デカセギ・ストーリー

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。

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第二十五話(後編) トシアキの初めてのCARNAVAL

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「日本へ行くことにした!」と、トシアキが言った。隣町で用事を済ませて、戻って来たときのことだった。

突然の報告に皆は驚いた。「その気があったなら、なぜ僕と一緒に行かなかったの?あのころが一番景気がよかったのに!」と、あきれたように弟のサトシが言った。

「いいじゃん。お兄さんはまだ40代だし、大の働き者だから大丈夫だよ」と、義理の妹は真っ先に応援してくれた。

リビングで孫たちとテレビを見ていた母親はうれしそうに、まるで待っていたかのように、息子の言葉を受け入れた。「ようやく、トシが自分のことを考えるようになったのか。日本からお嫁さんでも連れて来てくれたら、わたしは何にも思い残すことはない」と、...

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第二十五話(前編) トシアキの初めてのCARNAVAL

トシアキは内気な子供だった。近所の子たちが原っぱで、凧揚げをしたり、ボールで遊んでいても一緒に遊ばず、家でおじいちゃんが作る竹細工を手伝っていた。

中学3年生のとき、父親が病気で亡くなり、長男だったトシアキは祖父の代から続いている家業の八百屋を手伝うことに決めた。学校は午前中だったので、授業が終った後夜遅くまで働いた。高校は夜学に進学した。夜明けから午後6時まで、汗まみれで働き、それでも授業には欠かさず出席した。

金曜日は、同級生の半分以上が授業をさぼって、学校の周辺に集まって流行の歌を歌ったり踊ったり、「青春を楽しもう」と陽気に騒いでいたけれど、トシアキは、それに見向きもせず、たった1人で授業を受けることもあっ...

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第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その6

20111112

愛しきディアーリョ。はじめまして。マリナです。ジェシカちゃんが書いたこの日記はとてもおもしろくて、全部読みました。そして、読んでいるうちに、なるほど、ブラジルってこういう所なんだ、と分かりました。

ジェシカちゃんとは日本のブラジル人学校でいつも一緒で、とても楽しかったです。でも、お父さんの仕事が変わったため、わたしは引越ししなければなりませんでした。そして、わたしは日本の学校に転校しました。お父さんとお母さんはわたしが日本の学校で勉強することを希望していました。ブラジル人学校も楽しかったけれど、日本の学校のほうが、もっと好きになりました。

わたしはサンパウロ州バストス生まれで、3歳のとき...

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第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その5

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2011年7月30日

愛しきディアーリョ。ただいま!

サンパウロで過ごした冬休みは、めっちゃ楽しかったけど、こっちに戻る2日前にマリナちゃんのことを知って、とても心配になったの。だって、3年前までは、日本のブラジル人学校で一緒だったマリナちゃんが、今年ブラジルに戻って、ここの生活に慣れなくて、学校に行ってないんだって。なんで?信じられない!わたしよりも頭がいいし、日本語はぺらぺらだし、かわいいし。

そして、バチャンにマリナちゃんのことを話すと「そんな頭のいい子が学校へ行かないで、家に閉じこもっているのは、実にもったいない。ジェシカは本当のお友だちなんだから、何かできるよ。力になれるよ」と、...

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第二十四話 日本人になりたかった少女の日記~その4

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2011年3月4日

バチャンのお姉さんが入院したので、バチャンはカンポ・グランデに行っているの。だから、わたしは、当分、ナイル叔母さんの家でお世話になるの。いとこが3人いて、一番下のノアちゃんはすっごくかわいい。2歳なの。

日本に居たときと比べると、今の方がめっちゃ、にぎやかで楽しいわ!日本では朝の7時半から夕方の6時まで学校で過ごしていたの。クラスには8人しか居なかった。その中の3人とは大の仲良しだったけど、2008年の末には、生徒の半分はもう居なかった。町を出て行ってしまったから。そして、親友のアリネちゃんもブラジルに戻ってしまった。マミーは「É a crise1」と、言っ...

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