユキは驚きのあまり、一瞬、茫然自失となった。

「今度そっちに行くからね!」と、ブラジルに残してきた妻の言葉がキンキンと鋭く耳に響いた。最初は冗談だと思ったが、マリア・ド・ロザリオは本気だった。「前に言ったでしょっ!日本まで追っかけて行くからって!その時が来たんだよ」

ヒロユキは混乱した。今までは、妻が電話してくる理由は1つしかなかった。それは「もっとお金を送って欲しい!」との要求だった。しかし、今回は、お金のことは一切口にせず「とても楽しい。こんな楽しい仕事があるなんて知らんかった」と、笑いながら新しい仕事が見つかったと言った。電話の向こうで、サンバのリズムと大勢の女性の声が聞こえてい...

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