第1回 子供を階段から蹴落とす
貧乏旅行でのぞいた現実
彼ほど庶民階級のブラジル人に親身になって尽くしてきた人は少ない。定森徹さん(40、千葉県出身)は移民ではない。だが、大学卒業以来、十七年を 伯国で過ごしている変り種だ。聖市ではモンチ・アズールのファベーラ、セアラ州、そして現在はアマゾナス州マニコレ市に住み、JICAブラジル事務所の支 援で、遠隔地住民の生活向上に尽くすプロジェクトを進めている。一貫して庶民の生活向上に関わるボランティア活動を行う定森さんの軌跡を追った。
国際ボランティア活動に足を踏み入れたきっかけは、学生時代に中南米を放浪して感じた格差社会の現実だった。
八九年、大学三年生の時、メキシコから貧乏旅行でアルゼンチンまで下った。ブエ…