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10月30日「世界のウチナーンチュの日」— 沖縄県と海外県人会つなぐ山城貴子さん

10月30日「世界のウチナーンチュの日」— 沖縄県と海外県人会つなぐ山城貴子さん
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沖縄県主導でポータルサイト開設

沖縄県は海外の県系人とのネットワーク構築と密なコミュニーションに関しては、他の県とは一線を画す。その絆が形となった一大イベントが、1990年以降、5年に1度、沖縄で開催されている「世界のウチナーンチュ(筆者注:「ウチナーンチュ」とは沖縄の言葉で沖縄県系人のことを指す)大会」である。

今年4月に沖縄県文化観光スポーツ部文化スポーツ統括監となった山城貴子さんは、2021年に開催が予定されている「第7回世界のウチナーンチュ大会」を牽引する役割を担っている。同県文化芸能団と共に2017年10月にロサンゼルスを訪れた山城さんに、県と在外県人会のコミュニケーションについて聞いた。

「昨年開催された世界のウチナーンチュ大会時に、世界各地の県人会の方々とミーティングを持ちました。そこで出た課題は、沖縄の情報発信が海外では不十分であるということ、また県内の人は海外に移住した県系人の歴史をわかっていない世代が増えてきているということでした。そこで、もっと世界のウチナーンチュに関心を持ってもらうため、ペルーやアルゼンチンの3世の方の提案をもとに、毎年10月30日を『世界のウチナーンチュの日』に制定しました。これまでは、世界のウチナーンチュ大会が開催される5年ごとに、沖縄県民のつながりを思い出す人が多かったのですが、毎年その日がやってくることで、より県民に意識されるようになり、沖縄の歴史や文化、アイデンティティーを継承する意義が浸透するようになるのではないかということが、制定の目的の一つとなっています。そして10月30日には、県内各地はもちろん、世界の県人会でもそれぞれ、ウチナーネットワークについて考えたり、活動したりする取り組みを促進し、世界各地にさらなる広がりをもたせたいと考えています」

2017年10月にロサンゼルス郊外トーランスで開催されたイベントに参加した沖縄県からの芸能団と現地のパフォーマー  

取材時点では、制定後、初の世界のウチナーンチュの日を目前に控えていた。まず、世界の沖縄県系人をつなぐウェブサイト、「世界のウチナーネットワーク」を開設。海外の県人会がそれぞれどのような活動を行っているかの情報を集約して、世界各地に発信していくことで、繋がりを強化していきたいと伺った。

また、沖縄県民向けにも移民の物語を演劇にした「ヒヤミカチウチナー平良新助物語」を県内の3カ所で巡演したり、県内の学校を中心に、移民の歴史や県系人の移住先の土地での暮らしぶりや文化を伝える「レッツスタディ!ワールドウチナーンチュ」と題した出前講座を実施。さらには県内にある、移民に関する資料館や移民にゆかりのある地を巡るバスツアーも実施予定とのことだった。

「世界のウチナーンチュの日」を積極的に祝うイベントは、ハワイ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ユタ、コロラド、南米ブラジルをはじめ、海外においても十数カ所で繰り広げられる。


一方は行政、他方は民間やボランティア・ギャップを埋めるのが課題

様々なイベントを開催していく中で、来年もまた継続していくもの、初年のみの開催に留めるものなどを決め、さらに新しい企画も取り入れて、長く、そしてその開催の輪を大きくしていくのが、沖縄県の狙いだ。

山城さん(左)と北米沖縄県人会の当銘さん

驚くことに山城さんが率いる、沖縄県側の世界のウチナーネットワーク強化に係わる実行メンバーは3名のみ。「私たちで世界各地の県人会の方々に声をかけ、さらに沖縄県内の市町村にも草の根とも言えるような活動で、ウチナーネットワークの発展に努めています」と山城さんは語る。

それでは世界の県人会とのコミュニケーションで、苦労する点とはどのようなことだろうか。その質問には取材に同席した北米沖縄県人会の当銘由洋さんが、次のように答えた。

「まず、障壁となるのは日米の慣習の違い。例えば、サンクスギビングなどのアメリカの休日に沖縄からの派遣団が訪米しようとすると上手くいきません。さらに公的機関レベルの文書の作成が非常に困難という現状があります。こちらの県人会は基本的にはボランティアで活動しています。そこに沖縄県に出す文書を県が求める形式で作成し、さらに英語から日本語への翻訳、またその逆の翻訳ということになると、ボランティアではなくやはり誰かに費用を出して作成しなければなりません。一方が行政、他方が民間やボランティアという違いを埋めることが今後の課題ですね」

また、海外の県人会の高齢化からくる問題として、インターネットやeメールの使用を日常的に使用しない県人会の幹部に連絡する際には、返事を受け取るまでに時間がかかる、時差を考慮して自宅に電話しなければならないなどの苦労があるようだ。

山城さんは第3回世界のウチナーンチュ大会の運営に関わった経験がある。「第3回の開催は2001年の10月でした。多くの皆さんに大会に参加していただくための説明会を開催する目的で、アメリカにもその年の7月に訪れました。ところが9月に911が起こりました。飛行機に乗りたくない、また家族を飛行機に乗せたくないということで『大会を中止にしてほしい』との声が寄せられ、私たちは決断を迫られました。しかし、結果的にはハワイやアジアを中心に、海外から実に約4000名が大会に参加してくれました。危機的な時だからこそ、ウチナーンチュのネットワークを活用して皆で何ができるかを考えるのが大事じゃないか、と参加してくださった方々には温かい声をかけていただきました」

山城さんはコザ(現在の沖縄市)の出身。茨城県の大学に進学し、東京でも働いた後に、沖縄に戻り県庁に就職した。海外に移住した親戚はいなかったかを聞くと、親戚ではないが幼い頃から家族ぐるみで付き合っていた移住経験のある男性から「とにかく勉強しなさい。教育が一番大事だ」と言われ続けたことが今も印象に残っていると振り返る。

最後に山城さんにウチナーンチュの良さについて聞いた。「人が優しい、ということですね。沖縄には昔からユイマールという相互扶助の精神が息づいていて、自分にとって関係がない人に対しても手を差し伸べる人が多い土地なのだと思います」

「世界のウチナーンチュの日」の試みは始まったばかり。そして4年後には次の世界のウチナーンチュ大会がやってくる。


参照: 世界のウチナーネットワークのウェブサイト

 

© 2017 Keiko Fukuda

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