第二十五話(後編) トシアキの初めてのCARNAVAL

「日本へ行くことにした!」と、トシアキが言った。隣町で用事を済ませて、戻って来たときのことだった。
突然の報告に皆は驚いた。「その気があったなら、なぜ僕と一緒に行かなかったの?あのころが一番景気がよかったのに!」と、あきれたように弟のサトシが言った。
「いいじゃん。お兄さんはまだ40代だし、大の働き者だから大丈夫だよ」と、義理の妹は真っ先に応援してくれた。
リビングで孫たちとテレビを見ていた母親はうれしそうに、まるで待っていたかのように、息子の言葉を受け入れた。「ようやく、トシが自分のことを考えるようになったのか。日本からお嫁さんでも連れて来てくれたら、わたしは何にも思い残すことはない」と、...