第5回 普遍主義とナショナリズムの狭間で―1930年代における日系二世仏教徒の日本留学―
1 はじめに
日本から海外へいった日本人移民の子どもたち、すなわちハワイやアメリカ本土で生まれアメリカ市民権をもつ日系二世仏教徒のなかには、日本に留学して仏教を学び僧侶資格(海外での布教を行う「開教使」と呼ばれる)を得て帰国するものもあらわれてくる。
私の調査によると、早いケースでは1920年代後半から日本へ留学していたことがうかがえるが、多くは1930年代で年齢も20歳代かそれ以上であった。彼らは、高校または大学を卒業するか中退して来日し、龍谷大学か京都女子高等専門学校(現・京都女子大学)、あるいは僧侶養成学校である中央仏教学院に入学している。また出身地別ではハワイがアメリカ本土よりも日本留学を始める時期が早く、ハワイ出…