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カリフォルニア大学バークレー校の大学院ジャーナリズム研究員 -修士論文に「沖縄の過去、現在、未来」を取り上げる- その2

>>その1

60年代のベトナム反戦運動で、フリースピーチムーブメントの拠点となったバークレーで学んだことは、三重さんに「政治参加」の重要性を再認識させた。財政難に陥るカリフォルニアでは、公立教育の予算が大幅に削減され、バークレーは現在、70億ドルの赤字を抱えている。こうしたことから、学費値上げや人員カットなどが行われているが、それに対し、今年3月、学生達が大規模なストライクを行った。政治に興味があるないに関わらず、学生達は、自分を取り巻く環境に興味を持ち、積極的に発言している。

これは、バークレーという一種特別な場所ゆえのことかもしれないが、三重さんがここから感じたことは、日本でも、我々若い世代がもっと平和的な手段で政府に抗議することで、政治家ではなく、国民の意思によって、よりよい社会へ導くことが可能であるという意識を持つことが大事だということだ。こうした世論形成は、ジャーナリズムが担わなければならない責任であり、上から目線のジャーナリズムではなく、視聴者とともに語り合っていくものでなければならない。今まで以上に、我々が第三権力として、公共サービスとして、読者、視聴者のために、取材活動を続け、疑問を投げかけることが、今後日本のジャーナリズムに必要なことである。そのためには、記者クラブなどにしばられる日本の閉鎖的な報道自体が、もっと開放的になり、様々な角度から、様々なジャーナリストが取材できる環境を作っていくことが先決だと、三重さんは改めて感じたとという。

カリフォルニア大学バークレー校 (写真提供:Gku、ウィキぺディアより)

現在、欧米のメディアは拠点を東京から中国に移していて、トヨタのリコール問題など、世界的に知られている会社のニュースを除けば、日本に関する報道がアメリカメディアの一面やトップニュースを飾ることはほとんど無い。また、日本における英文メディアは、ロイターやAP通信、NYタイムズなどを除けばほとんどなく、日本の正確な情報がウェブを通して海外に伝わることもあまりないように感じる。そのため、色々な意味で、誤解や軋轢が生まれる。沖縄を含め、テレビ、新聞などのいわゆるメインストリームメディアによって見落とされている、あるいは伝えられていない日本の姿や問題を、もっと日本人の目から世界に発信していくことが、日本という国の存在を海外に示していく上で、一番の方法だと思う。そうした一端を担っていくことは、アメリカのジャーナリズムで学び、ジャーナリズムの可能性、技術を学んだ自分の責任であるとも感じていると三重さんは語る。

そして、ジャーナリズムスクールで出会った各国から出身の友人とも協力し、日本と世界をつなげるジャーナリズム、オンラインニュースの団体を立ち上げ、日本のグローバル化にいずれは貢献していくことが、三重さんの今後の一番の目標だ。

三重さんと同行したリンゼイ・ワサバーガーさんはフォト・ジャーナル(写真報道)を専攻、沖縄県人会のイベントをカメラに収録した。リンゼイさんが特に力をいれて研究しているのが沖縄方言(ウチナーグチ)の変遷についてである。比嘉朝儀沖縄県人会長が教師を務める毎月一回のウチナーグチ・クラスの授業風景と、TJSラジオで週に一回放送している「ハイサイ・ウチナー」の収録風景を撮影した。リンゼイさんは「ウチナーグチの使用が特に若い世代の間でだんだん消滅しつつあったが、また最近それと取り組む若者が増加傾向にある。琉球芸能を遂行するためにはその理解が必要になっているからであろう」と研究経過を発表した。

リンゼイ・ワサバーガーさんが沖縄県人会婦人部の役員就任式典を撮影しているところ。 沖縄県人会ヤマウチ・ビル

筆者の所感

三重綾子さんの今後のジャーナリズムと取り組む姿勢を紹介したが、彼女はいずれは日本に戻ることを考えているという。そのときには日本の今を日本人の目で伝える英語オンラインニュースを制作することを考えている。沖縄の報道に力をいれたTBSの筑紫哲也さんが他界し、沖縄問題を取り上げるジャーナリスト(特にテレビ放送)が極端に少なくなったように感じる昨今、三重さんはアメリカで学んだジャーナリズムを活かして、日本ジャーナリズム界に貢献できればと思っている。そのための研究が実を結ぶことを願ってやまない。

© 2010 Sadao Tome

education journalism okinawa UC Berkeley