Discover Nikkei

https://www.discovernikkei.org/en/journal/2013/4/25/yuko-yamauchi/

第1回 「アメリカのウチナーンチュの魅力、世界に伝えたい」山内優子さん

2012年7月に南米ブラジルのサンパウロで開かれた世界若者ウチナーンチュ大会が、2013年には舞台をロサンゼルス郊外トーランスに移して開催される。同大会は、沖縄にルーツを持つ移民たちが、5年に一度、故郷の地、沖縄に世界中から集まって祝われる世界ウチナーンチュ大会の若者版だ。

移民の祖先たちが日本の出身地に集結する話は、他県では聞いたことがない。しかも、沖縄の場合、20代から30代の新世代が中心となって企画運営に取り組む若者大会まで海外で開催されているのだ。若者大会の主催元は、若者ウチナーンチュ連合会沖縄本部。代表の玉元三奈美さんは昨年秋に北米沖縄県人会を訪れ、日米双方が協力し、大会の成功をめざそうとアメリカ側に呼びかけた。玉元さんに同イベントに関与することになったきっかけを聞くと以下のような答えが返ってきた。

「オーストラリアに留学した時に、現地の方が日本は知っていても沖縄のことをあまり知らなかったこと、日本の内地の人と自分の言葉のイントネーションが違うことに初めて気づいたことで、沖縄はユニークな土地だという意識が芽生え、私の中にも郷土愛が生まれました。そこで世界にもっと沖縄のことを知らせたい、世界に広がる若者世代のウチナーンチュをネットワークでつなげたいと思ったのが、この活動を始めた動機です」

玉元さんが率いる沖縄本部の熱意を受けて、アメリカ側でも数人の新世代ウチナーンチュが立ち上がった。彼らは今、目前に迫った大会に向けて、会場関連、プログラム作成、そして世界中から集まる参加者のための宿泊、交通手段の確保に取り組んでいる。それにしても、国境を越え、世代を越え、このようなイベントに積極的に関わろうとするパワーの源は一体、何だろうか?

そこで、今夏のロサンゼルスでの若者大会のアメリカ側の運営事務局となっている新世代ウチナーンチュに話を聞くことにした。最初に会ったのは、ロサンゼルス郊外ガーデナに事務局を置く北米沖縄県人会のオフィスマネージャーでもある山内優子さんだ。

挑戦と同時に最良の機会

ロサンゼルス郊外の北米沖縄県人会オフィスでの山内優子さん

優子さんは沖縄生まれのアメリカ育ち。厳密に言えば、新一世になる。生後7カ月で家族とともに渡米し、ロサンゼルスの医療系の非営利団体に勤務した後にキャリアを中断して、県費留学生として沖縄に戻った経験を持つ。琉球舞踊という沖縄の伝統文化に子供の頃から親しんでいた優子さんは、「年齢的にも留学生として選ばれる最後のチャンスを逃してはならない。今、沖縄に行かなくては、と決断した」と当時のことを振り返る。

そして沖縄滞在中に日本語はもちろん、新しく始めた三線にも磨きをかけ、ウチナーンチュとしての意識は彼女の中で確実に芽生え花開いた。その後、留学期間が終わっても、優子さんはすぐにアメリカには戻らず現地に残って企業で働くことにした。沖縄には6年間滞在した。

ロサンゼルスに戻った後、2006年からは北米沖縄県人会のスタッフとして就職した。日本の企業でも働いたこと、そしてバイリンガルとしてのスキルを生かし、彼女は北米の県人会と沖縄県の橋渡し役を立派に務めている。

筆者は、沖縄に留学生として渡る前の優子さんに会ったことがある。既に15年ほど前のことだ。持ち前の責任感とコミュニケーションスキルを生かして、当時の勤務先でも活躍していた。そして、沖縄県人会で働く彼女とひさしぶりに再会した時、人間的な魅力が増したと感じた。それはきっと「沖縄現地での豊かな経験」の賜物に違いないと思える。

そして、北米沖縄県人会のオフィスマネージャーという立場にある優子さんが、世界若者ウチナーンチュ大会アメリカ大会の準備局の一員になるのは自然な流れだったと言える。しかも彼女は、今回の役割を引き受ける時に、これは挑戦であると同時に最良の機会でもあると感じたと話す。

「ロサンゼルスで開催すると言っても、全米に参加と協力を呼びかける必要があります。アメリカの沖縄コミュニティーは47もの地域に分かれて広がっています。それぞれをまとめていくことが大きな挑戦ではありますが、これまで北米の県人会の課題はいかにして若い世代を巻き込むかということでもありました。今回の若者大会の開催を通じて、次世代の若者にも是非、県人会の活動に目を向けてもらい、参加してほしいと願っています。また、せっかくアメリカで開催するのですから、アメリカのウチナーンチュの魅力を、沖縄や南米からやってくる皆さんにしっかりと伝えたいですね。アメリカでは土地によって世代も異なります。ロサンゼルスにはあらゆる世代のウチナーンチュが住んでいますが、ハワイは既に5世、6世が中心です。そういった広大な国ならではのユニークな点もご紹介していきたいと思います」

* * *

2013年世界若者ウチナーンチュ大会
2013年7月18-21日
Torrance, California, U.S.A.

詳しくはこちら: http://wyuausa.wordpress.com/

© 2013 Keiko Fukuda

Japan Okinawans Okinawa Prefecture Uchinanchu World Youth Uchinanchu Festival
About this series

Why are the bonds between Japanese people with roots in Okinawa so strong, and how do they pass on their culture and identity to the next generation? Through interviews with people involved in the preparations for the World Youth Uchinanchu Festival, we uncover the secrets.

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About the Author

Keiko Fukuda was born in Oita, Japan. After graduating from International Christian University, she worked for a publishing company. Fukuda moved to the United States in 1992 where she became the chief editor of a Japanese community magazine. In 2003, Fukuda started working as a freelance writer. She currently writes articles for both Japanese and U.S. magazines with a focus on interviews. Fukuda is the co-author of Nihon ni umarete (“Born in Japan”) published by Hankyu Communications. Website: https://angeleno.net 

Updated July 2020

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