シアトル・宇和島屋物語 ~ The Uwajimaya Story

アメリカ・ワシントン州シアトルを拠点に店舗を展開、いまや知らない人はいない食品スーパーマーケットの「Uwajimaya(宇和島屋)」。1928(昭和3)年に家族経営の小さな店としてはじまり2018年には創業90周年を迎える。かつてあった多くの日系の商店が時代とともに姿を消してきたなかで、モリグチ・ファミリーの結束によって継続、発展してきたその歴史と秘訣を探る。

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第11回 シアトルからタコマへ

ワシントン州のシアトルやタコマが日本人移民の町として栄えたのは、サンフランシスコやロサンゼルス同様に、日本からの定期航路が開けた地であったことがその大きな理由である。

日本から北米への航路は1896(明治29)年、日本郵船が香港—日本—シアトル間に定期航路を開いたのがはじまりだった。同年8月1日に神戸を出港した三池丸が横浜を経由して、途中臨時でホノルルに寄り、8月31日にシアトルに入港した。

シアトルへの航路を開いたのは、シアトルを起点にした大陸横断鉄道と提携することで東海岸から貨物を船便で太平洋に輸送することをねらったからだった。また、サンフランシスコへはすでにアメリカの船会社が航路を開いて…

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第10回 ルーツと同郷の成功者

日本人の場合、自分のルーツをたどろうとするならば、一般的には役所に行って戸籍をたどるのが一番だろう。また、菩提寺があれば寺が保管している先祖代々の記録である過去帳などを確かめるのもひとつの手だてである。

宇和島屋の創業家である森口家の墓のある八幡浜市の堯範寺(臨済宗)にも、代々の記録は残っている。しかし、森口家の場合、その昔の養子縁組などを含めた複雑な親族関係は、戸籍をたどってみてはじめて明らかになるようだ。

創業者である森口富士松は、1898(明治31)年、旧川上村川名津で父森口権七と母スワの長男として生まれる。森口家には富士松のほか、長女カメ、二女キノエ、二男才助、三女キク子、四女春子、五女カナ子、六女イシノがい…

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第9回 だんだん畑の集落から大志をもって

四国・愛媛県の西部、宇和海に面した八幡浜市。南北に走る国道378号を南に下っていくと、やがて西に折れて、その行きつく先が小さな舌間湾になる。ここで国道は海岸線に沿ってカーブを描きながら南へとつづく。

右手には穏やかな宇和海が見え隠れし、左手には家が立ち並んでいるが、その裏手はすぐに斜面になっていてだんだん畑が広がっている。のどかな海と山の間をゆくこの道は、近年サイクリングロードとしても人気があるようだ。 

愛媛といえばみかんだが、だんだん畑のなかには山の上まで農道が走り、収穫したみかんを運ぶためのモノレールが敷かれている。大きな建物は、出荷する大量のみかんを集める「共同選果場」だ。海に目を移せば、鯛やかんぱちなど養殖…

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第8回 成功者のあとを追って

宇和島屋(Uwajimaya)を立ち上げた森口富士松は、そもそもなぜアメリカにわたったのか、なにかきっかけがあったのか、具体的なことはわかっていない。しかし、彼が生まれ育ち、また修行をしたという愛媛県の西南部の当時の環境とは無関係ではないだろう。

富士松の生まれた西宇和郡川上村を含む地域(現在の八幡浜市)の周辺では、明治時代からアメリカへの移民熱・渡航熱が高まり、時には命懸けでアメリカへわたった男たちが数多くいた。ある時は漁に使われた打瀬船と呼ばれた帆掛け船で、太平洋横断を試みたのだった。

「北針」という、木枠に入った磁石を羅針盤代に帆掛け船のへりにつけて航行したという当時の“密航”の史実は、…

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第7回 日本・愛媛・西宇和郡

明治時代になって日本が開国すると、堰を切ったように日本人の海外への渡航がはじまる。勉学のため、生活のため、あるいは一獲千金を夢見てアメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、ペルー、オーストラリア、東南アジアなど、さまざまな国へと人々は出て行った。

アメリカ、ハワイへの渡航をみると、江戸時代末期に漂流の果てなどに偶然アメリカで暮らすことになった例としては、有名なジョン・万次郎やジョセフ彦蔵がいる。明治元年(1868年)にはハワイのサトウキビ農場で働くために153人が集団で移住した。移民史の世界では「元年者」と言われる人たちだ。

彼らは、維新の混乱期に明治政府の許可を待たずに出国したが、同じく、混乱に紛れるようにして集団移民…

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