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JAリビングレガシー = 皆様の声のために

長い間、日系アメリカ人の歴史の研究は、第2次世界大戦時の戦時転住問題(強制収容所)や日系二世の第442部隊に重点が置かれてきました。そして、日系アメリカ人のが残した歴史の証言(オーラルヒストリー)もまた、それらに関するものがほとんでした。

しかしながら、日系アメリカ人の歴史はとても多様なものです。強制収容所のことや第442部隊以外の日系アメリカ人の歴史にも触れる必要があります。

JAリビングレガシーは「語られなかった」日系アメリカ人の歴史を、オーラルヒストリーによって解明させることを活動目的にしています。そして、そ れらの歴史を海外に発信するための活動も始め、昨年、日本事務所を設立しました。そして、太平洋をまたいだ「オーラルヒストリーのかけはし」の第一歩を踏 みだしたのです。これからのJAリビングレガシーの活動は「日本人のオーラルヒストリー」と「日系アメリカ人のオーラルヒストリー」の交換という「歴史的 な対話」の実現をめざします。

JAリビングレガシーが今までに関わってきたオーラルヒストリーには、朝鮮戦争に従軍した日系二世によるもの、カリフォルニア州オレンジ郡で農業を 営んできたミヤワキ一家のものなどがあります。また、日本国内では沖縄戦の際にアメリカ軍の捕虜となりベイエリアに浮かぶエンジェル島に移送された、沖縄 の少年兵のオーラルヒストリーなどを行ってきました。

日本人にとって、日系アメリカ人という存在は「縁がなさそうだが、実は意外と身近な存在」であると思います。多くの日本人がアメリカに移住したのは 戦前の数十年の間だったことを考えると、今の時代を生きる人々にとっては「ひいお爺ちゃんの頃のお話」になるのでしょう。そして、第2次世界大戦は日本人 だけではなく、海外の日系人にとっても大変な悪夢でした。(その歴史的背景により、先の大戦を人種戦争と評価する人々がいます。)そして、戦後、日系アメ リカ人は生活の建て直しに奔走し、日本人は焼け野原からの復興に必死になったのです。

私の主張は、日本人の歴史、そして日系アメリカ人の歴史は異なるようで、実は類似しているようなものだということです。そして、この二つの歴史を何 かで結ぶ必要があります。日本人にとっても日系人は重要な存在ですし、日系人にとっても日本人はかけがえのない存在です。そして、JAリビングレガシーは オーラルヒストリーによってお互いを結ぶために前進していきます。

昨年、私は日本国内に住むHさんを訪ねました。Hさんの親戚であるFさんはカリフォルニア在住の日系三世です。先の戦争のあいだ、Hさんは陸軍に招 集され中国大陸に送られました。そして、Fさんの家族はヒラの収容所に送られました。戦後、Fさんの祖母は日本国内にいるHさんの家族のことを大変心配 し、Hさんの家族あてに手紙を送りました。その手紙は中国から帰ってきたばかりのHさんのもとに届けられ、Hさんは大変驚いたそうです。その後、Fさんの 祖母はHさんの家族に衣類などを贈りました。それらは、当時の日本では高価なものだったそうです。1通の手紙が、太平洋をまたいだ、日本人と日系アメリカ 人の活発な交流に発展したのです。

そして、もうひとつ、このようなエピソードがありました。とある大学病院で薬剤師として勤務していたFさんは女性であることと、そして白人ではない ことを理由に昇進を拒否されていました。そこで、Fさんは友人らと共に職場での性差別と人種差別を撤廃するように民事訴訟をおこしたのです。裁判となれば その費用は膨大なものとなります。そのことを聞いたHさんは、自分の貯金をFさんに送金したのです。

HさんとFさんのエピソードは少し特殊なケースになるのかもしれません。しかし、このふたりの関係こそ、日本人と日系人が望んでいるものではないで しょうか。そして、JAリビングレガシーは、オーラルヒストリーを通じて日本人と日系人がお互いに手をつなぎあうことができるように活動をしてまいりま す。

JAリビングレガシーの活動に興味をもった皆様は、JAリビングレガシー(www.jalivinglegacy.org)まで連絡をお願いします。

e-mail: info@jalivinglegacy.org

参考:
パフィフィックシチズン(JACLの発行する新聞)より
www.pacificcitizen.org/content/2007/national/apr6-stom-legacy.htm

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