デカセギ・ストーリー

1988年、デカセギのニュースを読んで思いつきました。「これは小説のよいテーマになるかも」。しかし、まさか自分自身がこの「デカセギ」の著者になるとは・・・

1990年、最初の小説が完成、ラスト・シーンで主人公のキミコが日本にデカセギへ。それから11年たち、短編小説の依頼があったとき、やはりデカセギのテーマを選びました。そして、2008年には私自身もデカセギの体験をして、いろいろな疑問を抱くようになりました。「デカセギって、何?」「デカセギの居場所は何処?」

デカセギはとても複雑な世界に居ると実感しました。

このシリーズを通して、そんな疑問を一緒に考えていければと思っています。

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第二十七話(後編) 天からの贈り物

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ひらりちゃんへ

こんにちは。徳永涼子です。おばあちゃんです。

突然でびっくりしたでしょう。全然お返事しなくて、本当にごめんなさい。

ひらりちゃんが書いてくれた手紙(全部で22通)は全部読みました。写真もクリスマスカードも、大切にしまってあります。おばあちゃんの宝物になっています。

どうして、今まで一度も返事してくれなかったのかと聞きたいでしょう。

ごめんね。いろいろあったんです。まず、ひらりちゃんのお父さんのレオが事故で亡くなった後、立ち直るのにすごく時間がかかったからです。さらに、その間に大変な出来事がいろいろと起こったのです。

お父さんがお店のお手伝いをしてくれていたのは知っている...

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第二十七話(前編) 天からの贈りもの

わたしの名前は「ひらり」です。珍しくて、いい名前ですって?みんながそう言ってくれます。なんで「ひらり」って?

ママが選んでくれました。日系ブラジル人のママは高校を卒業して、すぐに日本へ出稼ぎに行きました。どうしても大学へ進みたかったので、2年ほど日本で働いて学費を作り、ブラジルで大学へ行くつもりでした。

ブラジルの田舎町で生まれ育ったママにとって、日本の都会の生活は、喜びや期待、不安、そして、戸惑うこともありましたが、人生で一番楽しい時期だったと今でも言っています。

まず、ママが日本でハマッタのは、テレビドラマでした。工場の仕事は大変だったけれど、土曜日の朝を楽しみにしていたそうです。初めて見たドラマは、NHK...

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第二十六話(後編) 「帰ってきちゃダメ!日本で頑張れ!」

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残業を終え、ケイは家に戻った。郵便受けを開けてみるとチラシでいっぱいだった。「日本語が読めたらいいんだけどなぁ」と一枚ずつ見ていると、一通の手紙が届いていた。

急いで家に入り、灯りをつけて差出人見ると、母親からだった!「えっ!?カアさんが手紙を?珍しいこともあるもんだ!」と、早速封を切った。

写真が一枚だけだった。「えっ!?サクラの木?カアさんがエリザを抱いて写ってる!ブラジルにサクラなんてあったっけ!?」

写真の裏を見ると「帰ってきちゃダメ!日本で頑張れ!」と大きく書いてあり、つい吹き出してしまった。

「カアさんらしいなぁ!話をよく聞いていないんだから!僕、一度もブラジルにすぐ帰るなんて...

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第二十六話(前編) 「帰ってきちゃダメ!日本で頑張れ!」

目覚し時計が鳴ると、ユリカはすぐに起きた。毎朝、アラームが鳴る前にすでに目が覚めている。そしてここ一か月、起きるといつも「今日こそ手紙を書こう」と思う。しかし、いまだに手紙を書けずにいる。

側のベッドを見ると、孫のエリザちゃんがすやすやと眠っている。

「今日も発作が起こらないでよかった!」

窓のカーテンを開けると、外はまだ薄暗い。そういえば、1ヵ月前も外は暗かったなと、ふと思う。

ドアを開けると、番犬のリッキが妙に唸っていた。見ると、玄関にイヤリングの片方が落ちていた。「これはクリスのだ。でも、なんでここに?」

悪い予感がして、嫁のクリスティーナの部屋へ駆けつけた。一見したところ、何にも変わったことはなかっ...

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第二十五話(後編) トシアキの初めてのCARNAVAL

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「日本へ行くことにした!」と、トシアキが言った。隣町で用事を済ませて、戻って来たときのことだった。

突然の報告に皆は驚いた。「その気があったなら、なぜ僕と一緒に行かなかったの?あのころが一番景気がよかったのに!」と、あきれたように弟のサトシが言った。

「いいじゃん。お兄さんはまだ40代だし、大の働き者だから大丈夫だよ」と、義理の妹は真っ先に応援してくれた。

リビングで孫たちとテレビを見ていた母親はうれしそうに、まるで待っていたかのように、息子の言葉を受け入れた。「ようやく、トシが自分のことを考えるようになったのか。日本からお嫁さんでも連れて来てくれたら、わたしは何にも思い残すことはない」と、...

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